2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
第677回 2006/12/09(土)

唯物史観と国家論の方法(6)
「スペイン絶対君主制」の特異性


 「スペイン革命」の舞台となる「スペイン絶対君主制」はヨーロッパの他の絶対君主制 とはおもむきをことにする。滝村さんはその問題をマルクスの「革命のスペイン」を 引用しながらたどっている。以下その論考をそのまま掲載します。(ただし読みやすく するために、段落変えなどをしている。)


 マルクスは、中世後期以降の簡単な歴史的概説の後で、

「すべての封建諸国家のなかで最初に、しかも最も純粋なかたちで、絶対君主制が成立し た、まさにその国で、中央集権化が一度も根をおろすことができなかったという現象を、 どう説明すべきなのか?」(以下マルクスからの引用はすべて『マル・エン全集第10巻』より)

という設問を自ら発して、こう答える。

「これに答えるのは、むずかしいことではない。争い合っていた封建階級 - 貴族と都 市市民 - の没落に踵を接して、大君主国がいたるところに樹立され形成されたのは 16世紀のことであった。しかしヨーロッパの他の大国家では、絶対君主制が、文明開化の 中心として、社会統一の創立者として、姿を現わしているのである。そこでは絶対君主制 は実験室であり、そのなかで社会の諸要素が混合され作用させられて、その結果、諸都市 が、中世の地域的な独立と主権とを中間階級の全般的統治と市民社会の共同支配とにとり かえることができるようにしたのである。「スペインでは、逆に、貴族が最も有害な特権を失わずに衰退してしまった一方、諸都市 は近代的な意義を身につけずに中世的権力を失ったのである」

 かかる中世的社会構成の特異な変質を基礎にして、

「絶対君主制が樹立されてから以後、諸都市はたえず衰微していくという状態にあって 生きのびてきているにすぎない。……(中略)……都市の商業および工業の面での生活 が衰退していくにつれて、国内の交易はまれになり、諸州の住民たちの往来はよりまば らになり、交通手段はなおざりにされ、大街道はしだいに荒れはてるようになった。こうして、スペインの地方生活、州と自治共同体の独立、つまり、本来この国の地勢 にもとづくものであるが、歴史的には各州がムーア人の支配から解放をかちとって独立 の小国家を形成したときの個々のやり方によって発展させられた社会の多様性 - こ れは、国民活動の源泉を枯渇させた経済的変革によって、いまや最終的に強化され確定 された」

 こうしてマルクスは、「スベイン絶対君主制」が、西欧絶対君主制の如くついに一度 も中央集権化されなかった歴史的根因を、封建的貴族と都市の中世的衰退により近代的 な統一的経済圏形成への道が大きく閉ざされて、地方的割拠の現実的基礎が固定された 点に求める。何となれば、

「国民的規模での分業および国内の交易の多様化から生じてくる共通利害の成長」

こそ、近代的中央集権化すなわち

「一元的行政組織と一般法の原則をつくりだすことのできる真の基礎」

だからである。
 かくして、

「スペインの絶対君主制は、ヨーロッパの絶対君主制一般と表面だけは似かよっているが、 むしろアジア的統治形態と同一の部類に入れるべきもの」

とされる。すなわち、経済社会的基底における国民的規模での交通関係の圧倒的欠如から くる、各種地方的共同体の自給自足的な独立的割拠に、より直接的に対応して軍事・徴税 ・裁判の三権を掌握する強大な独立的地方権力のうえに、中央権力としての王権が多分に 名義的な第三権力として君臨する、<アジア的>ないし<オリエント的>な統治形態を、 この「スペイン絶対君主制」のうちにもみることができるからである。これをマルクス 自身の実に見事な全体的かつ具体的な把捉をもって示せば、

「スペインは、トルコと同様、名目上の主権者をいただく、悪政下の諸共和国の集合体 にとどまった。専制政治は、副王や総督が一般法を勝手気ままに解釈するのにしたがっ て、各州でまちまちな性格をもつものとなった。しかし、政府は専制的ではあったが、 各州が異なった法律や慣習、異なった貨幣、異なった色の州旗、異なった税制をもちつ づけることを妨げなかった。東洋的専制政治(アジア的デスポティズム……註)は、自 己の利害に直接に対立したときにだけ地方自治を攻撃したが、自治制度が何かするとい う責務を自分の肩からとりのぞいてくれ、平素の行政の手間をはぶいてくれるあいだは、 喜んでその存続を許したのである」

スポンサーサイト
 コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
 トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://adat.blog3.fc2.com/tb.php/691-7e8b6913
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
 本文に取り掛かる前にお知らせ。バナーに「冤罪の温床 長期拘束反対!」の最終コマ
2006/12/09(土) 15:48:55 | 雑談日記(徒然なるままに、。)
 僕自身的には、「それでもボクはやってない」の評判が爆発的に広がっていることと、
2007/01/22(月) 22:43:20 | 雑談日記(徒然なるままに、。)
 amazonではどういう訳か検索しても出てきません。楽天ブックスで購入すること
2007/02/07(水) 06:34:36 | 雑談日記(徒然なるままに、。)