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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
第684回 2006/12/18(月)

『国家意志』とは何か(3)
国家支配の存立を可能にしているのは何か。


謬見1
『被支配階級は、なぜ支配階級の意志を普遍的な「共同利害」と幻想してしまうのか』


 このような見地が意味を持つのは『国家的支配の実現諸形態に関わる問題』としてで あって、『国家的支配の本質論とくに規範論に関わる問題』ではあり得ない。例えば、 このような発想を敷衍すると次のような見解に結びつこう。

『国家支配は、被支配階級が支配階級の意志を社会全体の「共同利害」にもとづく普遍的な意志と 幻想し錯覚してしまうからこそ可能であり成立している』

 これは国家支配の本質論的見地からは謬見というほかない。そして、このような謬見は 『法的規範に関する最も基礎的無理解が前提となっている。』と、滝村さんは言う。


 まず銘記さるべきは、支配階級も被支配階級も社会の構成員である以上、社会全体の 秩序維持に関わる普遍的な法的規範としての国家意志に服従するよう強制されている点 である。すなわち法的規範への服従を強制されているという点では、支配階級も被支配 階級もない。ひとたび国家意志として観念的に対象化されれば、<悪法も法なり>として 強制され強引に貫徹されるのである。

 従って国家的支配の存立を本質論的に把えるならば、国家意志が国民的諸階級・階層 から意志の服従を獲得することによって、国家意志が社会全体にすみずみまで貫徹され ていること、この意味で国家意志を基軸とした国民的諸階級・階層全体との、意志の体 系的な支配=従属関係が実現されていることを示している。

 換言するならば国家的支配、すなわち国家意志による国民的諸階級・階層からの意志の 獲得が、強制的に断行されようが、両氏がいう<被支配階級の幻想と錯覚>といった純然 たるイデオロギー的同化によって達成されようが、それらは国家的支配の実現諸形態に 関わる問題であって、国家的支配の本質論的存立に関わる問題ではありえない。


謬見2
『いかに「法」を作成し、その中に階級的意志を反映させたとしても、「法」自体には 階級性はない』


『こうして国家形式としての法治国家が形成されるのだが、それ自体は何ら階級的性格を 有するものではない。なぜならば、それは第一に、それが市民社会として被支配階級にも 共通する現実的基盤を有しており、第二に、法とは普遍性そのもののことであるからであ る。しかしこの形式を守護し、遵守すること自体が資本主義社会における支配階級を保存 し、その支配を永久化する機能を果たすものである』

 このような見解は、私にもはっきりと謬見であると判断できる。国家意志形成や その展開の現実過程から得られる経験知の見地からでも、このような見解を認めることは できない。こうした謬見に対する滝村さんの理論的な補正は次のようである。


 両氏は一体、大きくは公法・私法区分において体系化された一般的諸法や関連個別 的諸法、またそれらに直接依拠した形で現実化される<政策>としての国家意志の展 開等、そのどれでもよいが、これらの国家意志形成が内的に孕む壮大な歴史的ドラマ を、一度でも追究してみたことがあるのだろうか?

 まず、不断の相互的対立と抗争にあけくれる支配階級の意志が、総資本的意志として 大きく一般的に集約され強力に押し出される過程自体、多くの場合内部的自主調整が不 可能で、有力政治家や高級官僚の直接的関与を必要としている。それらを通じて、支配 階級内部での対立・抗争の制御と調整が、ときどきの階層的力関係に応じていわば暫定 的に確定される。そして、かく形成された総資本的意志が、国家意志としての実質的転 成を実現する過程には、さらに被支配的な諸階級・階層の意志や、幻想上の「国民的 一般意志」としての<世論>が、複雑かつ多様にからみ合って規定してくる。

 確かに、主に一般的<法律>形態をとった国家意志には、ときどきの総資本的意志を 中心とした諸階級・階層的意志が、それ自体としてではなく、まずその背後にひそむ政 治的・社会経済的秩序維持に関わる高度の一般的性格においてとらえられ、次で<法律> 特有の形式的論理にもとづく抽象化が施されたうえで、反映されている。しかしこれは、 出来した特殊的・個別的事態への第三権力による普遍的な一般的対処としての 必要からのことであり、あくまで<統治>の技術的便宜と形式にもとづくものでしか ない。法的規範形態をとった国家意志の、歴史的・階級的所産としての根本性格を、少 しも否定するものではありえない。

 さればこそ法的規範は、歴史的・社会的諸条件の変化とともに、とくに諸階級・階層的 力関係の変化に伴なう階級的特殊利害の変化と要求によって、たえざる新たな立法とそれ に伴なう既成の法体系の形式的整備(関連個別的諸法の修正・廃棄等)を、否応なしに強 制されるのである。

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