2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
『続・大日本帝国の痼疾』(12)

慶応期の一揆・騒動(4)


 1866(慶応2)年の騒動・一揆を続ける。

信達世直し一揆

(念のためインターネット検索で調べた 「信達世直し一揆」の解説と佐々木潤之助著 「幕末の社会情勢と世直し」とでは一揆の日時 に大きな違いがある。ここでは「「幕末の…」 の記述に従っておく。)

  6月15日、全国有数の養蚕地帯である出羽・岩代 の信夫郡・伊達郡で,幕府の蚕種改印令による新課 税反対をきっかけに、物価引き下げ・質利子引き下げ・助郷加重反対 ・名主の不正排除等を要求した騒動が起こった。 最盛時には17万人が参加し、打ちこわしにあった 豪農商は49ヵ村・164戸に及んでいる。

 この打ちこわしはなによりもまず、
「諸品高値の儀は天情と相心得、籾又米穀高直の 処相望居もの」
への制裁であった。
「国家大変見るに忍び兼候儀」「窮民助合のため」
を大義面分とし、 焼打ちという制裁手段を押し出して動員を強制して いる。わらだ廻状(蚕を飼育する「わらだ」の形に似た 一揆連判状〉には
「誠に老若男女手当致し御田地手入安堵の仕度、 左もこれ無く候ては、恐れ乍ら天下の御為に相成 ず」
と記されていた。

 打ちこわしのさいには、頭取は次のように下知 している。

「やあやあ者共火の用心を第一にせよ。 米穀は打ちちらすな。質物へは決して手を懸けま じ。質は万人の物成るぞ、又金銭品物は身につけ るな。此働きは私慾にあらず。是は万人のため成 るぞ。此家の道具は皆悉く打こわせ。猫のわんで も残すな」

 しかし、この頭取の下知に示されている理念も 騒動の展開とともに事実上崩れていった。

「世上の悪党原紛れ込み諸国の浪士或は盗賊かた りざまのたぐひ、又は宿なし乞食非人に至る迄入 交し事成ば悪人原大勢に成り、頭取の申事も 不聞」

 それにもかかわらずこの騒動は農民の要求が 通って終った。
「打こわされる程の家には糸のなき家はなし。 大家には買入の糸、取質の糸五十箇三十箇又は 小家は三箇五箇位は有」「金子紛失致せし事は 七千両五千両二千両又は五百両八百両と身上相 応に盗取られ」
という記録に、打ちこわされた豪農層の資産・蓄 財のほどがよく示されている。

 この騒動は6月20日に終るが、11月には福島藩で 小作料減免要求のわらだ廻状6通が町中に触れら れた。しかし、こちらは未然におさえられている。

出羽村山騒動

7月、天保期以降続いた村方騒動の展開を底流として、 出羽村山郡松前領山内7ヵ村から騒動がおこった。 兵蔵騒動とも呼ばれている。

 信達の騒動の昂揚している有様が伝えられてい る中で、沢渡村組頭兼年寄・与左衛門にたいする 不意の打ちこわしから、騒動は始まった。 与左衛門への打ちこわしを働いた者は、川原子・ 野川・観音寺・関山の農民たちであった。もちろん、 与左衛門にとっては、「悪党共其外見知らざるもの 大勢」であった。

 これを初動に騒動は、米価騰貴を理由に、山間地→平野 部→在町へと五日間にわたって展開する。 「儀兵を超し窮民を救」うための「天下儀士」と いう署名を行い、信達騒動と同様、焼払いの制裁 で動員を強制している。一揆は豪農に施金・施米・ 米価引き下げ等を強要し、これに応じない観音寺 村名主とその分家を打ちこわし、陣屋のある東根 村へと向かう途中で鎮圧された。

 観音寺村はちょうど村方騒動の最中であったが、 そこで打ちこわしを働いたものは、多く川原子・ 沼沢・万善寺・沢渡・関山・観音寺村の農民たち であった。ただし観音寺村の農民たちは名主と異 なる字名に住む者たちである。この三件の打ちこ わしによって名主らは、衣料・道具類を「紛失」 し、また、年貢関係を主とする帳簿類を破却され た。

 この騒動の主体は、仙台などへの他領出稼=出稼 型奉公人・労務者であり、無高・日雇・土方 ・髪結・木挽などを含んでいた。 例えば、関山峠の下にある関山村では、その大部 分が出稼・賃稼に従事しているとみられる205軒の 農民のうち、少なくとも34軒がこの時点に おいて出稼に出て不在であり、逆に、この時点で たまたま出稼や貸稼に出ていない家の93%余が この騒動に参加している。

 この騒動の頭取は兵蔵・沼沢村十吉・川原子 村太助であった。兵蔵は博徒であるといわれ、こ の他に、東根北組の博徒吉蔵も頭取であといわれ ている。騒動の初期においては、明確に「悪党躰 之者三人大勢を引立」とある。 この三人はともに、騒動が鎮圧されてのち出奔 している。兵蔵は消息不明、十吉・太吉は仙台か ら松前や奥羽境へと逃亡したと言われている。

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