2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
「終戦の詔書」を読み解く

「詔書」第二案

②「詔書」第二案
赤字:追加された文言
青字:書き換えられた部分

大東亞戰爭終結ニ關スル詔書

深ク世界ノ大勢ト帝國 ノ現状トニ鑑(かんが)ミ 非常ノ措置ヲ以テ時 局ヲ收拾セムト欲シ 茲(ここ)ニ忠良ナ ル爾(なんじ)臣民ニ告ク

朕ハ帝國政府ヲシテ 米英 二国並ニ重慶政権ソヴィエート聯邦ニ對シ  各国共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ

世界人類ノ和平ト 帝國臣民ノ康寧(こうねい) トヲ 冀求(ききゅう)スルハ 皇祖皇宗ノ遺範ニシテ 朕 ノ拳々(けんけん)措カサル所 曩(さき)ニ米英 二國ニ宣戰セル所 以テ亦 實ニ帝國ノ自存ト東亞 ノ安定トヲ庶幾(しょき)スルニ出テ 他國主權ノ毀 損ト領土ノ侵略トハ 固(もと)ヨリ朕カ素志ニア ラス

 然ルニ交戰已(すで)ニ四歳ヲ閲(けみ)シ 朕 カ陸海將兵ノ健闘 朕カ百僚有司ノ勵 朕カ一億 衆庶(しゅうしょ)ノ奉公  各々最善ヲ盡セルニ拘ラス 未タ戦争ノ局ヲ結フ ニ至ラス

此ノ間欧州ニ於イテハ反テ戦火ノ終熄ヲ見 世界ノ 大勢ハ新ナル国際秩序ノ実現ヲ促スノ機運ヲ示セリ  是ノ秋(とき)ニ当リ尚交戦ヲ継続センカ 激烈ナ ル破壊ト残酷ナル殺戮トノ極マル所  ニ民族生存 ノ根拠ヲ奪フノミナラス 延(ひい)テハ 人類文明 ヲ滅却スルヤ必セリ

朕ハ此ノ戦局ノ危急 ニシテ 人道ヲ無視セル敵襲ノ今後益々苛烈ヲ加エ 国家ノ犠牲愈々多ク 朕ノ赤子ノ非命ニ斃ルル者  日ニ月ニ其ノ数ヲ増スヲ見ルニ忍ヒス  特ニ戦火ノ及フ所 人類共存ノ本義ヲ否定ス ルニ至ムコトヲ懼ル 是レ朕カ先ニ帝國政府ヲシ テ 第三国ノ調停ヲ求メシメタル所以ナルモ 不 幸其容ルル所トナラス 遂ニ各国共同ノ宣言ニ応 セシムルニ至レル理由ナリ

斯ノ如キ非常ノ措置ニヨリ戦争ノ終結ヲ求ム  惟フニ帝国ノ受クヘキ苦難ハ固ヨリ尋常ニアラサルヘ ク 爾臣民ノ衷情(ちゅうじょう)ハ 朕能ク之ヲ 知レリ  且(かつ) 帝國ト共ニ東亜新秩序ノ建 設ニ協力セル東亜ノ諸盟邦ニ對シテモ 事遂ニ志 ト違エルコトヲ謝セサルヘカラス

然レトモ事態ハ今ヤ此ノ一途ヲ余スノミ  朕ハ 実ニ堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ  臥薪嘗胆為ス有ルノ日ヲ将来ニ期シ  爾臣民ノ協賛ヲ得テ  永ク社稷(しゃしょく)ヲ保衛セムト欲ス  朕ハ常ニ忠良ナル 爾臣民ノ赤誠ニ信倚(しんい) シ 神器ヲ奉シテ爾臣民ト共ニアリ  若シ夫レ情熱の 激スル所 軽挙妄動 濫(みだり)ニ事端ヲ 滋(しげ)クシ 或ハ同胞排擠(はいさい)互ニ時局 ヲ亂(みだ)リ 爲ニ信義ヲ世界ニ失 フカ如キハ如キハ 朕ノ最モ戒ムル所 宜シク冷静沈着 刻苦自励 益々國體明ラカニシ 弥(いよいよ)名分ヲ 正シ 確(かた)ク神州ノ不滅ヲ信シ  誓テ禍ヲ転シテ福ト為スノ基ヲ開クヘキナリ 爾臣民其レ克 (よ)ク朕カ意ヲ體セヨ



 第一段落に追加された文言と第二段落は、第一案 の後からニ,三段落に置かれた文言を、多少訂正した 上で配置換えしたものである。第一案では最後になる までポツダム宣言の受託(無条件降伏)の詔書である ことが分からない。その段に来るまでは「本土決戦の 詔書」とも受け取れる。最初に結論を持ってきたわけ だ。

 注目すべきは最後の段落だ。まず目に付くのが追加 された「臥薪嘗胆為ス有ルノ日ヲ将来ニ期シ」という 文言。これ、「将来の復讐を期そう」と言っているん じゃないの。「敗戦」と呼ぶことにこだわった将校た ちと同じ心情の吐露だ。

 第一案では神がかり文言は「神器ヲ奉シテ」だけだ ったが、「神州ノ不滅ヲ信シ」という文言を加えている。 さらに「益々國體明ラカニシ」と「国体護持」の願望を あからさまに打ち出している。

 全体の調子は「萬邦共榮」、「臥薪嘗胆」、 「軽挙妄動」、「同胞排擠」、「刻苦自励」など 四文字熟語を配置して重厚さを出そうと腐心して いるかとおもうと、「禍ヲ転シテ福ト為ス」なんていう 陳腐な故事を引く軽薄さも混じり、いまイチという ところだな。

 ここでハタと気づいたことがある。チョッと横道です。

「終戦の詔書」にちりばめられた荘厳を装うめくら ましのような文言は、「終戦の詔書」作成者たちが 始めて考え出した ものではないのではないか。「終戦の詔書」の前に 位置する「開戦の詔 書」(正確には「米英両国ニ対スル宣戦ノ大詔」と 言う。)にその源流があるのではないか。さらに さかのぼれば「教育勅語」の文体にいたろう。

 改めて「開戦の詔書」を読んでみた。「終戦の 詔書」で使われているのと同じ文言を抜書きして みよう。

  朕カ陸海将兵 ハ全力ヲ奮テ交戦ニ従事シ  朕カ百僚有司 ハ励精職務ヲ奉行シ  朕カ衆庶 ハ各々其ノ本分ヲ盡シ

朕カ拳々措カサル所  而シテ列国トノ交誼ヲ篤クシ  万邦共栄ノ楽ヲ偕ニスルハ

中華民国政府曩ニ 帝国ノ真意ヲ解セス濫ニ 事ヲ構ヘテ

皇祖皇宗ノ神霊 上ニ在リ朕ハ汝有衆ノ 忠誠勇武ニ信倚シ

などなど、でした。
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