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296 日本の支配者は誰か(3)
占領体制は天皇と官僚を利用した
2005年6月9日(木)


 敗戦はたしかに天皇制官僚に大きな打撃をあたえた。とくに日本の天皇制は、軍 事警察的天皇制の異名があったくらいで、その厖大な官僚的=軍事警察機関に大き な特徴があったのだが、敗戦はともあれ、それらを一応は骨抜きにした。最後まで 象徴的な形で残されて、いかにも名残り惜しそうだった三千名の禁衛府部隊もつい には解散されたし、内務官僚は内務官僚で、特高陣はもとより大政翼賛会から武徳 会関係までが追放の憂目をみた。

 大日本帝国の圧制に抵抗していた人たちや圧制に苦しめられていた人たちが連合軍を解放軍だ と思い込んだことを、今なら甘い幻想に過ぎなかったと批判できるが、当時としては当然の受け止め方と 言ってよいだろう。
 その幻想は1947年の2・1ストの挫折と、その後に続くレッドパージではかなくも潰えていくが、 実はアメリカの占領政策は当初からその幻想とは遠いものであったのだ。
 だがそれにもかかわらず、打撃は部分的であり、一時的なものだったといえよう。今日、官僚は 税金と公債に基礎をおく寄生機構=弾圧機構として、またかなりの独自性をもった政治勢力として、 相対的に昔以上と思われるほどの権勢を示しているが、彼らが容易に打撃から立ち直りえた第一の原 因は、アメリカ占領軍がいわゆる「間接支配」の道具として彼らを使ったことにある。
 たとえば安本を中心とする統制官僚の一派は、現にダレスードッジのラインに沿って「民主化」の 推進力となり、自由主義の「体制」をまもるためと称して国民経済軍事化のお先棒をかついでいるが、 (戦前の)内閣資源局時代この方、彼らの歩んできた足どりをみると ―― 企画院 事件のように「赤」だといってしめ出されるという場合もあったことは事実だが ――  ほとんど一貫して軍部と提携し、国防国家体制の中心となり、いわゆる天皇制ファシズムの物質的 基礎の方を受けもってきたことは明白である。
(中略)
 アメリカが「間接支配」の道具として日本の官僚を使ったということは確かにそれだけのこと  ―― たとえば、虎の威をかる封建的小役人根性の温存に役立ったということをあらわすにす ぎないが、その官僚が、ただの官僚ではなく、日本資本主義の矛盾の特殊な産物である天皇制官 僚だったということは、問題を単なる技術や組織の問題とはちがった、もっと複雑な政治的連関 の下においているのである。

 アメリカによって「民主化」のコースに引きいれられ、米日両支配勢力間の媒介として働いた 官僚が日を経るにしたがって元の天皇制にたどりついてゆく必然性を、「日本の支配者は誰か」の 筆者は、当時の日本資本主義の状況から説明している。
 日本資本主義は、その内的矛盾の解決を、中国をはじめとするアジア諸地域への 侵略に求めたが、その結果は、競争相手である米英帝国主義に打ち敗られ、また社 会主義のソ同盟からは数十年にわたる植民地侵略の成果を、一挙に、かつ全面的に 「解放」させられた。しかも問題はそれだけではない。日本帝国主義の敗退は、同 時にアジアにおける帝国主義の植民地体制の崩壊過程を意味するものであり、とく に最も重要な市場である中国には新鮮な生活力をもった対立的な経済圏があらわれ た。これらの事実は、日本資本主義の存在条件として、「全般的危機の第二段階」 がいかに形成されていったかをあらわすものである。
 そこから日本資本主義の前途に提起された根本問題をあげてみると、
 第一、日本資本主義は前進的なアジアで旧世界にしがみついている孤児のような 存在になってきた。日本独占資本主義と半封建的土地所有との宿命的な結びつきを 打ちこわすことができない以上(敗戦はそのことを少しも解決しなかった。農地改 革については後にふれる)日本は天皇をバック・ポーンとする古い体制の復活へと もどってゆくほかはない。
 第二、日本資本主義は敗戦というだけではなく、「全般的危幾の第二段階」をさ まよってゆく孤児としても、アメリカの「援助」なしにはやってゆけないことを 「発見」した。独占資本と地主勢力とそれらのバック・ボーンたる官僚のブロック にとっては、アメリカの戦争体制への従属以外に生きのびる道は映ってこない。逆 にいえば、アメリカ帝国主義は、日本の古い体制とその軍国主義をまるごと抱えこ む以外には、自分の同盟者を見つけ出すことができなかったと言ってもよい。

 「天皇をバック・ポーンとする古い体制の復活へともどってゆくほか」はなかったが、 その現実過程は単純ではない。次回はその現実の発展過程を詳しく見ていくことになる。
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