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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
『大日本帝国の痼疾』


はじめに


 前々々回と前々回のテーマは、『「終戦の詔 書」を読み解く』→『戦争意志とは何か』と、 大日本帝国の滅亡の過程を時代をさかのぼってた どる形となった。その過程で私は、大日本帝国の 滅亡はその成立時からの「痼疾」の結果だった、 という観点を持つにいたった。そして、その 「痼疾」を明らかにしたいと思った。

 このテーマはまた、

大日本帝国を解剖する(1)
大日本帝国を解剖する(2)

の続きとも位置づけできる。まず簡単にその復習 をしておこう。

 フランス第二帝政(ボナパルティズム)下のフ ランス国家は、近代的国民国家としては<例外的 国家>だった。同じように、明治維新によって生 まれた大日本帝国も<例外的国家>であった。 フランス第二帝政では「ボナパルティズム」の復 古がその統治形態を<例外的>たらしめたのに対 して、大日本帝国ではアジア的統治形態である 「デスポティズム」の復古がそれに該当した。

 帝国憲法体制の成立において完成された近代 天皇制国家は、外見的にはプロシャ流の立憲的専 政君主制を模倣したものであったが、政治形態と しては近代的形態で復古されたアジア的デスポテ ィズム、つまりは近代的デスポティズムであった。 しかし、この天皇制国家の近代的デスポティズ ムの特質は、天皇親裁を建前としていたにもかか わらず、実質的には名目的デスポティズムとして 構成される他なかった点にある。

 天皇制国家が名目的デスポティズムとして構成 されざるを得なかった根因は、明治維新を牽引し た倒幕勢力が伝統的な宗教的権威としての天皇を、 もっぱら徳川幕藩体制に対する大義名分として奉 戴したという点に求められる。

 倒幕勢力は、まず天皇制国家のイデオロギー的 基盤として、神道と儒教とを独自に融合した思想 を創出した。親への孝の道徳的必要になぞらえて、 最高神の天照大神の直系子孫である天皇への忠を 国民の道義的必然とした。それは、政治的・国家 的観念と宗教的・道徳的観念とを未分化に混交さ せた<アジア的国教>であり、政治思想というよ り天皇教イデオロギーという性格のもであった。

 その大日本帝国のイデオロギー的基盤となった 思想の中にこそ大日本帝国の「痼疾」がある。 この「痼疾」により大日本帝国は滅んだが、 その「痼疾」は大日本帝国のゾンビたちに取り憑 いて生き残り、いま我がもの顔にその再々復古を 企みはじめている。明治維新でのアジア的デ スポティズムの復古は悲劇だったが、その再々復 古は喜劇でしかない。笑うに笑えないような喜劇 は、演じさせてはならない。

 ところで、幕末期に草莽の志士たちの間で回し 読みされていたらしい「英将秘訣」という怪文書 がある。表題のとおり、英雄たるべき心得を説いた もので、箇条書きに綴った箴言集の体裁の文書で ある。明治~大正期には坂本龍馬の著作として流 布されていた。いまではそれは否定されて、平田鐵 胤・三輪田元綱ら平田派国学者の手に成るものと いうのが通説になっている。また、備中松山の 陽明学者山田方谷が著者ではないかという可能性 も取りざたされているが、いまだその著者は確定 されていない。しかし、1982年刊の「坂本龍馬全 集」(光風社出版)には収録されている。竜馬説は なお根強く残っているようだ。いずれにしても、 その著者が平田派国学者とも陽明学者とも取りざ たされるように、その文書が説くイデオロギーは まさに神道と儒教とを融合したような内容である。

さて、『試行』の中に『「英将秘訣」論』という 論文がある。ちょっと読んでみたら、私の新たな テーマとそのモチーフが一致する。著者は近藤渉さん。ネットで検索した ら『〈日本回帰〉論序説』という本の著者がヒット した。本の内容から同一者だろうと推測した。この 『「英将秘訣」論』をメインの教科書として使用 させていただこうと思う。ただし、国学や儒学につ いての私の知識は、例によって高校生程度(ある いは以下かも)なので、必要に応じてその都度、 国学・儒学などの学習を織り込んでいこうと思う。 『「英将秘訣」論』もまだほんの数ページしか 読んでいない状況での見切り発車だが、果たして どんなふうに展開するのか、まったく予測できて いない。途中で挫折するかのしれないが、ともか く走り出そう。

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