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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
今日の話題3

左翼・右翼って何?

 前回で「自作品の公開」が一段落しました。今回から、元の内容に戻ろうと考えました。
 私の拙いブログは主として私が大きな心の糧を得てきた書籍の紹介記事ですが、初期のころには、「雑録」・「今日の話題」・「今日の話題2」などのカテゴリ名で、日常的に新聞・雑誌などから得た心に残った情報を題材にした論説を掲載してきました。
 今、紹介したい書籍がありますが、かなり厚く内容も濃い本で、いまだ読書中であり、終わるにはかなり時間が掛かりそうです。そこで「今日の話題3」という新たなカテゴリを設けて、日常的に得た情報を題材にした論説を書き継いでいくことにしました。

 初回は切り抜いて置いた東京新聞の記事から2018年8月29日の「『こちら特報部:「脱ネトウヨ男性の告白」(以下では「脱ネトウヨ」と略記します。また、「脱ネトウヨ」の筆者を特報部では単に「男性」と呼んでいますが、わたくしは「告白男性」と呼ぶことにします。)』を取り上げることにしました。記事を書かれた記者は「中沢佳子・榊原崇仁」のお二人です。お二人は前文で次のように問題提起をしています。

《「右翼」を標榜し、排外主義や差別的な言説をネット上で繰り返す「ネット右翼(ネトウヨ)」を締め出す動きが強まっている。ツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)は違反認定を拡大し、大手検索サイトでもニュースのコメント欄のヘイト言説は激減。一般のネットユーザーによる問題発言の通報も定着しつつある。ならばもう、ネトウヨは卒業したらいかがか。元ネトウヨの男性の証言から、「脱ネトウヨ」へのヒントを探る。》


「ネトウヨ」って何?

 告白男性は
「自分は日本を救う聖戦士。そう信じていた。今にして思うと、オウム真理教に引き込まれた人と似ているかもしれない」
と振り返り、ネトウヨになっていった経緯を次のように語っている(記者が要約した文章を、告白男性が語ったであろう発言の形に書き換えでいます)。


  ネトウヨになったのは、高校一年生の時。家にも学校にも居場所がなかったのが原因だった。
  教育熱心な家庭に育ち、家族の学歴も高い。でも、自分は勉強が苦手で進学校に進めなかった。
  「家では『落ちこぼれ』と言われた。学校でも、家族は優秀なのにおまえは…とばかにされた」

  見下され、劣等感にさいなまれる日々。そんな時、ネットでネトウヨが作ったという太平洋戦争時の日本を正当化する動画を目にした。
 その考え方に興味を持ち、ネットの動画やサイト、右系論客の本を通じてどんどん引き込まれた。

 高校生だった私の目には、日本はどこか貶(おとし)められている気がしていた。日本や与党の批判をする「左系知識人」が悪人に思えた。自分も一人の日本人として、この国のことを真剣に考えたい――。


 募る思いは「日本を救わなくては」という切迫感になった。
 右翼的な書き込みをつづるブログを立ち上げ、共感できるサイトにリンクを張った。
 ネトウヨが作る動画に称賛を、反日的とみなした動画には批判や悪口を投稿した。

 「マスコミの情報や学校で教えることは間違っている」と家族に訴え、友だちにネトウヨの考えを植え付けようとした。
田母神俊雄氏や桜井よしこ氏などの本を読みあさってはうなずき、麻生太郎氏ら愛国的発言をする政治家に感銘。ネトウヨや右系論客は「聖戦士」に見え、自分もその一人だと思うと、自己肯定感や自尊心がよみがえった。


 上の赤字部分が孕んでいる意義の解釈として紹介したい論説があります。
   今回から始めたテーマ「左翼・右翼って何?」について、改めて学習しなおそうと思い、佐高信氏と鈴木邦男氏との対談を記録した著書『佐高信×鈴木邦男「左翼・右翼がわかる!」(発行:金曜日)』を読んでいます。その本の佐高さんによる「はじめに」の中で 、鈴木さんが代表だった新右翼一水会の機関紙『レコンキスタ』(1994年10月1日号)に載っていた次のような逸話を紹介しています。これが紹介したい論説です。


 左翼と右翼の違いについては、亡くなった弁護士の遠藤誠による、次の定義に優るものはないだろう。

 1994年春、遠藤が山口組の本部で暴力団対策法の裁判の話をしていると、当時組長だった渡辺芳則が、
 「遠藤先生は左翼だから、弁護団長を頼んでいると、山口組も左翼にされてしまうのではないかと心配する者がいる。そこでお尋ねするんですが、共産主義諸国が崩壊した現在、左翼と右翼はどこが達うんですか?」
と質問してきた。
 それで遠藤が、
 「太平洋戦争の見方が一つの分かれ目で、侵略戦争と見るのが左翼で正義の戦争と見るのが右翼となっています」
と答えたら、
 渡辺はすかさず、
 「そりゃ、あの戦争は侵略戦争に決まってますよ。だって、日本の軍隊が、中国や東南アジアというほかの国に攻めこんだわけでしょう。ほかの国の縄張りを荒らしたら、侵略になるのは決まってますわな」
と言った。
 それで遠藤が、そうしたら渡辺さんも左翼だということになりますよ、と続けると渡辺は
 「それが左翼だというなら、私も左翼ですなあ」
 と応じたとか。


 告白男性がネトウヨに絡めとられていった切っ掛けは、まさに太平洋戦争を「正義の戦争」とする論を正論と信じたことにあった。

 では、告白男性が脱ネトウヨに方向転換した切っ掛けは何だったのだろうか。告白の続きを読んでみよう。

 

  大学に進んでも、相変わらず家では孤立し、大学でも人間関係がうまくいかない。それがネトウヨ信仰を助長させた。
 現実社会で付き合いはなくても、ネトウヨのブログやサイトを見ると、一人じゃないと思えた。

  2012年末、衆院選で再び自民党が与党になり、安倍晋三氏が首相に返り咲く。私は大喜びした。

  だが、ほどなく自民党や首相に違和感を持った。きっかけは、環太平洋連携協定(TPP)。
  自民党は衆院選などで反対を公約にしていたはず。ところが、一転して交渉参加に翻った。
  私はTPPに参加したら日本の経済は落ちぶれると考えていたので、裏切られた気がした。
  消費税の増税、イスラエルとの関係強化、まやかしのアべノミクス、カジノ解禁……。
  私は政策に失望し、徐々に疑うようになった。
  さらに首相や自民党の実態を知り、その傲慢さに全くあきれ果ててしまった。

  時を同じくして、彼らを熱狂的に支持するネトウヨも疑うようになった。ネトウヨが流す情報もデマがあると分かり、ばかばかしくなった。
  自分に対しても、いい年して何やっているのかと思うようになり、ネトウヨをやめたくなった。
ただ、完全に抜け出すには三年近くかかった。


 自民党政権が方針転換した時、告白男性は、それ以前のようになぜ同じ方向になびかなかったのか。次のように自己分析をしている

 

  勉強し、成長するにつれ、自分の考えや政治観を持つようになり、次のように考えるようになった。

 声高で強い主義主張は、心の隙間に入り込む。先鋭化し、意見の異なる人を排除しがちになる。
 しかし、政治は人生のすべてじゃない。相手の人間性を政治思想で判断して差別してはいけない。それらのことは、自分の貴重な時間も未来も奪う。
 自身も今は違う意見にも耳を傾け、いいと思ったものを少しだけ受け入れて尊重し、一方に傾きすぎないよう心掛けている。

 自身の経験から、ネトウヨから抜け出すには、しっかりとした自分を持ち、極論を安易に受け入れずに考える姿勢が欠かせない。疑いを持つきっかけも必要あり、まずは政治そのものから離れるのが一番よい。
 ネトウヨのような国粋主義的な考え方は、かつて日本を戦争に導いた。ゆがんだ政治観で無駄にしてしまう人生を思ってほしい。


 『こちら特報部』の記事のうち告白男性の告白部分記事は以上で終わりました。この後『こちら特報部』の記者による次のような論考が続きます。これも転載しておきましょう。


 そもそもネトウヨとは、どういう人を指すのか。 経験者たちの声を集めるブログ「ネトウヨ大百科」の管理人によると、 一般的には「ネット上で右翼的な発言をする人」と認識されてきたが、近年は嫌韓中思想が激しい人から熱烈な安倍政権支持者、野党議員らを罵倒するタイプまで多様化しているという。
十~四十代の男性が多いとみられるが、誰でも染まる可能性があると指摘する。
 「初めは日本を美化する記事を見つけて気分が良くなる。徐々に反日発言を見つけて反撃する。そしていつも脳内の敵をたたく材料を探すようになる」

 ネトウヨを増やす最大の要因は「承認欲求」らしい。交流サイトで右翼的な発言をすると「いいね」が付きやすく、「自己肯定感が低い彼らは承認欲求が満たされる中で『ヘイトスピーチがいけない』という感覚がまひしていく」(同管理人)。

 しかし最近、ネトウヨは逆風にさらされている。 
 まとめサイト「保守速報」は昨年11月、人種差別や女性差別に当たる記事があったとして、在日コリアンの女性に二百万円を支払うよう大阪地裁に賠償を命じられた。大阪高裁の二審判決もこれを支持し、サイト上の企業広告は次々に掲載中止になった。
 ツイッターは昨年末に利用ルールを厳格化し、ユーザー名やプロフィル欄まで差別的表現の規制対象に。
 ユーザーがコメントを投稿できるヤフーのニュース欄は今年6月、「不適切な内容を複数投稿したアカウントは以後の投稿ができなくなることがある」と明示した。
 動画サイトのユーチューブも無縁ではない。今月7日付の産経新聞は「中国や韓国に批判的な保守系動画投稿者の利用停止が5月以降に相次ぐ」と事実関係を報じ、停止された当事者のコメントとして「これは言論テロ」などを紹介した。

 監視の目が厳しくなったとはいえ、ネトウヨなどによるヘイト言説は後を絶たない。どう対処すべきか。
 佐々木亮弁護士は、朝鮮学校への補助金交付を求める声明に関わったとして、所属する東京弁護士会に約三千件の懲戒請求が出された。背景には、ネットでの請求呼び掛けがあったとみられ、請求者に対し、損害賠償請求訴訟を準備する。佐々木弁護士は
 「声明には関わっておらず、身に覚えはなかった。匿名を盾に勢いづく中、きちんとくさびを打つ必要があると思った。名誉毀損などの責任を負うことを明らかにする」
と語る。

 一方、自社コラムで「学生時代にネット右翼だった」と明かした琉球新報の塚崎昇平記者(27)は脱ネトウヨのきっかけを
「私は当時、米軍基地建設に反対して座り込む現場に行き、自分の意見をぶつける中で沖縄戦の体験が受け継がれていると教えられ、考えが変わり始めました」
と語る。
 そのうえで、「現場と対話」の重要性を説き、こうアドバイスする。
 「言葉だけで判断して、相手に『ネトウヨ』とレッテルを貼ると、むしろ対話を遠ざけるかもしれません」


 最後に「デスクメモ」が「ネトウヨ」問題について次のようにまとめている。
《他人を傷つけるネトウヨの発言は決して許せない。だが、政治に関心が高いため、この男性のようにまともな政治意識に目覚める人もいる。そう考えれば、政治に無関心な大多数よりはマシかもしれない。米公民権運動の指導者キング牧師の言葉通り、最大の悲劇は「善人の沈黙」だ。(典) 2018・8・29》
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