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第795回 2007/05/21(月)

「真説・古代史」補充編

(お休みです。)



今日の話題

「三角合併」解禁がもたらすもの

 最近の新聞の経済欄の見出しでは「TOB」とか「敵対的買収」 とか「三角合併」とかいう言葉が毎日のように目に付く。これは ポチ・コイズミによる構造改革の結果、苛烈になった資本家 同士の暗闘であり、労働者の奴隷化の進行と無関係ではない というぐらいは、見出しだけでほとんど本文を読まない私にも分かるが、 いまいち理解が不十分だった。それを、またしてもロナルド・ ドーアさんに教えられた。以下は20日付「東京新聞」(朝刊) のロナルド・ドーアさん寄稿の『時代を読む・三角合併解禁 後の日本企業』による。

 まず、今月1日に解禁された「三角合併」とは何かというと、

『日本に子会社を持っている外国の大企業が、自分の株式を 対価として日本の企業を買い取ること』

であり、その子会社はペーパーカンパニーでもよいという。 この制度の制定に際しては激しい対立があった。

『ハードルを高くして、なるべく外国企業による敵対的買収 を抑止しようとした経団連』対『ハードルをより低くするこ とを求めた在日米国商工会議所および官僚・政治家の「改革 派」』

 結局は後者が勝ったということになる。その結果を喜ぶ者 たちが三種類あるとドーアさんはは分析している。

①更に大儲けを予想できる金融業に携わる人
②経済効率イコール投資の利回りと、高い資本収益率を最大 の価値と考える市場原理主義者
③アメリカさんを怒らせて、日米友好関係を害することは 最大の罪悪だと思っている政治家。

 逆に、これを憂えるべきことと考える人もいる。その理由は 次のようだ。

『経営者・一般従業員の協力体制を保ち、割に平等主義的な 働き甲斐のある従来の日本企業を、米国型の弱肉強食的な企 業へ変質させる「改革」の名による制度改悪だ』

 ドーアさんはそのように考えるお一人なのだが、この「改革」 に強く反対していた経団連を次のように皮肉っている。

『このような観点から、経団連が手続きを難しくするように運 動したのか、それとも、改革論者が野次るように、「競争に対 処する自信がなくて、びくびくして身を守ろうとしているだけ の話」なのか知らないが』

 日本の労働者にとっては確実に好ましいことではない、と言って 次のように述べている。


 理由は複雑だが、大体こうである。株主資本収益率(RO E)というのは株主の資本に対する利益の比率で、大まかに 企業が株主にどれだけサービスをしているかの指標に使わ れる。

 米国の大企業は平均16%で、日本の大企業(資本金十億円 以上の企業)は、1990年代は10%以下で、最近、人件費の圧縮 も手伝って(従業員一人当たりの給料を最近の五年間で6%カ ットして)利益を増大させて、2005年には12%まで上がった。 しかし、米国との差は依然として大きい。まだ、米国より 従業員を大事にしている方である。

 今日の朝刊に「配当6兆円 最高更新 一部上場企業の半数、増配」 と言う記事があり、次のように報じている。

 企業の合併・買収(M&A)が急増する中で、株主への利 益還元姿勢を強めて高株価を維持、買収防衛につなげたいと の狙いもあるようだ。ただ配当水準は米企業より依然として 低く、株主からの還元圧力は続きそうだ。

 純利益のうち配当金の割合を示す配当性向も23.5%と 前期の21.7%から上昇。配当を増やす企業は最終的に 654社(06年3月期実績)を上回り総額も六兆円を超えると 見込まれ、ここ五年間の増加基調が鮮明となった。

 ドーアさんが使っている「株主資本収益率(ROE)」と 上の記事の「配当性向」とは違う指標のようだが、いずれを 採っても顕著な株主優遇の傾向が示されていることに違いは ない。そしてそれは、賃金カット・残業代未払い・厚生費の 圧縮など、労働者の労働条件の劣悪化と連動していることは 言うまでもない。

 同じ今日の朝刊に、働く若者らが労働条件改善などを訴 える「全国青年大集会2007」が昨日(20日)、東京・明治 公園で開かれたとう報道があった。主催者発表で3300人が 参加したという。写真が添付されていたが、その中に、 新しい闘う労働組合とひそかに期待している「ユニオン」 の旗も見られた。

 その集会で、低賃金で長時間働く派遣労働者やフリーター、人手 不足と過密労働に悩む介護・看護職の窮状が報告された。新聞が とりあげている報告を記録してみる。

都内の印刷会社で営業職として働く男性(26)
この5年、月に約100時間の残業代が一切、支払われていない 。会社側に残業代の支払いを交渉したいが、社内に(団体交 渉権を持つ)組合はない。最近加入した外部の個人加入の組 合を通じて交渉を考えている。

福岡県から参加した配送業の武内在賢さん(26)
 牛丼チェーンの食材配達など、午前5時から深夜まで働く が、月収は17万円前後。残業代は払われず、休みも「月に3 日あればいい。上司に訴えれば、辞めろと言われるだけだ。」

派遣会社に登録し、倉庫の仕分け作業などをしている都内の 女性(25)
 月収は多くて12万円。当日になって突然、「今日は仕事がな い」と言って帰されることもある。正社員になりたいが、 「探しても探しても採用されない」と嘆く。

財政破たんした北海道夕張市の男性(25)
 友人からのカンパなどを得て参加した。昨年6月、勤めて いた警備会社で雇用契約の更新ができず、今年3月から パートで働きはじめた菓子工場の月収は9万円弱。休みは 不定だ。街に正社員で働ける場は少なく、仕方なしに景気の いい都会に行ってしまった人は多いという。

アルバイトの男性(24)
 都内のネットカフェでの暮らしが2年続く。当初はアパート の更新料が払えず、軽い気持ちだったが「住所がないとバイト も限定される。(普通の生活から)落ちるのは簡単だが、は い上がるのは至難」と嘆く。「所持金は2万円。病気をした ら終わり。賃貸契約の敷金や礼金の分割を認めてほしい」と 訴えた。

 ドーアさんは企業のアメリカ化がますます進行して、 労働者がさらにひどい搾取にさらされるようになる ことを警告している。

 株価はいろいろな思惑によって動くのだが、大まかにそのR OEを反映する。平均的な米国企業の収益率が同規模の日本の 平均的企業より25%高ければ、日本企業の株価が25%安いは ずで、米国の経営者の目で見れば、買いやすい。買って、 人件費などを圧縮し、米国並みの収益率を出すようにすれば、 かなりの儲けを見込む事ができる。

 喜ぶのは金融業の人たちだと冒頭に書いたが、M&A活動の 促進で一番儲かるのは、売買される企業の企業価値を計算し て、ブローカーとして活躍する証券会社である。「経済の 金融化」 - つまりモノづくりや商業に携わっている人の 存在が軽くなり、カネづくりの人々が幅を利かす世の中にな ること - は、大いにM&A活動によって促進される。

 金融化現象が一番進んでいるアメリカでは、アビス(AlVIS)という会社がよい例 だ。レンタカー・ビジネスの草分けとして戦後生まれてから、 実に17回売買されている。そのつど、証券会社が売買価格の 3、4%のうまい汁を吸ってきた。米国全企業の利益額におけ る金融業のシェアが、50年代の10%から、70年代の20% へ、今世紀に入って更に40%に拡大してきていることは驚 くにあたらないだろう。

 日本がますます深く入ろうとしている道はそれである。

 アメリカの金融資本が日本資産の食い荒らしをはじめている。
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