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第634回 2006/10/13(金)

『柄谷行人著「世界共和国へ」を読む』(1)
「世界統一」という妄想


 「世界」の範囲は時代によって違う。そのそれぞれの「世界」で「世界」統一は古代から征服者 たちが妄想した夢だった。もちろん、その夢は全世界の住民の安寧と共生を目指すものではなく、 征服という支配と隷属の拡大に過ぎなかった。

 今は全地球を世界と呼んでいる。ブッシュの頭の中にも世界統一の妄想がある かもしれない。しかしその妄想も、手前勝手な「自由と民主」を押し売りする一種の 征服でしかない。

 その名が示すとおり統一教会もカルト宗教による世界統一を妄想している。創価学会も 同じ妄想に取り付かれている。これも一つの宗教を押し付けようとする世界征服の 野望の一種です。

 「世界は笹川一家、兄弟は皆人類」。いや違いました。「世界は一家、人類は皆兄弟」 という標語を掲げていた笹川良一が描く理想の世界は、天皇を頂点とし日本を 第一の股肱国家とするピラミッド型の世界体制であり、これも征服の思想に過ぎない。 。私は「アインシュタインの予言」(「第522回 2006年6月12日」で取り上げていま す。 )を思い出した。

 インターネットを検索してみたら、個人的な提唱から一番大きなところでは「世界連邦 運動協会」まで、「世界連邦」の花ざかり。「日本ナチ党」と名乗る得体のしてな い団体までも「世界連邦」の理想を掲げている。

 世界連邦運動協会はどういう理想を掲げているのだろうか。

 第2次世界大戦末期において成立した国際連合が戦争抑止力の低いことを痛感 した世界の科学者・文化人たちがより強力な世界連邦の形成をすすめることで、 世界から戦争を無くしていこうと決意し1946年ルクセンブルクにおいて「世界連 邦政府のための世界運動」を起こした。この運動にはバートランド・ラッセル、 アルバート・アインシュタイン、シュバイツァー、ウィンストン・チャーチル、 湯川秀樹などが賛同した。そして、現在まで名前を変えて続いている。

世界連邦運動は

1. 国連を強化して世界連邦政府に発展
2. 各国の軍備を撤廃

することを目標に活動している。
(「ウイキペディア」より)

 この協会は国際的な広がりのあるかなり大きな団体に成長している。 「日本世界連盟運動協会」は今回の北朝鮮の核実験に対し声明文を発表している。 核所有国に対する核兵器撤廃の訴えをも盛り込んだ一応まともな声明文です。

 しかし、この運動に対する大衆的な支持や盛り上がりが一向にあがらないのは 何故だろう。

 国会の中にも超党派の「世界連邦日本国会委員会」というのがある。1949年 に結成されている。かれこれ60年にもなるのにほとんど実績がない。少なくとも私たち 庶民には届いていない。
 「超党派」というのがネックなのでしょう。世界連邦の理想とは全くかけ離 れたイデオロギーの持ち主まで多数シャーシャーとして加わっている。今度の 北朝鮮に対しても先制武力攻撃を声高に主張しかねないお歴々がいる。何しろ 現在の会長が森山眞弓だそうです。とても本気の活動があるとは思えない。

 知識人・文化人と呼ばれている会員たちについても本気の活動は見られない。 国会議員の加入動機が選挙対策だとすれば、こちらの加入動機は平和主義者の免 罪符のためか。あまりにうがちすぎているだろうか。しかし、この運動がまともに 機能してきていたのなら、大日本帝国のゾンビたちに国家権力の中枢を 占拠されることはなかっただろうし、「九条の会」を立ち上げる必要も なかっただろう。

 もう一つ、この運動には重要な理論的欠陥がある。いや、「平和」「戦争反対」 をお題目にしているだけで、理論そのものがないのです。つまり、現在の国民国家や 国際関係のリアルな分析や、それをもとにした国家や国際関係の変革の道筋を示す 理論が全くない。したがって「世界連邦」を現在の国連の延長上にしか想定でき ない。この協会には社会上層部の一部の人たちの自己慰安ほどの意味しかないと言ったら 言いすぎだろうか。

 思いがけずに長くなってしまった。以上は、新シリーズ『柄谷行人著「世界共 和国へ」を読む』の序論でした。
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