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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
辺野古問題

辺野古新基地工事を巡り設置された有識者会議って何? 

   世論の強い反対がある案件では、政府はよく有識者会議というのを設置する。この会議は必ずと言ってよいほど政府の意向を忖度した議論を展開して世論を煙に巻く。私は「有識者会議」を「忖度者会議」と呼ぶことにしている。辺野古基地問題で設置された有識者会議はどうふるまっただろうか。
   今回は、ちょっと長くなりますが、その問題を巡って書かれた東京新聞の二つの記事(9月7日付)と『社説』(9月11日付)を転載します。

【9月7日の記事 1】

辺野古軟弱地盤で 有識者会議防衛省調査を追認 


前書き

   沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を巡り、防衛省は六日、海底の軟弱地盤の改良を助言する初めての有識者会議を省内で開いた。
   「地盤改良すれば施工可能」とした防衛省の報告書に専門家や野党から疑問が出ていたが、この日の初会合では異論が出ず、不十分との指摘が出ていた地盤強度調査も妥当と判断した。耐震性能も大規模地震を想定していないことが本紙報道で明らかになったが、初会合で言及はなく、工事継続に早々とお墨付きを与える格好となった。 (山口哲人、中沢誠)

   会合ではまず、防衛省が選任した八人の委員の中から旧運輸省出身の早稲田大理工学術院の清宮理名誉教授を委員長に選出した。
   軟弱地盤の改良には設計変更を伴う。変更には沖縄県の承認が必要で、防衛省としては専門家の助言をお墨付きにして工事を急ぎたい狙いがあるとみられる。
   辺野古沖の軟弱地盤は海面から最深九十メートルにまで達する。防衛省の報告書は、最深地点から離れた別地点の地盤強度データから類推し、「七十メートルまで改良すれば施工は可能」と結論づけた。専門家からは「九十メートル地点の調査データを使わないのは理解に苦しむ」(鎌尾彰司・日本大准教授)などの疑問が出ていた。
   会合で委員は「十分な土質調査をやっており、採取した試料の品質も高い」として防衛省の判断を支持。九十メートル地点の追加調査は必要ないとした。

   防衛省の報告書で、基地の耐震性能は大規模地震を想定していないことが明らかになった。この日の会合では耐震性能の議論はなかった。防衛省は今後、耐震性能も議題に取り上げる考えだが、大規模地震を想定した耐震性能の見直しは否定した。    一部の専門家からは「辺野古沖に活断層がある可能性があり、活動すれば重大な被害が発生する」との指摘が出ている。防衛省は活断層の存在を否定しており、議題として扱わない方針だ。

   次回以降は、工期や改良工事の工法を議論する。防衛省が工費を明らかにしないことに批判が強まっているが、有識者会議では議論の対象外とする。
   防衛省の報告書では、海底に七万七千本の砂の杭(くい)を打ち込んで地盤を固めるとしており、防衛省は「委員から助言を受け、検討いかんによっては変更もあり得る」と話す。
   会合は非公開で行われた。議事録は、沖縄防衛局のホームページで公開する。

   沖縄県の玉城(たまき)デニー知事は六日の記者会見で「政府は埋め立てを前提とした有識者会議を設置する以前に、県の指導に従って工事を中止し、工期や総費用を国民に説明すべきだ」と批判した。岩屋毅防衛相は会見で「難工事には違いない。専門家の知見や助言をしっかり得た上で進めていく」と述べた。


【9月7日の記事 2】

有識者会議 半数が身内 辺野古地盤に「お墨付き」


前書き

    軟弱地盤という難題を抱える沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設。
    「地盤改良すれば施工は可能」と結論づけた防衛省の報告書に対し、防衛省が六日に発足した有識者の技術検討会では、専門家から早くもお墨付きを与える発言が相次いだ。防衛省の計画に疑念を深める沖縄県からは、検討会を「基地建設の追認機関だ」と批判する声も聞こえる。  (中沢誠)

■客観性に疑問
    「検討会の助言を踏まえ、できるだけ早く設計変更の申請を行いたい」。六日の検討会後、防衛省沖縄防衛局の担当者は、こう意気込んだ。
    地盤改良には設計変更が避けられない。変更には県の承認が必要なため、政府としては専門家.のお墨付きを得て、県の理解を求めたいという思惑がのぞく。
    防衛省によると、この日の初会合では、委員から防衛省の報告書の内容について修正を求めるような発言は出なかったという。
    沖縄県関係者は「『お手盛り』の有識者会議が政府に不利な結論を出すはずがない」と切り捨てる。
    検討会の委員八人のうち四人は、旧運輸省出身の委員長をはじめ、防衛省や国土交通省の関係機関に所属するか、そのOBだ。記者から「検討会の客観性が担保できるのか」と問われると、防衛局の担当者は「各分野に精通した人に客観的に提言してもらうのが目的で、特に問題はない」と反論した。

■低いハードル
    軟弱地盤は、最も深いところで海面から九十㍍まで達する。埋め立てると地盤沈下の恐れがあるため、防衛省は七万七千本の砂の杭を海底に打つ計画だ。
    今年三月、防衛省の報告書が公表されると、「施工は可能」の判断に対して国会で異論が相次いだ。
    防衛省の委託業者が作成したその報告書は、沈下が工事中で三㍍超、運用後二十年間でも四十㌢増に収まると想定していた。この予測の基となるのは埋め立て内の一ヵ所の調査結果でしかなく、巨大なコンクリート製の護岸を設置する地点がどう沈下するかは明らかでない。巨大護岸の設置場所は深さ七十㍍級の軟弱地盤が広がる上に、海底が凸凹で不等沈下の恐れもある。
    防衛省は「最も沈下すると思われる地点を選んだ」と説明するが、検討の甘さは耐震面からもうかがえ、「マヨネーズ並み」と評される地盤に建てる基地が大規模地震を想定していないことも判明。建設コンサルタントは「ハードルを下げて工事を強行したいのだろう」と指摘している。

■いいとこ取り
    最深九十㍍の地盤改良は世界でも実例がない。それでも報告書は「七十㍍まで改良すれば施工は可能」とする。根拠としたのは、七十㍍より深い地盤は同じ粘土層でも「非常に固い」とする地質データだ。
    このデータは最深地点ではなく、数百㍍離れた別地点のポーリング調査の結果から類推した。最深部のデータは「非常に固い」と判定する地盤の強度基準を大きく下回っていたが、防衛省は「(データの)信頼度が低い」として採用しなかった。
    「経験上、自分たちに有利なデータだけを集めて作為的に結論を出すことはある。辺野古の報告書も同じ印象を受ける」。地盤改良工事にも携わった元ゼネコン幹部は打ち明ける。

    果たして九十㍍まで改良しなくてもいいのか。建設の成否にかかわる争点にもかかわらず、防衛省は最深地点を追加でポーリングするつもりはない。元幹部は「変なデータが出たら困るからでは」といぶかる。
    検討会は、地盤の強度についても、報告書の調査を「妥当」と判定した。軟弱地盤の問題を追及してきた沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏は「検討会は、建設にお墨付きを与えるための追認機関でしかない」と反発している。

【9月11日の『社説』】

辺野古の検討会 建設ありきでは困る

    沖縄県の辺野古新基地工事を巡り、防衛省が有識者会議を設置した。埋め立て海域に広がる軟弱地盤改良などについて助言する。建設ありきの路線にお墨付きを与えるだけにならぬよう望みたい。
    設置された「技術検討会」は地盤工学や港湾技術に関する八人の専門家で構成する。委員長の清宮理・早稲田大理工学術院名誉教授が旧運輸省港湾技術研究所の室長だったのをはじめ八人中四人が、防衛省や国土交通省の関係機関に所属するかそのOBだ。
    この人選で、客観的な検討ができるのだろうか。

    軟弱地盤は辺野古崎東側の埋め立て海域百十二ヘクタールのうち七十三ヘクタールに広がり、深さは最大で海面下九十メートルに及ぶ。防衛省は三年八カ月かけ海底に七万七千本の砂のくいを打ち、地盤固めする方針だ。
    しかし、世界的に深さ九十メートルまでの工事実績はなく、防衛省は七十メートルまでの改良で基地建設は可能と結論づけた。九十メートル地点ではなく、数百メートル離れた別地点でのボーリング調査で得た地盤強度データから推定したというのだ。

    先の通常国会で野党が本当に施工できるのかと追及したのは当然だ。しかし、六日の検討会の初会合では、地盤データの評価も含め工事の基本線に異論はなかった。
    新基地の耐震性能については、東日本大震災級の大規模地震を想定していないことが本紙の取材で分かった。沖縄本島南東沖での海溝型地震を想定した沖縄県の震度予想は、辺野古周辺で最大6弱なのに新基地計画では4程度しか見込んでいない。防衛省は、米側と調整した結果で耐震性能を見直す考えはないとするが、危険な弾薬や燃料を置く基地が大地震に備えないなど許されるはずがない。
    これも委員は見過ごすことになるのか。地盤改良を含む全体工費も検討の対象外という。

    防衛省は、地盤改良のため年内にも工事の計画変更を県に申請する構え。民意無視の建設に反対している県との折衝に備え、事業の正当性を訴えるために検討会を利用しようというのなら県側の不信感は一層増すに違いない。
    検討会の運営要綱は、新基地の設計、施工を合理的に進めるべく「技術的・専門的見地から客観的に提言・助言を行う」と定める。委員はその通りに問題点を徹底検討し、妥当な事業なのか客観的な判断材料を国民に示さねばならない。現在非公開となっている会合は将来、議論の過程を検証可能とするよう完全公開とすべきだ。
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