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317 「日本」とは何か(9)
琉球と蝦夷(えぞ)を結ぶもの(2)
2005年6月30日(木)


 蝦夷の「38年戦争」を題材にした小説・高橋克彦著「火怨(かえん)」 (講談社文庫)を2,3年前に読んだ。大和の支配者より、蝦夷の住人たちの方が、比べ物にならない くらい高い精神文化を築いていたと思う。大和の支配者は野蛮で残虐である。私はこの物語の中で 蝦夷の人々に感情移入し、何度涙しただろうか。私は蝦夷のDNAを受け継いでいると確信したくらい だ。もっともこれは作者・高橋さんの力量に私が絡めとられただけのことかも知れない。

 シンポジウム「琉球弧の喚起力と南島論」での吉本隆明さんの基調報告の中に、琉球と蝦夷を結ぶ 指標となる興味深い指摘がある。三つ取り上げている。ウイルスと遺伝子を普遍的な「体内言語」と とらえて、そこからアプローチしている。もうひとつは文字通りの言語(方言)によるアプローチで ある。

まずATLウィルス。脚注によると
 成人T細胞白血病(Adult T-cell Leukemia)ウィルス。
 1981年に日本の研究者により、人の癌ウィルスとしてはじめて発見・確認されたレトロウィルス (遺伝情報を逆転写によっておこなうウィルス)。
 感染力は弱く、母乳・精液を介しての母子・夫婦感染と、輸血による人工的感染の経路が考えられ る。感染後の発病率もきわめて低く、約0・05%程度。
 人間以外にもサル(オナガザルの一部と類人猿の一部)から、ほぼ同様の構造を持つATLウィル スが検出され、感染の起源とそこからの進化・消滅の過程が推測される。

 ATLウィルスは母から子へと伝えられ、それ以外の伝播の仕方をしないので、母体から、その前の 母体へとたどっていくと、祖先までたどれるということになる。吉本さんは「これは言語の機能として いいますと、自己指示言語で、いつでも自分自身を指すという機能がATLウィルス・キャリア ーのもつ特徴だといえます。」と言っている。

 各地方におけるATLウィルスをキャリアーとしてもっている人の割合を吉本さんの講演から拾い出 して北のほうから順に並べてみると次のようになっている。


北海道におけるアイヌ人…… 45・2%
東北…………………………… l・0%
東京を含めた関東…………… 0・7%
近畿地方……………………… 1・0%
四国・中国…………………… 0・5%
九州地方……………………… 7・8%
八重山諸島…………………… 33・9%

 この分布を地図にまとめたものが掲載されているので、それを転載する。

分布図1


 これによると琉球と北海道の近親性がはっきりとあらられている。

 これに対する吉本さんのコメントは次のようである。
 このウィルス言語でわかることは、ひとつは天皇制の基盤は体内言語のひとつである ATLウィルス言語でいえば1・0%という数字です。つまり、1・0%という数字がいずれに せよ天皇制の根拠であるわけです。それにたいして八重山諸島を中心とする九州、南島 全般と北海道のアイヌはまさに天皇制の基盤にたいして断層をつくっています。このこ とは近年になってわかってきました。
 僕がはじめて南島論をやろうとかんがえたモチーフは、天皇制の基盤となるものを崩 していくにはどうしたらいいかということでした。そして天皇制成立より以前の問題が 南島にあるんじゃないかということでした。それを突きとめてみたいとかんがえて十何 年くらい前だと思いますが南島論にはいっていったとおもいます。
 いまはその問題はかなりな程度はっきりしてきました。天皇制の基盤はATLウィルスか らいえば、1・0%です。九州、それから南島、それから北海道のアイヌでは数倍から数 十倍の割合で天皇制の基盤にたいして、はっきりと断層を構成しているといえましょう。 さきほどの言葉でいえば、基層の映像として天皇制がつくった日本国家に比べれば、は るかに底の深いほうにはいって、まだ存在的な根拠をもっていることがとてもはっきりし てきたということです。それはATLウィルス・キャリアーは古アジア的な北方型のモンゴ ル系に固有なもので、いまのところこのウィルス・キャリアーは日本とアフリカだけに見 出されているものです。
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