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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
第673回 2006/12/04(月)

唯物史観と国家論の方法(3)
<近代>以前の国家の支配形態


 前回みた方法論の根底的な特質をまとめると次のように言える。

 <近代国家>の原理的解明とは、近代国家をその直接の歴史性において問題とする のではなく、あくまで完成的に発展した国家的支配としての 一般性において理論的に追究することである。従って、その原理的作業には、 <近代>に向ってより完成的に発展しつつある<アジア的>・<古代的>・<中世的>等 の、未熟な<世界史的国家>に対する理論的把握を欠くことはできない。つまり、国家論の 原理的解明には<世界史>の発展史観が直接に原理上の<科学>的方法として繰り込まれる ことが必要不可欠である。

 次に滝村さんは、<世界史>の発展史観を方法上の根幹とした社会的事象の原理的解 明の実際の例として、国家の原理的把握の概略を論述している。これまでに取り上げて きた関連記事と重複する部分が多いが、逆にこれまでの総まとめという意味で、滝村さ んの論述を追ってみる。

 <アジア的>・<古代的>・<中世的>などの<世界史的国家>については シリーズ『国家の起源と本質』で個々にその国家的支配の形態を取り上げているので、 ここでは、「<近代>以前の国家」ということで、それらのまとめとして概観する。

  <近代>以前の国家的支配は、支配共同体または共同体支配者という形態をとった 支配的階級権力が直接に第三権力を構成している。従って、支配的階級意志が直 接に国家意志として君臨している点で、すべて共通している。

 ちなみに、柄谷さんはこのことを「経済的な構造と政治的な構造の区別はありませ ん。」と考えて、近代資本主義国家以前では「国家が経済的な下部構造の上にある 上部構造」というマルクスの理論は成り立たないと断じたのだった。しかし、 上部構造と下部構造の関係は「下部構造が上部構造を規定する」と読み取るべきだと 、私は考える。そのことは<近代>以前の国家については次のように解明される。

 第三権力が未だ支配的階級権力から相対的に分離するまでに到っていない、つまり <社会の体制的秩序維持に任ずる第三権力>という国家の本質的構造を発展的に分化 していないと言う意味で、<近代>以前の国家は「完成されざる未熟な歴史的 国家」なのである。そしてこれは、社会・経済的基底における各種の単位的共同体 (村落ないし都市)を軸にした地域的社会が、多かれ少なかれ自給自足的な割拠的独 立性を把持していて、未だ統一的かつ有機的な国民的経済圏を形成していない、言い 換えると近代的社会のような国民的・統一社会的規模での生産関係を形成するまでに 到っていない点に、現実的な基礎がある。

 以上のような理由で、諸階級・階層の<特殊利害>と<国民的共通利害>との構造 的分裂はみられない。従ってまた、直接に現実的な <国民的共通利害>と幻想的な「国民的共通利害」 という形態をとった<政治的>・<社会・経済的>国家意志の構造的発展はいまだ見 られない。とくに後者の<社会・経済政策>において顕著である。これは経済的な支配階級が 同時に政治的支配階級であるという支配形態の当然の帰結である。

 これを法的規範という国家意志の面から見ると次のように言える。
 <公法>・<私法>の発展的分化にいたるまで一般的諸法の形成と発展はみられ ない。つまり、第三権力は、中央権力自身も含めて、独立割拠的な地域社会に君臨する 半ば独立的な各地域的統治権力によって担われていて、不断の対立・抗争を をしながらの相互重畳的な形態で分掌される他なかった。言い換えると、 一般的諸法の構造的展開を前提とした一元的統治組織の実質的不在、ということになる。

 また司法権についてみると次のようになる。
 支配的階級意志が直接に国家意志として君臨する体制下では、法的規範とし ての国家意志は、実定的な一般的法規範としての本来的性格を充分に発展させるこ とができない。そこで第三権力の直接の組織的・制度的構成における<三権的分化>、 とくに<司法権>の独立化が原理上不可能となる。従って、中央的・地方的の諸権を 問わず、それらはすべて法制的にはとくに刑事裁判権形態をとった専制的統治権力と して現出する他ない。

 またさらに租税については次のようである。
 多くの場合半ば独立的な地域的統治権カとして押し出される支配共同体 または共同体支配者形態をとった支配的階級権力が、直接に第三権力を構成する以上、 観念的な政治的支配権に関わる<租税>とくに地租と、現実的な経済的所有権に関わる <地代>とが、未分化の混淆的形態で現われる。地租は多かれ少なかれ地代形態を とって現出する他ないのである。
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