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第721回 2007/02/01(木)

《滝村国家論より》:国家社会主義(5)
国家社会主義を克服する道


 これまで見てきたように、官許マルクス主義は、その国家論の 欠陥ゆえに、理論的に国家社会主義を克服することが絶対にでき ない。

 では「マルクスその人の根本精神と方法」を忠実に継承発展させて いるという意味での厳密なマルクス主義(仮に「本来的マルクス主義」 と呼ぶ。)からは国家社会主義を克服できるのだろうか。

 これもこれなまでの見てきたように、官許マルクス主義が、 実際にはなし得なかったとしても、理論的には<共同体-内-国家> の棄揚ということを主張していたが、そこで足踏みしたままだった。 それに対して、本来的マルクス主義は<共同体-即-国家>の棄揚ま でを視野に入れることになる。それが国家社会主義を克服する理論的 支柱となる。


 しかしこのはっきりしたことが、今まで誰のロからもいわれていな いんです。それでいて、<国家社会主義>に対するばかげたアレル ギーというものは、ずっとあるんです。しかし重要なことは、今ま での〝マルクス主義″の水準では、<国家社会主義>を絶対理論的に 克服できないということです。

 しかし、戦後の日本右翼には戦前のそれに比して優れた人が出てい ませんから、<国家社会主義>といってもこれまで非常にレヴェルが 低いところでもって再構成されているわけですけれども、例えばこれ が権藤成卿・北一輝であるとか、特に権藤成卿の国家観というものが、 正確に再構成されて〝マルクス主義者″に突きつけられた場合、これ はもう全くどうしようもない、いわゆる〝マルクス主義″は雪崩を うって崩壊するんではないか、これは人数的な問題ではなく、思想的 な、最も最良の部分において崩壊する、それは、実質的な崩壊といっ てよい。ただそういう卓越した<国家社会主義者>というものは、幸 か不幸か、戦後出ていないわけです。出てない、つまりこれは、ダ メな〝右翼″と同じくダメな〝マルクス主義者″というものとが、 見事に対応しているということだと思います。


 官許マルクス主義は<共同体-内-国家>の棄揚の具体的な構造論を 提出できずに、〝国家の死滅″をお題目として唱えることに始終して しまった。このことは<共同体-即-国家>の棄揚の場合にも危惧され ることだ。

 <共同体-即-国家>の棄揚(「世界革命」といってもよいだろう。) も、その過程的構造を解明・提出し得なければ、「世界革命」を お題目として唱えるだけであり、全く意味がない。

 周知のようにわが国でいえば〝新左翼″の場合には、単純な〝世 界資本主義論″に立脚した・いわば連鎖反応的な〝世界革命″論が 支配的であり、他方〝正統マルクス主義者″つまり〝一国社会主義 者″の場合にも、〝一国社会主義革命″の漸次的な積み重ねという ものが、そのまま自動的に〝世界革命″につながるというような、 一種の待機主義的世界革命論があって、<世界革命>という言葉で 語られる<理念>の内容には違いがありますが、みな一様に〝世界 革命″をいうわけです。

 しかしながら、国家社会主義者が傲然と居直った<共同体-即-国 家>というものは、今まで<死滅>したことは一度もない、<原始社 会>以来一度もないんですよ。これを一体<死滅>させることができ るのかという、大きな、最も根本的な疑問に答えることなくして、 <世界革命>という言葉は、やはり使うべきでない。使うとすれば、 少なくともそういう問題意識をもって、非常に地味な、理論的・学問 的な研鑽ということを積み重ねていかなければならない。そうでなけ れば、雪崩をうった思想的な崩壊ということは眼にみえているという ことなのです。


 『<共同体-即-国家>というものは、今まで<死滅>したこと は一度もない、<原始社会>以来一度もない』という認識は、柄谷 さんが「世界共和国へ」の中で「国家をその内部だけで考える見方」 の弊害を繰り返し述べていたことと重なる。そして、柄谷さんの 「世界革命」が「世界共和国へ」だったということになる。

 滝村さんはここではまだ「<共同体-即-国家>の棄揚の過程 的構造」を提出していない。「非常に地味な、理論的・学問的な研鑽と いうことを積み重ねていかなければならない。」という言葉は、誰に対 してよりもまず、ご自身に向けて発せられたものだろう。

 私の手元にある滝村さんの著述は全て20~30年以上も前のものだ。 その後の滝村さんの理論的発展を知る機会を、怠惰な私(あるいは 仕事のためと言い訳もしておこう。)は持とうとしなかった。でき たら挽回したいと思っている。
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