2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
第694回 2006/12/29(金)

唯物史観と国家論の方法(16)
「ブリュメール十八日」(2)


 『プリュメール十八日』でマルクスは、ボナパルトの政権掌握の直接の原動力はナポレ オン一世期に形成された「ナポレオン的観念」、つまり「ナポレオンという名まえをもつ 男が自分たちにすべての栄光をとりもどしてくれるだろう、という奇跡信仰」の復古的 再生であったとしている。しかし、それは根本的原動力ではない。その根本的原動力と して、二月革命以来の民主共和政(第二共和政)下で展開された諸階級・階層間の 経済的・政治的利害対立にもとづく激烈な階級闘争の帰趨を分析している。それを 滝村さんは次のように解説している。


 すなわちボナパルトは、一方では主に「分割地農民」を階級的基盤に直接的に選出さ れた共和制下、大統領-執行権力を牙城とし、他方では、その特殊な地位が可能とする 議会内政治的諸党派間の不和・対立・抗争の巧妙な利用によって、第三権力の中枢、正 確には大革命以来の相次ぐ外戦と階級闘争に対する内・外政治的秩序維持と、商業ととく に産業における資本制的生産様式の構造的展開が要請する社会・経済政策の積極的かつ 多面的遂行(社会的・経済的秩序維持)の必要から、驚く程(例えば英・米に比して) 中央集権的に集中された軍事・官僚機構として強化され強大化していた、第三権力の 中枢を、実に雑多な分子(上は没落王党派の金融貴族から下はルソペン・プロレタリアに 到る)から速成的にかき集めたボナパルト党派を先導して、掌担することに成功した。


 ボナパルト党派の中心的役割を担った「分割地農民」は、二月革命以来のブルジョア ジーの独裁のもとで、資本の直接的支配(高利貸付・抵当債務)と国家的支配(苛酷 な強制・租税)によって無惨なまでに痛めつけられていた。それが「分割地農民」が 「ナポレオン的観念」をボナパルトを大統領に選出することによって再生させて いった社会経済的な要因であった。しかし、それを黙認せざるを得ない事情が支配階級 (ブルジョア諸層)側にもあった。


 ブルジョア諸層は、商業ブルジョアジーも、その金融貴族的部分も、産業ブルジョア ジーも、要するに彼らの直接の政治的代理人たる議会内党派・「秩序党」が、ボナパルト にけしかけられて小ブルジョアジーの議会内政治的代理人たる「山岳党」を壊滅させた のはいいとしても、その後、一方におけるボナパルト―執行権力との政治的対立と イザコザ、他方における階級的な共通敵の消滅によって必然化された内部的不和・対立 と元の政治的諸分派への解体の過程をみて、二月革命以来の長い革命的危機をつねに学 んだ政治的対立・抗争・変転、つまりは落ち着きのない政情不安が一向に改善されそう にもないことに、当初はうんざりし、次にはすっかり腹を立てて、ついには自己の政治 的代理人に見切りをつけ、彼らを実質的には見殺しにした。

 彼らは、相次ぐ政情不安は被支配階級に対する首尾よい経済的搾取をさえ不可能に するとして、ふがいない自己の政治的代理人が肝心なときに不和・抗争している今と なっては、ボナパルトの「強力政府」による安定的な政治的秩序維持を、何よりも 自己の経済的利害のために望んだのである。換言するならは、彼らは、ボナパルト (党派)への間接的支配で今後何とかやっていく他ないと、観念せざるをえなかった わけである。これは一体何を意味するか?

 ブルジョア諸層は、議会党を通じて直接的に支配する、本来なら彼らの排他的な階 級的独裁にとって最も好便であるはずの、民主共和政体の廃棄に、いやいやながらも 同調せざるをえず、少なくともボナパルト―執行権力によるその積極的破壊、すなわ ち「秩序党」の政治的圧殺を帰結せしめる、ボナパルト―執行権力による特異な軍事 的専制政体創出への政治的改革に、消極的支持ないし黙許を与えざるをえなかった。 ということは、ブルジョアジーの統治階級としての敗北の宣明であり、政治的支配階 級としての未成熟を遺憾なく露呈したものであった。

スポンサーサイト
 コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
 トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://adat.blog3.fc2.com/tb.php/708-7ffb7baa
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
ホワイトカラーエグゼンプションの本質は、「労働対価(給料)を測る尺度(物差し)を【時間】から、【成果】に切り換えましょう。」ということだ。だから、残業代を支払わないのではなく、残業という概念自体が存在しないのだ。尺度が変わるとは、例えば、「時間いくら」の
2007/01/11(木) 07:07:23 | ベンチャー起業の秘訣!無料アイデア付き