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97. 詩をどうぞ(2)
2004年11月19日



四海波静    茨木のり子

戦争責任を問われて
その人は言った
  そういう言葉のアヤについて
  文学方面はあまり研究していないので
  お答えできかねます
思わず笑いが込上げて
どす黒い笑い 吐血のように
噴きあげては 止り また噴きあげる

三才の童子だって笑い出すだろう
文学研究果さねば あばばばばとも言えないとしたら
四つの島
(えら)ぎに(えら)ぎて どよもすか
三十年に一つのとてつもないブラック・ユーモア

野ざらしのどくろさえ
かた かた かた と笑ったのに
笑殺どころか
頼朝級の野次ひとつ飛ばず
どこへ行ったか散じたか落首狂歌のスピリット
四海波静かにて
黙々の薄気味わるい群聚と
後白河以来の帝王学
無音のままに貼りついて
ことしも耳すます除夜の鐘
   (「ユリイカ・現代詩の実験」1975年12月臨時増刊号より)

 茨木のり子さんが政治的な問題を素材にして、それをストレートに詩にするのは珍しい。 茨木さんの憤怒のほどが窺える。
 ちなみに、茨木さんは先日亡くなられた川崎洋さんと同人誌「櫂」を1953年に創刊し、現代詩の 隆盛の一時期を担っている。

 ところで、この詩を読むといつも「頼朝級の野次ひとつ飛ばず」の一行で頭が傾いでしまう。 「頼朝級の野次」ってなんだろう?
 分からないのは私だけかもしれない。ともあれ気になるので、今回はいろいろ調べて一応私なりの解釈を してみた。
 結論。次の歴史的逸話を下敷きにした一行ではないか。

 後白河法皇が義経に頼朝追討の宣旨を下したことを知った頼朝は激怒し、大軍を上洛させると後 白河法皇を脅した。後白河法皇は頼朝に、本意ではなく天魔のせいだと弁明した。この弁明に対して 頼朝は「あなたこそ日本一の大天狗だ。他に天魔は居らんぞ」と怒りの返書を叩きつけたという。

 どうだろうか。もし違っていたら、ご教示を。
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