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第654回 2006/11/11(土)

国家の起源とその本質(14)
<世界史的>国家と<近代国家>(2)


 これまで見てきたように、<世界史的>国家はいまだ未熟な発展途上にあるとはいえ、 外的国家構成(<共同体―即―国家>)と第三権力(<共同体―内―第三権力)形成の 一定の歴史的進展を示している。

 しかし完成的に発展した国家的支配としての<近代国家>からみた場合、それは 外的国家支配の強烈な先行性に比して第三権力形成が圧倒的に立ち遅れているという 共通の歴史的特質をもっている。

 その原因は、各種の単位的共同体(村落ないし都市)を軸とした地域的社会のもつ 自給自足的な小宇宙的完結性にある。つまり、社会的分業と交通関係の多様でかつ 全面的発展にもとづく一般的共通利害が形成されていなかった。したがって、 近代的な「一元的行政組織と一般法の原則」(マルクス)を生み出すべくもなかった。

 もう少し詳しく言えば、単位的共同体を軸とした内部的には比較的密な各地域的社会 間の交通関係がきわめてゆるい形での連関にとどまっている歴史的段階であることを示 している。階級・階層的分化と形成という面でみれば、単位的共同体の内・外で形成さ れ進展しつつあった階級・階層的差異・対立が、地域的統治権カとして構成される各地 域的社会の形式的独立性のなかに分断され閉塞させられ、統一社会的規模における国民 的諸階級・階層として形成され、登場するまでには到らないことを示している。

 これに対して<近代>市民社会においては、特定地域の産業が、その業種・部門にかか わらず全て、統一社会的規模での網の目の如き交通関係に幾重にも媒介されて、客観的 に国民的産業として編成される。

 統一社会的・国民的規模での社会的分業と交通関係の多様な構造的進展は、国民的緒 階級・階層の分化を必然化する。そしてそれに伴なう国民的<共通利害>と階級・階層 的<特殊利害>との構造的分裂が第三権力を必然化する。つまり、直接現実的な <共通利害>と、階級・階層的<特殊利害>の幻想的な「国民的共通利害」との 保護・統制に任ずる国家権力を完成的に発展せしめた。

 このように、<近代的>国家権力は、外見上は、国民的諸階級・階層とくに支配階級と被支配 階級の二大階級権力の上に立つ階級的社会の<政治的>・<社会・経済的>な体制的 秩序維持に任ずる第三権力として君臨することになる。そして、対外的諸関係をも 含めた高度の統一国家的レヴェルでは、諸階級・階層を抽象的な「国民」として束ねる、 <国民国家>の組織者という幻想的形態をとることになる。

 以上のまとめにあたる記述を引用する。

 歴史的<国家>形成の理論的検討において最も肝要な点は、完成的国家支配を歴史的に 現出せしめた現実的基礎としての<近代的>市民社会が、実は戦争と交易を不断に錯綜さ せた共同体間交通諸関係の長い<世界史的>発展過程を通じてはじめて形成されたことを、 しかと確認することにある。

 かかる<近代的>市民社会形成の<世界史的>過程において、ときどきの歴史的 <国家>形成に直接焦点を合わせるならば、つねに支配共同体ないし共同体支配者形態を とった支配的階級権力が、直接に未熟な第三権力を構成し、支配共同体が他共同体、正確 には独立的な地域的統治権力形態をとった地域的社会を直接かつ個別に束ねる、直接に 内的国家体制としての性格をもった外的国家体制の外延的拡大として現出する他なかった ことを、容易に看取できる。

 因みに<アジア的>ないし<オリエント的>国家形成に象徴される如く、かかる歴史的 構造下での国家的支配の極限的発展は、たかだか<祭祀的・軍役的・貢納的>支配を実質 とした支配共同体による外的国家支配のための、軍事的・行政的(つまり徴税・財政及び 裁判)官僚機構と帝国的刑法・行政的諸法を、偏奇的かつ体系的に肥大させたにすぎな かったからである。


 まだまだ知るべき事柄を多く残しています(とくに<アジア的国家>について)が、 とりあえず、このシリーズはここで終わりにして「世界共和国へ」に戻ります。 国家論については必要に応じて補足していくことにします。
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