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《「真説・古代史」拾遺編》(6)

多次元史観 ― 関東王朝(4)


 さて、鉄剣とともに埋葬された「乎獲居臣」 が仕えた大王とはだれか。「X大王」と呼ぼう。

 定説派論者は「獲加多支鹵」(原文では「鹵」 の「□」の中は「九」)を「ワカタケル」と読ん で雄略天皇と断じた。これがとんでもない誤った 読解であることを古田さんは次の三点から論証し ている。

第一点:X大王の居宮は「斯鬼宮」であること。
第二点:「左治天下」という句の意味。
第三点:稲荷山古墳の出土状況との関係。

第一点
 「定説」派の学者たちは、「X=ワカタケル= 雄略」としたのだから当然「斯鬼宮」はワカタケル の宮殿とせざるを得ない。しかし、そんな記録はどこにも ない。記紀ともにワカタケルを「オオハツセノワカ タケル」と呼称して いるようにその宮殿はハツセの朝倉宮である。

長谷(ハツセ)の朝倉宮(古事記)
泊瀬(ハツセ)の朝倉宮(日本書紀)

 これに対して「定説」派は次のように強弁する。
「この長谷の朝倉は、昔は磯城郡に入っていたの だろう」
 何の根拠もない推測だ。記紀には「シキ」の宮 殿について

師木の水垣宮(崇神天皇)
師木の玉垣宮(垂仁天皇)

とあって、「ハツセの……」と「シキの……」が 別領域であったことをハッキリとしめしている。

 X大王がワカタケルだとすると、「乎獲居臣」は 自らが仕えた大王の「ハツセ」と「ワカタケル」 の分かちがたい結びつきを無視して、「斯鬼の宮 に在り」としるしたことになる。考えられない。

 では「シキの宮」はどこにあったのか。埼玉県 南境に近く志木市がある。この「シキ」は和名抄 当時からの古地名である。その上、もっと稲荷山 古墳に近い「シキ」が見つかった。栃木県藤岡町 の大前(おおまえ)神社の境内の石碑(明治12年 建立)に、「大前神社、其の先、磯城宮と号す」 いう記述がある。

 (大前神社の石碑の文言)を見出したうれしさを、 わたしは忘れることができない。昭和53年12月中旬 のことであった。ここは「字(あざ)」も、「磯城 宮」である(神戸の地名研究家、今井久順さんのお 知らせを受け、前沢輝政氏『下野の古代史』〈上〉 有峰書店、昭和50年刊によって、右の所在を知る)。

 わずかに二十キロほどの地点に、これほど明瞭 な「磯城宮」がある。延喜式に出ているだけでも、 平安期に存在した名社の〝保証付き″とされてい るのに、それ以前にさかのぼる古名というのだか ら、これを無視する〝手″はない。

 第一地元にこれだけ「シキ」があるのだから、 もし、そうではない「大和の磯城郡の宮殿だ」と いいたいのなら簡単だ。当然「夜麻登(ヤマト) の斯鬼宮」と書けばいい。これに反し、当地の著 名な「斯鬼宮」なら、「~の斯鬼宮」はいらない。 ただ「斯鬼宮に在り」でいい。これは自明の道理 ではあるまいか。

 その上、雄略自体「師木の~宮にいた」とは伝 えられていない。それを一種〝こじつけ″て、 「磯城郡に属していた」ことにもしなければなら ぬ。こんな記・紀の改変作業までやらなければ 〝合わせ″られぬとしたら、これはやっぱりおかしい。 そう思うのが通常の人間の理性ではあるまいか。 「東大教授」とか「京大教授」といった肩書きに よらず、ことの道理によって判断できる人、そう いう人ならこの道理を疑うまい。

第二点
 「左治天下」という語句は中国の古典に有名な 成句である。名義上の中心権力者(天子または王) が幼少だったり女性だったりした場合、その叔 父や弟に当る親権者がその統治を補佐する行為を 「佐治」と言っている。

 ところで、「X大王」をワカタケル=雄略とした 場合、どうなるか。雄略は〝幼少か女性″ で実際の統治ができず、「乎獲居臣」が実際 上の「天下の統治」を補佐して行った実力者、 ということになる。もちろん、このような人物は 記紀には影も形もないし、ワカタケル自身強壮に して武断専行の人物であり「佐治」を必要とする とはとてもあり得ないことだ。

 これに対し、次のように解して何の矛盾もない。 つまり、「X大王」は「磯城宮」にいた中 心の大王であり、北関東から関東平野一帯を「天 下」として君臨していた。そして「コノワケノ臣」 は、その大王に仕えた実力ナンバーワンの人物で、 大王を「佐治」していた、と。

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