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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
155. 非暴力直接行動(1)
幸徳秋水の「直接行動」
2005年1月16日(日)

「第149回」(1月10日)を次のように締めくくった。

 筆者(『「非国民」手帳』の)は「政治的表現の方法はもっと豊かだ。」と言っている。 次回はその方法を探ることにもなるはずだ。

 問題を「政治的表現の方法」を「支配権力と対峙する方法」と読みかえると、まさしく「非暴力 直接行動」がその唯一有効な方法ではないだろうか。
 「日の丸・君が代の強制」に応ぜず、ピアノ伴奏や起立を拒んだ人たちの闘いはまさに 「非暴力直接行動」ではないか。「非暴力直接行動」の思想的内実を知ることは、私たちのこれから の闘いに何か資するところがあるのではないだろうか。

 「非暴力直接行動」を取り上げるのなら、向井さんの「現代暴力論ノート」を読んでからにす べきだが、とりあえずいま容易に入手できる資料を頼りにおおよそのところを知ろうと思う。

 日本において「直接行動」をはっきりと打ち出したのは幸徳秋水(1817~1944) をもって嚆矢とする。
 秋水は普通選挙実現を目指す「普通選挙期成同盟会」(1899)の幹部をやったり、社会民主党を結成(1901) したり(即日結社禁止の処分を受ける)している。理想の実現を議会を通しての活動に託していた。

 1905年に新聞紙条例違反で禁固5か月の刑を受け入獄し、獄中での読書でクロポトキンに出会いの 無政府主義思想に傾倒するようになる。

 出獄後渡米。サンフランシスコでロシア社会革命党のアナーキストのフリッチ夫人の影響を受ける。
 1906年帰国。日本社会党の歓迎会で「世界革命運動の潮流」と題する演説を行う。 それは政党活動の否定であった。政治活動を共にしていた同志たちにとっては青天の霹靂だった ことだろう。

 「世界革命運動の潮流《錦輝館に於ける演説の大要》」という文章が残っている。それから抜粋する。

 三百五十万の投票を有せる独逸社会党、九十人の議員を有せる独逸社会党、果して何事を為し たりや、依然として武断専制の国家に非ずや、依然として堕落罪悪の社会に非ずや、投票なる者 甚だ恃むに足らざるに非ずや、代議士なる者の効果何ぞ甚だ尠なきや、労働者の利益は労働者自 ら掴取(くわくしゆ)せざる可らず、労働者の革命は労働者自ら遂行せ ざる可らず、是れ近時欧米同志の叫声也。

(中略)

 選挙権は民政の屋根也、多数労働者自から進んで民政の基礎を建設し、其の結果として得たる 所の者にして、初めて効果あることを得可し、独逸の如きは然らず、唯だ足れ皇帝宰相の恩賜慈 恵に依て得たるのみ、民政の基礎の上に置かれずして、王冠の下に吊下れるのみ、専制の大風一 たび至らば、直ちに吹払ひ去られるのみ。
 所謂立憲的、平和的、合法的運動、投票の多数、議席の多数なる者は、今の王侯、 紳士閥が頤使(いし) せる金力、兵力、警察力の前には、何等の価値を有する能はず、是れ近時欧米同志の痛切に感ずる所也。


 もちろん、ドイツを引き合いに出して欽定憲法下の大日本帝国での「恩賜慈恵」の選挙権の無効性を 指摘している。
 そして日本人民は、戦争遂行のために「専制の大風一たび至」り、議会の機能など「直ちに吹払ひ去 られ」た過去を持っている。
 (「紳士閥」という用語は大杉榮も用いているが、ブルジョア階級という意だろう。)

 於是乎(こゝにおいてか)、欧米の同志は、 所謂議会政策以外に於て、社会的革命の手段方策を求めざる可らず、 而して此方策や、能く王侯、紳士閥の金力、兵力、警察力に抵抗し得る者ならざる可らず、少く も其鎮圧を免がれ得る者ならざる可らず、而して彼等は能く之を発見せり、何ぞや、爆弾か、匕首か、 竹槍か、蓆旗か。
 否な
是等は皆な十九世紀前半の遺物のみ、将来革命の手段として欧米同志の執らんとする所は、 (しか)く乱暴の物に非る也、唯だ労働者全体が手を拱して何事をも 為さゞること、数日若くば数週、若くば数月なれば即ち足れり、而して社会一切の生産交通機関の運転を停止せば 即ち足れり、換言すれば所謂総同盟罷工(ゼネラルストライキ) を行ふに在るのみ。

 秋水が提唱する「直接行動」は「ゼネスト」であり、暴力は「王侯、紳士閥の金力、兵力、警察力に抵抗し 得る者」ではないと否定している。すでに「非暴力(、、、) 直接行動」と言ってよいだろう。

 彼等欧米の同志は信ずらく、紳士閥は労働階級の為に、(たまた) ま少許の恩恵を施こすことあり、少許の慈善を行ふことあり、而も是等は遂に労働階級を 瞞着籠蓋(まんちゃくろうがい)するが為めに用ゆる一種の香餌に 過ぎず、両者の利害は到底一致し調和し得べき者に非ず、彼等の甘言に欺かるゝ勿れ、彼等の好 意を恃む勿れ、政府、議会、議員、投票を信ずること勿れ、労働者の革命は労働者自ら遂行せざ る可らずと。


 私たち被支配者に与えられた(獲得したとは言いがたいと思うのでこう言う)諸権利は 私たちを「瞞着籠蓋するが為めに用ゆる一種の香餌に過ぎ」ないのは今での同じだと、私は思う。
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