FC2ブログ
2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
344 〈東京「日の丸・君が代」強制反対裁判をすすめる会〉結成総会
参加報告(5)

太田堯さんの記念講演(1)
2005年7月28日(木)


 太田さんの講演の冒頭部分の要約を前回紹介した。磊落な話し振りでユーモアもあり、 心地よい笑いを誘ってくれる。演題は「教育とは何か」だが、私は「基本的人 権とはなにか」または「輪を広げるための基本理念」という副題をつけたい。
前回紹介した部分の続きから、できるだけ詳しく再現してみよう。


演題「教育とは何か」

 私は「どうなるか」という観点よりも「どうするか」という観点から問題提起をして みたいと思います。

 わが国の国というもの、その垣根が大変高い。僕らの前に聳え立っている。国語の先 生と、さきほどご自分でおしゃった先生がいらしゃいましたが、「国語」という言葉が 教科の中にちゃんと名前としてあるということも不思議じゃありませんか。「日本語」 でしょ。「イングリッシュ」であったり「フレンチ」であったりするのに、どこの教育課 程をみても、日本だけは「国語」で通っているのですから……。国の言葉ですか。私は 国に国家に属している言葉ではないと思います。「国語」という言葉が戦前から戦後まで カリキュラムの中にズーット定着していても気がつかないという状態は、私どもがいろい ろなところで感じることがある、その一つに過ぎないとおもいます。

 たとえば、昭和天皇。50年在位、60年在位にあたって、国を挙げては言いませんが、政府 を中心に盛大なさわぎが行われたことはご承知でありましょう。ですけど在位50年、在位60年 と言いますけれど初めの20年は神様じゃないですか。後の30年、40年ということになれば これは人間になられたことになっているんですから、神から人間に一夜にしてなったわけですから ……。
 満州国皇帝の溥儀はどうなりましたか。ソビエットに連れ去られて、そしてやがて、旅順でしたかね、 戦犯の刑務所に10年間いて、そこで一市民としての生活習慣を身につけて、開放され、釈放されて 一市民として生きていく。そしてこの世を去ったわけです。
 私どもの天皇は一夜にして神から人間になられたということの中にも、私どもは どんなに大きな課題をもっているかということを思い知らされるように私は思うのですが、如何でありましょうか。

 そういう観点から言うと、私どもは、どうしたらこの運動を広げられるか、私ども、 人々――ピープルの間に広い大きな輪を創っていくにはどうしたらよいか、そういうこと を真剣に議論すべきチャンスにしたいものというふうに思うのです。
 人々――ピープルとピープルとの連帯というものを生み出していくにはどうするかという、その手がかりになるのは何か といったら、私はこれはやっぱり「基本的人権」というのが手がかりになるとい うふうに思うのであります。

 「基本的人権」というものがわが国の憲法のカギとなる概念であることは、縷々 申し上げる必要はないわけです。しかし同時にこの「基本的人権」「個人の尊 厳」「良心の自由」というものは、国連憲章の中の基本精神でもあるわけですし、 「こどもの権利条約」の中の基本精神でもあるわけだし、「憲法」「教育基 本法」というものの核心にある精神でもありませんか。そうだとすれば、我々は 「基本的人権」というものを手がかりとしてピープルとピープルとの連帯を創造 するというところに、私どもの「日常感覚」「日常生活」「日常の集会」、そうい うものの中にそれを生かすということが必要なのではないかと思います。
 さきほど槙枝さんは知らぬ間に代表になっていたとおっしゃいましたが、(笑い) 「良心の自由」を問題にするこのグループで、知らぬ間に代表にされている ということが平気で通っていて、なんでもないという、たいへん進歩的な皆 さんが、…(槙枝さんの方を向いて)お認めにならない方がいいですよ。(爆笑) ごめんなさい。(向き直って)
 そういうふうに「良心の自由」とか「基本的人権」というものは、一体手 がかりというふうに考えるけれども、どういうことなのかということを、いま 私どもは考えないと、「どうするか」ということは考えつかないじゃないですか。

 「基本的人権」を辞書で調べると「生まれながらにして有する権利」と書い てある。いいことには違いないと思うけど、一体なんだろうということになる と、なかなか意味不分明というのが事実ではないかと思うのであります。
 そこで私はズーッと考え続けているのです。「生まれながらにして有する 権利」。いろいろ考えてきて、これは必ず、「生まれながらにして」だから 「いのち」と関係がある、こう思ったんで す。「いのち」の特徴というものと必ず関係があるに違いないと思った。
 法律では「基本的人権」はいろいろと難しい本がいっぱいあるんでしょうが、 ぼくは法律やそういうのは嫌いな方ですから存じ上げませんが、「いのち」から 「基本的人権」を考えてみようという努力を少しやってきたつもりなのです。

 では、「いのち」の特徴というのはどういうところにあるかというと、それは 実はまず第一の特徴、「いのち」と「いのち」の連帯を考えるのですから、その 「いのち」というものの特徴を考えなくてはならない。その特徴の第一はどうい うことかというと、「違う」ということです。生命個体はみな違う。一木一草み な違う。同じ草がありますか。同じ桜の木がありますか。一匹のブタだって、同じ ブタ、まったく同じブタがあるはずがありません。人間も勿論一人一人違っている。 我々一人一人が違っているというのは、あらゆる生命が持っている基本的な特徴 をぼくらが背負っているということではないかと思うのです。

 その「違う」というのが、なんで違うかっていうのが、これまた難しい問題だと 思うのです。それは「いのち」を創った方に聞かないとね、その理由は分からない ように思えるのですが…、推察はできると思う。それはおそらく「いのち」が多 様であるということはですね、もし同じだったらというところから考えたらいいと 思う。もし同じだったら天候の変化による異変で、サルであろうが人間であろうが、 あらゆり生命が天候の変化によっていっぺんにやられてしまう。伝染病でやられる ということも起こる。違っていますとね、生き残るのがいるんですと、かならず。 みんなここにいるのは生き残りなんですよ。(笑い)私は第2次世界大戦の生き残り 、36時間海で泳ぎました。また皆さんは交通戦争などさまざまな戦い、戦いと 言うのはあまりよくないかな、いろいろな苦労の中から生き残っていらっしゃる。 残りものというとちょっと具合が悪いけど(笑い)、しかし残ることによって種が 支えられるということになるのと違いますか。我々が生き残ってあることによって 種を支えているのじゃないですか。どこかの人間、人類というものの、どこかの 出番というものを、私たちは可能態として持っているのではないかと思います。

 そういうところに着目したときに、人間はどんな状態にあってもかけがえのない 値打ちを持っているんだというようなことを考えるようになった。特に市民革命 以後はそこから「基本的人権」という言葉を生み出したのではないだろうかと、 私は思うのです。つまりそれほど「違う」ということは重大な意味を持っている。 私ども自身のいわば種を支えているかけがえのない「いのち」としての「違う」 ということの中において語られている、こういうふうに考えてよいのではないか と、僕の推定といいますか、そういうことになるわけですね。
 ですから、さっきから輪を広げるとか何とかいう話がありましたが、それは、 みな違っていてその違いを前提にしてピープルとピープルが連帯するということ ではないですか。「違っている」という点が大事です。違っているにもかかわら ず、違いを前提にして結びつかなくてはならない。ところが、これが簡単じゃない のですよ。

 たとえば夫婦というもの、これはDNAから違いますから…(笑い)遺伝子を乗 せたDNAから違う構成で、それからどこで生まれるかという環境がも違いますよ。 だって豊かな家に生まれたいと思ったって、そうはいかないのですから、みんなしか るべきところに生みつけられるということになっている。その後がまた大変なんです。 キャリアが違うのですよ。だから夫婦といっても大きな溝が、夫と妻の間にはある はずであります。断崖絶壁ですよ。(笑)
 だけどそれがつながっているというということになると、明らかに違いを越えて つながっていくことになるんじゃないですか。だったら違いを認め合うということが 必要になりますね、当然。違いを受け入れあったからこそ夫婦が成り立ったんだという ふうに僕は思うんですよ。
 ところがです、僕の女房ともそうでしたけど、もう亡くなりましたけど、そう、意見が たまたま合ったときに、ああ私ども違っているのによくぞあったわね、というような 会話を交わしたことはありません。(笑)そうじゃなくて、自分の思うとおりに相手が 思わないとお互いに機嫌が悪い。(笑)毎日のように繰り返していたのではないかと 反省するわけです。(笑)

 違うんですから、違うということを前提にするということの付き合いだということで 、もうあきらめて思い込まないではね、いい関係はできませんよ。違うというところに 諦めをつけるところに、いい関係ができるんです。

スポンサーサイト



 コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
 トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://adat.blog3.fc2.com/tb.php/606-3c49d4ed
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック