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第761回 2007/03/26(月)

《滝村国家論より》:「ファシズム」再論(2)
イタリア・ファシズム


 「ファシズム」思想の第一の特質は、まず強力な外的国家構成 の必要を唱える「強烈な外的国家主義」を掲げ る点にある。


 内・外の危難から国家的秩序を断固遵守すべしとした、この外的 国家主義の発想は、帝国主義列強が、その強大な資本制的生産力を 土台に、植民地獲得などをめぐって、しのぎをけずりあう時代には、 侵略されて屈服したり、大きく後手にまわって防衛に終始したりす るくらいなら、いっそのこと、先手をうって.積極的な防衛つまり 防衛のための侵略へと転じて、自己をおびやかしかねない有力な 敵手は、のこらずケ散らし、たたきのめすべきであるという、 強烈な侵略主義と民族排外主義へと、容易に転成してしまう

 そしてここまでくれば、当該社会の歴史的伝統と主体的力量に よっては、自己を全世界の諸民族のうえに君臨して、思いのままに 支配し命令する世界国家へと転成させよう、という世界征服の政治 的理念が、いっきょに成立しかねない

 もちろん、「ファシズム」によって、この強烈な外的国家主義が、 世界征服による世界国家(帝国)建設という、いわば究極の政治的 理念をうみだすまで進展しているかどうかは、当該社会の歴史的諸 条件とともに、それらが思い思いに身をまとった思想的衣裳によっ ても、直接観念的に規定されている。

 イタリア・ファシズム(ムッソリーニ)の場合

 滝村さんはムッソリーニの論文「ファシズモの原理」より次のような 文章を引用している。

 フアショ理論の目標は国家の概念、その本質、その任務、その 目的の概念である。ファシズモにとっては国家は絶対であって、之 に比すれば個人及び群は比較的なものである。個人及び群は国家の 中にある限りに於て『考えられるもの』である。

 国家の外に出ては個人もなければ団体(政党、協会、組合、階級) もない。

 国家は内部的及び外部的安全の保証者である。

 資本主義の劇的矛盾を解決し得る者は国家である。恐慌と呼ばれる ものは国家により、国家に於てでなければ解消され得ない。

 つまり「国民」が「国家」を生むではない。反対に、「国家」 こそが「国民」を「創造」する、と強調する。そして、社会の<政治 的秩序>維持も、<経済的秩序>維持も、「国家」によってのみ実現 が可能であると、主張された。

 日本の現在の右翼イデオローグの国家観はこのレヴェルの国家観の 猿真似あるいは焼き直しにとどまる。ムッソリーニのイデオロギー の批判は日本の右翼イデオロギーの批判でもある。

 このムッソリーニの論文に対して、滝村さんは次のように論述している。

 ムッソリーニの「論文」は、借り物の結論や命題のたぐいが、ほ とんど脈絡もなく、想いつくままにならべられているだけの代物に 近い。しかし、論文としての理論的展開という点では、気の毒なく らい、たどたどしいこの「論文」において、強烈な外的国家主義 が、イタリアの哲学者たちによって通俗化されたヘーゲル主義国家 観の手をかりながら、宣明されていることだけは、たしかである。

 ムッソリーニのこの外的国家主義は、世界征服への野望にまで 転成されていっただろうか。

 ローマ帝国崩壊後イタリアは四分五裂に分裂し、ヨーロッパ列強の 支配と影響下にあった。近代国家としてほぼ統一されたのは1861年 (サルディニア王がイタリア国王に即位)である。ムッソリーニが 登場してきたのは、それからわずか半世紀ほど後のことだった。


 ファシスタ国家は権力と支配の意志である。ローマの伝統は此拠で は力の観念である。ファシズモの理論に於ては、支配は単に領土的な 或は軍事的な、或は商業的な表現ばかりでなく、また精神的或は道徳 的表現である。この帝国、即ち領土の一粁平方さへも獲得する必要も なくして、直接に或は間接に他の諸国民を指導する国民が考へ得られ る。

 ファシズモは、放棄された数世紀或は外国への服従の数世紀の後 に、再興したイタリア国民の如き国民の傾向、精神状態を代表する のに最も適した理論である。


 (イタリアは)国民の政治的結集カはもとより、資本制的な経済 発展となると、欧米の帝国主義列強には、大きく立ちおくれていた。 こんなイタリアの歴史的伝統と国力を考えるなら、いかなる夢想家と いえども、せいぜい国内を政治的にまとめあげ、おくればせながら 帝国主義列強の一員にまで上昇できれば、というのが本音にちかか ったろう。

 (上記引用文は)とうてい世界征服といったたぐいの、大それた 野望をもつまでにはいたっていなかったことを示している。

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