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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
国家の起源とその本質(4)
<外的国家>の形成


 これまで「国家論におけるマルクス主義と国家社会主義」の前半分の「国家論」 を要約してきました。今回からは、柄谷さんの「原始社会(部族的共同体)においては、 そもそも国家がなく、…」という記述部分で疑問に思ったことを考えたい。

 「原始社会(部族的共同体)においては、そもそも国家がな」いという主張は、 言い換えると<部族国家>という概念を否定する立場です。これはエンゲルス の『家族・私有財産及び国家の起源』(以下単に『起源』とする。)に対する レーニン解釈を神格化し信奉している「正当マルクス者」たちの主張するところ です。滝村さんはこれを実証的にも論証的にも批判して国家論を展開しています。 今度の問題についてもやはり滝村さんの論文を教科書とします。まず『国家の本質と起源』( 勁草書房)所収の「歴史的国家の形成 第一章<部族国家>とは何か?1原始的共同体 と部族国家」を読みます。以下はその要約です。

 一般論として、歴史的にも論理的にも<共同体-即-国家>の形成が <共同体-内-国家>の形成に先行する。その概略は次のようです。

 <氏族>的構成を日常生活上の基本とし、<部族>的あるいは連合部族的結合 を他の共同体と区別される<協同社会性の最大の範囲>の上限とする<原始的>共同体を 考察の対象とする。

 <原始的>共同体は<共同体-間-交通関係>にもとづく<共同体-間-社会分業> という段階にまで進展したとき、地域的かつ文化的な小世界圏を生み出す。  この段階での共同体は内的には<原始的>構成体の本質をいぜん堅持したまま、 同時に外部的には他共同体を半ば恒常的に支配・隷属させ、<共同体-即-国家>形成 への第一歩を開始する。その事例として『起源』から次の文が引用されている。


 大多数のアメリカ・インディアンは、種族への結合以上にはすすまなかった。 小人数の種族をなし、広い境界地帯でたがいに分離され、不断の戦争のためによ わまっていた彼らは、少数の人間で広大な領域を占領していた。そこここで、 一時の危急に応じて、親縁諸種族間の連合がつくられ、その危急の情勢が去る とくずれた。しかし、個々の地方では、もともと親縁関係にあった諸種族が 分裂状態を脱し、ふたたび結合して永続的な連合をつくり、こうして民族(Nation) 形成への第一歩をふみだしていた。

 合衆国では、イロクォイ人のあいだに、このような連合のもっとも発達した形態が 見いだされる。彼らは、ミシシッピ河西部のその居住地 ― そこでは彼らはおそら く大ダコ族の一支族をなしていたと思われる ― を去って長い漂泊をつづけたのち、 セネカ、ケユーガ、オノンダガ、オネイダ、モホークの五種族にわかれて、現在の ニューヨーク州に定着した。彼らは、魚肉や野獣肉や粗放な園圃耕作で生活し、たい てい柵でまもられた村落に住んでいた。

 人口はかつて二万人をこえたことがなく、五種族のすべてにわたっていくつかの 共通の氏族をもち、同ー言語の、たがいに近い親縁関係にある諸方言をはなし、 いまや一つながりの領域を占居してそれを五種族のあいだに分割していた。

 これはあらたに征服した領域であったから、駆遂した相手に対抗してこれらの種族 が慣習的に協力したのは自然であり、これが発展して、おそくも15世紀初頭には本 格的な『永久的連合』、連盟(Eidgenossenschaft)になった。

 連盟はまたじきに自分の新しいカを感じて攻撃的性格をおびるようになり、その 勢力(Macht)の絶頂期である1675年ごろには、周囲の広大な地域を征服して、その 住民をなかば駆逐しなかば朝貢させていた。

 イロクォイ人連合は、未開の低段階をふみこえない範囲内で(したがってメキシコ 人、ニュー・メキシコ人をのぞく)インディアンの達成した、もっともすすんだ社会 組織であった。


 滝村さんはここで<朝貢>という事実に着目する。


 いうまでもなく<朝貢>という事実は、それだけですでに<共同体>が他共同体に 対して<支配共同体>として君臨すること、もう少し正確にいえば、共同体の <外的意志>が他共同体に<貢納>を強制する内容をもつことによって、他共同体 を支配・抑圧する<外的国家意志>の最も素朴な形態へと転化し、そのことによって <外的国家>形成への第一歩が踏み出されたことを意味している。
 

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