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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
今日の話題

大日本帝国皇軍の人間兵器

 はじめ私は、「特攻隊」と言うと「神風特別攻撃 隊」しか知らなかった。「神風」は戦闘機ごと敵艦 に体当たりする自爆攻撃だ。使用される戦闘機は 初めから自爆用に作られたわけではない。 これに対して「人間兵器」は初めから自爆目的で 作られている。

参考資料
『人間兵器』

 大日本帝国皇軍の自爆作戦については

今日の話題:『軍神の母』
今日の話題:『特攻隊員怨念の刀傷』
今日の話題:『狆ゾウの欺瞞と浅はかさ』

で取り上げている。今回は人間魚雷「回天」の話。 「鎮魂の夏2007」から高橋恒夫記者の記事「「62年  人間魚雷語る決心」を転載する。




  回天

 日本の敗色が濃くなった1943年、2人の青年士官 が「戦局を打開するには体当たりで敵艦を沈める 特攻攻撃しかない」と人間が操縦する魚雷を発案。 44年8月、兵器として正式に採用。「天を回(めぐ) らし戦局の逆転を図る」という意味で回天と命名 された。全長14・75メートル、直径1メートル。上 げ下げ自由の潜望鏡を備え、中央部に1人が乗り込み 、潜水艦から発進した。頭部に1・55トンの爆薬が 詰め込まれ、命中すれば巨艦も一発で撃沈できると いわれた。自爆装置はあったが、脱出装置はなかっ た。


「62年 人間魚雷語る決心 元搭乗員「生き残ったからこそ」

 太平洋戦争末期、爆弾を積んで敵艦へ体当たりし た人間魚雷「回天」。その搭乗員として出撃命令を 待ち続け、敗戦を迎えた埼玉県深谷市の多賀谷虎雄 さん(80)が戦後62年の今年、初めてその体験を語 り始めた。「当時は死ぬことだけを考えていた」と いう多賀谷さんが語り継ぐ決意をしたのは、「自分 が死ぬと満足に話ができる者がいなくなる。生き残 ったから話せる」との思いからだった。(熊谷通信局・高橋恒夫)

 多賀谷さんは群馬県伊勢崎市で10人きょうだい の末っ子として生まれた。17歳の誕生日を間 近に控えた1943年12月、旧制中学を繰り上げ卒業す ると、予科練に志願。奈良県天理市にあった三重海 軍航空隊奈良分遣隊に入隊した。

 九ヵ月ほどすぎたある日、隊員全員が武道場に 集められた。窓には黒い幕がかけられ、外部と遮 断。少佐が軍機密の「特殊兵器」の志願について 涙ながらに説明した。

 配られた用紙に、熱望する人は「◎」、希望は 「○」を記入、希望しない人は空白とするよう言 われた。どんな兵器なのかは分からない。多賀谷 さんは予科練志願時に「どうせ死ぬなら早いほ うがいい」と考えていた。名前に「◎」を書い て出した。

 44年12月、山口県・徳山湾沖の訓練基地・大津 島へ。ここで初めて「回天」を見た。過酷な訓練 に明け暮れ、回天を搭載した潜水艦で出撃する隊 員を見送った。多賀谷さんは「皆『先に行くぞ』 と出撃していった。悲しくて涙を流すという感情 はなかった。笑って出て行った」と振り返る。 「国のために先に死ぬことは名誉だと思った」

 ようやく上官との同乗訓練が始まったのは45年5 月5日。波が荒い悪条件で、練習用の回天が深さ8メ ートルの海底に突っ込んで身動きが取れなくなり、 危うく死にかけたことも。「どうすれば敵艦にうま く当たるか、寝ても覚めてもこればかり考えていた」という。

 同年6月17日、多賀谷さんは米軍の本土上陸が予 想される宮崎県・日南海岸の栄松基地に移り、出撃 命令を待った。毎日のように上空をB29が通り過ぎ、 グラマンの機銃掃射に逃げ惑った。

 「回天を積む潜水艦もなくなり、回天を穴を掘 って隠した。日夜、息を詰めて、いつ敵艦が来る か分からない状況で訓練を続けながら、ほかの隊 員と「命を日向灘に沈めるんだと話していた」

 8月15日。玉音放送を聞いた。多賀谷さんは何の ことか分からず、上官から「何もかも燃やせ、すべ て忘れろ」と言われ、「負けたのか」と思った。

 戦後はさまざまな職に就いたが、肌身離さず持 っていたのは、回天隊員から預かった遺書。「壁 にぶつかると見て、励みにしてきた」。「先に死 んでいった戦友に申し訳ない。生き残ってしまっ たという思いをこの60年ぬぐうことができなか った」と、苦しい思いを吐露する。

 「死ぬことだけを教育された。今とは時代が違 う。受け入れてもらえない」と、回天について口 を閉ざしてきた。しかし、回天を扱った映画「出 口のない海」(横山秀夫原作、佐々部清監督)を 昨年見て、主人公の少尉の「人間が兵器の一部に なったことを、この悲しい事実を語り残してもら うために死ぬ」というせりふに共感。この映画が 今年1月、地元深谷市で上映された時、映画館から 「体験を語ってほしい」と頼まれ、初めて公の場 で話した。

 兵士とは殺人用奴隷である。日本国憲法には次の 条文がある。

第18条【奴隷的拘束及び苦役からの自由】
 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、 犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反す る苦役に服させられない。

 日本を戦争のできる国にしたがっている連中の 最終目標は徴兵制である。しかし、日本国憲法には 上記のような立派な条項がある。徴兵制は憲法違反 なのだ。改憲問題では九条ばかりが取りざたされる が、改憲をたくらむ連中には第18条も目障りなこと だろう。当然、奴らの射程に入っているに違いない。

 私はアベやイシハラの思想(イデオロギー)を憎 悪する。彼らを狆ゾウとか沈タロウとか侮蔑して呼 ぶのは、彼らが、人間らしく生きたいと願う庶民を 奴隷化しようとしている唾棄すべき権力者だからだ。 世界の良識はいまやっと、「多様な生き方を認め合 おう」という寛容の精神を最重要課題をするところ にまで達してきた。人類がたどり着いたこの地点を 後退させるわけにはいかない。

 さて、「多様な生き方」を否定して、国民を従順 な奴隷へと一色に染め上げたがっている狆ゾウとか 沈タロウとかにも、私たちはなお寛容であるべきな のだろうか。これは一度、

『「正義論」は「現実」とどう切り結ぶか(6)不寛容なものへの対処』

で問題にした。が、私にとって、これはいまだに 深めるべき問題として残っている。
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