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第773回 2007/04/11(水)

《滝村国家論より》:「ファシズム」再論(7)

ファシズム国家:戦時国家体制の常態化


 「ファシズム」思想の根本の政治的理念は、外的国家としての 異常な排外侵略主義的な自己主張であり、極限的には世界征服に よる世界帝国形成という夢想に至りつく。したがって当然、 自らの国家を世界帝国として位置づけるために、戦争をつぎつぎ に勝ちぬいてゆくために国家・社会全体を強力無比の軍事的組織 として編成することが究極的な課題となる。つまり、戦時国家体 制を常態化させることであり、一種の「社会革命」が断行される。

 しかしその「ファシズム」社会革命は、専制的に強大化した 国家権力のもとでのみ可能である。つまり、「ファシズム」政治革 命の先行を前提としてみ実現される。

 ヒットラーはロシア革命に成功したマルクス・レーニン主義の 「前衛-大衆(後衛)」という組織・運動論を高く評価し、それを そっくりそのまま借用した。
 まず、強力な政治的指揮中枢としての前衛政党・ナチ党の建設 を強力に推し進めた。その前衛党をてこに、たえざる政治的な思想 教育と指導をつうじて大衆を組織し、これを自在に支配し操縦でき るようにした。そのようにしてはじめて、国家権力奪取が可能と なった。ヒットラーは次のように言っている。

「私はマルクス主義から多くのことを学んだ。ためらうことなく、 それを告白できる。退屈な社会理論と唯物史観、〝限界効用理論″ その他の馬鹿げたしろもののことではない。マルクス主義の方法を 学んだのだ。小心な商人風情・書記風情が、おっかなびっくり始め たものを、私が本気でとらえなおしたのである。ナチズム(国家社 会主義)の理論はすべて、この中にある。もっとくわしく考察して みたまえ。労働者体操協会、経営細胞、大衆デモ、もっぱら大衆に 理解できるよう起草された宣伝文書。これら政治闘争の新しい手法 は、本質的には、マルクス主義者に帰せられるのである。私は、こ の手法をただ引き継いで発展させさえすればよかったのだ。それだ けで本質的にわれわれに必要なものは、手に入ったのだ。社民にお いては何遍となく破綻をきたしたことを、私はただ首尾一貫させて 継承すればよかった。彼らの破綻は、革命をデモクラシーの枠内で 実現しようとしたという事情のためである。/ナチズムとはマルク ス主義がデモクラシーの秩序との馬鹿げた人為的な結びつきを切り 離した時の理論である」

 このヒットラーの言明について、滝村さんは次のように述べている。

 「学識」ある左翼・進歩的知識人たちは、マルクス主義の経済理論 を、あろうことかそれと真向うから敵対した新古典派の限界効用学 説ととり違えていることをみて、まず百人が百人、ヒットラーを頭 から軽蔑してしまうに違いない。

 しかしこの種の、とんでもないとり違えだけを切り取ってきて、 大ゲサにわめき立てるのはバカげている。というのは、一般知識人 のように十数年に及ぶ長い長い学校教育のなかで、膨大多岐にわた る「学識」を教養的に身につけること自体を目的とするのではなく て、何よりも「独学」で、自己の思想的修練と完成の、たんなる知 的手段と素材として、「学識」を自在に扱おうとした孤独な実践的 思想者に、この種のとり違え、というより正確には「学識」的欠如 が随伴することは、むしろさけられないからである。

 そんなことより注目すべきは、マルクス主義から継承した本質的 なものが、革命に失敗したドイツ社会民主党でさえ、不徹底ながら 実践的に展開した、レーニン主義の組織・運動論にほかならなかった ことを、ヒットラーがここで全く疑問の余地のない明晰さにおいて言 明している点であろう。

 「ファシズム」社会革命、つまり戦時国家体制の常態化とは具体的に はどういうことなのか。

 第一次大戦では、植民地の奪い合いと配分という世界支配をめ ぐって、欧米の新旧帝国主義列強が死力を尽して戦う戦争となった。 戦争は長期化し、戦争当事国の国民社会に与えた物的・人的被害は 極めて甚大であった。これはそれまでのような、常備軍を中心とし た、いわばプロ同士の戦いではなかった。それは、一つには国民社 会の全成員(成人男子)を軍隊に送った(国民皆兵制)。もう一つ は資本制的生産が可能とした高度な生産力の総力を、武器・兵 器・弾薬などの大量製造に転換・専念させることになった。 そのようにして創りだされた強大な軍事力をもって相互に戦う 国家的総力戦に他ならなかった。

 この第一次大戦時の帝国主義列強によって模索的・試行的に 行われた戦時国家体制を真剣に検討することを通して、 「ファシズム」社会革命の理論的体系化と政策的具体化が遂行 されていった。

 滝村さんは次に、戦時国家体制の具体的な様相を、次の二つ の面から検討している。

(1)国民社会の統制
 国民社会の構成員と高度の生産力を、巨大な軍事力の創出に 収赦させること。つまり、国民社会の軍事的編成と組織化。

(2)統治形態
 国家総力戦を戦いぬく軍事国家として機能する形態に国家権力を 再編成すること。
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