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第775回 2007/04/17(火)

《滝村国家論より》:「ファシズム」再論(9)

社会統制・経済統制


 「巨大な軍事力の創出」のために必要な多種多様な物資と産業を、 滝村さんはかなり詳しく書き上げて、「武器・兵器・弾薬の生産と 軍隊の維持自体が、多種多様に発展分化した国民的諸産業との、不 可分の有機的連関において成立している。」ことを指摘する。 その上で、次のように言っている。

 従って、国家総力戦を戦う数百万人規模の軍隊が装 備する、多彩な武器・兵器の大量生産【もとより加工・修理などを 含む】ということになれば、否応なしに、明瞭な戦争政策をもった 国家権力中枢は、国民的諸産業の全体を、合理的・計画的に規制し 動員し、組織化しなければならなくなる。

 そこで問題となるのは、武器・兵器・弾薬を中心とした軍需物資の 大量生産と配給・管理のため、国民的諸産業が総動員されるが、この ような国家的経済統制は、その徹底化と進展如何によって、自由経済 の原則の下で発展開花した、資本制的経済体制を、大きく変形・変質 させかねない、根本性格をもっている点であろう。

 そして、国家がその存亡興廃をかけた国家総力戦に突入したとき、 どのような国家的経済・産業の統制が必然化されるのかを詳しく論じ ているが、ここでは箇条書き的にまとめておく。

第一
 これまで軍需生産に従事してきた企業の規模を拡張させるため の優遇措置や軍需生産への直接的転換が可能な業種【自動車・造船・ 航空機・化学薬晶など】に対する新規参入の要請をする。
 しかしそれでも、政府の戦争政策を可能とする軍備増強計画の 達成が危ぶまれるようなら、この国家的要請は、当然強制命令へと 転化する。

第二
 武器・兵器・弾薬の原材料物資として絶対に欠かせない、鉄鋼・ 金属・化学薬品・精密・重機械・電機などの重要産業に対する 国家規制と組織化が、強力に押し進められる。

 第三
 鉄鋼・金属・化学薬品などの原材料的資源、すなわち鉄鉱石・ 石炭・石油・鋼・鉛・亜鉛・錫・アルミニウム・硝石・黒鉛など を確保するために、強力な輸出入規制つまりは通商貿易統 制も必要となる。

第四
 鉄道用車両、トラック・船舶・航空機や通信施設など、 交通にかかわる諸産業は、軍需物質の生産・加工・修理・配給や軍 隊の移動に不可欠の前提となるため、広い意味での軍事関連産業で あるから当然であるが、一般の、軍需生産にかかわらない諸産業と いえども、戦況が極度に逼迫したりすれば、国家権力によって自在 に軍用に転換させられる。

第五
 しかし、国家権力による産業(資本)統制は、これだけではな い。武器・兵器や原材料物資を確保する国家的需要に、軍需関連産 業からの供給が追いつかなければ、当然、それらの価格は騰貴して、 国家財政を圧迫し、戦争計画自体が大幅に狂いかねない。 ときにはインフレ防止のための価格統制も断行される。

第六
 暴利を貪る生産・流通業者への暴利規制も、ときとして行われる。 また、軍需産業をはじめとする企業の利潤を一定の低いレヴェルに 抑え、超過ないし過剰と思われる利潤に対しては、情容赦のない国 家的制限(課税)をも課す。

第七
 統制されるのは、資本ばかりではない。労働がそれ以上強力に統制 される。
 まず労働者の貸金が規制される。というのは、労働力商品の価格 である貸金が、個別また組織的な労使の力関係の変転のなかで上昇 すれば、その上昇分は当然、軍需物資の価格に転嫁される。従って 貸金統制は、軍需物資確保のための価格統制の一環として、否応な しに要請される。

第八
 戦時国家統制の核心は、国家権力による計画的な軍事生産の確立 と完遂にある。しかしそのためには、軍需生産の現場における、労 使関係の調和と協調が大前提となる。そこで、労働争議やストライキ は、直接に国家的犯罪として禁圧され、違反者は厳罰に処せられる。

第九
 国家財政の問題として、予算の過半近くは軍事費にあてねばならないため、各種の戦時課 税を加えても税収だけではとても間に合わない。国債(戦時国債)が 乱発される。そしてインフレ抑止のため、貨幣・信用秩序の維持が 図られ、中央銀行による金融業界への強力な統制が開始される。

第十
 そして最後に、数百万人規模にまで膨れ上がった軍隊と国民一般 の物質的生活、とくに食糧をはじめとする生活必需品の配給制度 が、流通関連業界の規制と組織化を通じて行なわれる。
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