2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
601 「ほんとうの考え・うその考え」―ヨブの主張(1)
「ヨブ記」概略―「序曲」から「生まれた日への呪い」まで
2006年9月8日(金)


(以下は吉本さんの論考の要約ですが、前テーマの場合と同様に、 「吉本さんによれば…」とか「…と吉本さんは述べている。」とはいう添え 書きはしないで、まるで私自身の考えを述べるように書いていこうと思いま す。逆に私の見解を述べる場合はそのことを明記します。なお、ヨブ記から の引用は新共同訳版の「聖書」を用いています。)

 ウツの地にヨブという「無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きて いた」信仰深い人がいた。七人の息子と三人の娘をもち、羊が七千匹、らくだ が三千頭、牛が五百くびき、雌ろばが五百頭、それに使用人が大勢いて、東の 国で一番の金持ちだった。ヨブの一家は息子たちが順番に家族の宴会を催し て、そのたびごとに敬虔に神に祈る習慣になっていた。

 ある日、神の前に神の使いたちが集まり、悪魔もやってきた。


神 「お前はどこから来た。」
悪魔「地上を巡回しておりました。ほうぼうを歩きまわっていました」
神 「お前はわたしの僕ヨブに気づいたか。地上に彼ほどの者はいまい。
   無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きている。」
悪魔「ヨブが、利益もないのに神を敬うでしょうか。
   あなたは彼とその一族、全財産を守っておられるではありませんか。
   彼の手の業をすべて祝福なさいます。お陰で、彼の家畜はその地に
   溢れるほどです。ひとつこの辺で、御手を伸ばして彼の財産に触れて
   ごらんなさい。面と向かってあなたを呪うにちがいありません。」
神 「それでは、彼のものを一切、お前のいいようにしてみるがよい。
   ただし彼には、手を出すな。」

 悪魔は喜んで試みをはじめる。
 まず長男の家で宴会をしているときに、シュバ人が牧場に襲いかかり略奪 して、牧童たちもみんな切り殺されてしまう。
 それからすぐ、天から雷が落ちてきて、羊も羊飼いも全部焼け死んでしまう 。
 また、らくだが襲われ奪いとられ、牧童たちは切り殺されてしまう。
 それから長男の家で宴会をしているとき、大風が四方から吹きつけ、家は 倒れ、長男はじめ子どもたちはみんな死んでしまう。

 ヨブは「「わたしは裸で母の胎を出た。裸でそこに帰ろう。主は与え、主は 奪う。主の御名はほめたたえられよ。」と言って、すこしも不平を申し述べな いであつい信仰を示す。


神 「お前はわたしの僕ヨブに気づいたか。地上に彼ほどの者はいまい。
   無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きている。
   お前は理由もなく、わたしを唆して彼を破滅させようとしたが、
   彼はどこまでも無垢だ。」 
悪魔「皮には皮を、と申します。まして命のためには全財産を差し出すもの
   です。手を伸ばして彼の骨と肉に触れてごらんなさい。面と向かって
   あなたを呪うにちがいありません。」
神 「それでは、彼をお前のいいようにするがよい。ただし、命だけは奪うな。」 

 悪魔はヨブの頭のてっぺんから足の裏までひどい皮膚病にかからせる。 ヨブは灰のなかに坐り、素焼きのかけらで身体中かきむしって、痒さを止めようと した。ヨブはたちまち見るかげもない人間になってしまう。

 ヨブの奥さんは、
「どこまでも無垢でいるのですか。神を呪って、死ぬ方がましでしょう」
と言ったが、ヨブは答えた。
「お前まで愚かなことを言うのか。わたしたちは、神から幸福をいただいた のだから、不幸もいただこうではないか。」 と言ってヨブはなお耐え忍んだ。

 ヨブと親しい友人が三人、見舞い慰めようとやってくる。ヨブはそれと 見分けられないほどの姿になっていた。「嘆きの声をあげ、衣を裂き、天に 向かって塵を振りまき、頭にかぶった。」
 彼らは七日七晩、ヨブと共に地面に座っていたが、その激しい苦痛を見る と、話しかけることもできなかった。

 やがてヨブは次のようにじぶんの出生を呪う。


わたしの生まれた日は消えうせよ。
男の子をみごもったことを告げた夜も。 
その日は闇となれ。
神が上から顧みることなく
光もこれを輝かすな。 
暗黒と死の闇がその日を贖って取り戻すがよい。
密雲がその上に立ちこめ
昼の暗い影に脅かされよ。 
闇がその夜をとらえ
その夜は年の日々に加えられず
月の一日に数えられることのないように。 
その夜は、はらむことなく
喜びの声もあがるな。 
日に呪いをかける者
レビヤタンを呼び起こす力ある者が
その日を呪うがよい。 
その日には、夕べの星も光を失い
待ち望んでも光は射さず
曙のまばたきを見ることもないように。 
その日が、わたしをみごもるべき腹の戸を閉ざさず
この目から労苦を隠してくれなかったから。 
なぜ、わたしは母の胎にいるうちに
死んでしまわなかったのか。
せめて、生まれてすぐに息絶えなかったのか。 
なぜ、膝があってわたしを抱き
乳房があって乳を飲ませたのか。 
それさえなければ、今は黙して伏し
憩いを得て眠りについていたであろうに。 
今は廃虚となった町々を築いた
地の王や参議らと共に 
金を蓄え、館を銀で満たした諸侯と共に。 
なぜわたしは、葬り去られた流産の子
光を見ない子とならなかったのか。 
そこでは神に逆らう者も暴れ回ることをやめ
疲れた者も憩いを得 
捕われ人も、共にやすらぎ
追い使う者の声はもう聞こえない。 
そこには小さい人も大きい人も共にいて
奴隷も主人から自由になる。 
なぜ、労苦する者に光を賜り
悩み嘆く者を生かしておかれるのか。 
彼らは死を待っているが、死は来ない。
地に埋もれた宝にもまさって
死を探し求めているのに。 
墓を見いだすことさえできれば
喜び躍り、歓喜するだろうに。 
行くべき道が隠されている者の前を
神はなお柵でふさがれる。 
日ごとのパンのように嘆きがわたしに巡ってくる。
湧き出る水のようにわたしの呻きはとどまらない。 
恐れていたことが起こった
危惧していたことが襲いかかった。 
静けさも、やすらぎも失い
憩うこともできず、わたしはわななく。 

 このあと物語は「三人の友人との議論」になっていく。

スポンサーサイト
 コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
 トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://adat.blog3.fc2.com/tb.php/615-907cf271
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック