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405 天皇制の基盤を撃つ ― 真説・古代史(57)
激動の朝鮮半島(9)―「高句麗好太王碑」(4)
2005年11月30日(水)


倭以辛卯年来渡海破百残□□□羅以為臣民(□□□は欠落部分)

 この部分は正しくはどう読むべきか。
 「第402回」で述べてように、好太王碑碑文は好太王を「天帝」の子孫であると称している。 また当時は百済と倭は同盟関係にあった。この2点が重要なポイントとなる。
 古田さんの読解をそのまま記載しよう。古田さんはまず「以為臣民」の部分 から読み解いている。

〝この碑面では、好太王は天子に匹敵する位置にあり、天子専用の術語が 使われている″。このルールを確認するとき、一つの重要な解決が現われてくる。
 従来は、ほとんどの学者がこの「以て臣民と為す」の主語を「倭」と解してきた。
けれども、この「臣民」という用語の「臣」は「君」の対語である。

  ①君、君たれば、臣、臣たり。   (『論語』顔淵)
  ②諸侯臣伏す。          (『管子』四称)

 そして、諸侯の臣服すべき存在、それは当然天子その人だったのである。この点、「臣民」 という用語もまた、「天子に服従する者」という意義を本来とすべきこと、当然といえよう。
(中略)
 このような術語の使用法から見ると、「太王」(好太王)を天子に準ずる位置におく好太王 碑の文面内では、「臣民」の主語となりうるものは、他にない。――好太王である。
 ここのところは、上に三字の欠字があるから、明言はできないけれども、「海を渡って百 残を破り……臣民と為す」の部分の主語は、倭ではなく、好太王ではないであろうか(朝鮮 半島側の学者からも、その立場の説が出されている)。
 その意味は、
 〝百残や新羅は、もとは「属民」として「朝貢」してきていた。けれども、倭が来って、百 済と同盟を結んだり、新羅を侵犯したりするようになったので、渡海作戦を実行して百残を 破り、その結果、召残(や新羅)を直属下「臣民」とすることとした。″ ほぼ、このようであると思われる。


 つまり「倭以辛卯年来渡海破百残」の部分を『「倭以辛卯年来」「渡海破百残」』と2文に 分かち、それぞれの主語を「倭」「好太王(高句麗)」としている。
 従来の読みと古田さんの読みとどちらが妥当だろうか。当時の朝鮮半島の国家関係や地形関係 をも考慮にいれれば、おのずから明らかだろう。古田さんの論述は次のように続く。
第一
 好太王が渡海作戦を得意としたらしいことは、永楽14年(404)項にも見られる。すなわち、 倭軍がルールを破って帯方界に侵入したとき、好太王は、「船を連ねて」これを撃った、との べられているようである。
 朝鮮半島の地形からして、このように海上を迂回して敵軍の背後を突く、そういう作戦は 当然考えられるべきであろう。
 百済本紀の辰斯王の項に、

(辰斯王8年=391)王聞く、「談徳(好太王)、能く兵を用う。出て拒むを得ず」と。

 作戦と実行の天才として百済側からも認められていた好太王が、この点に着目しないはず  はない。

第二
 これに対し、倭軍は新羅に侵入するさいにも、渡海の必要など、全くないのである。 なぜなら、倭地は洛東江沿いにひろがっており、東は新羅と西は百済と共に「其の国境」を もっていたからである。このような「国境」認識は、好太王碑それ自身の地理認識であった。 したがって「渡海」を、すぐ「倭」と結びつけて考えるのは、後代人たる現代人が、現代の 国家関係(朝鮮海峡でへだてられている状況)をもとに、この四~五世紀の文面を読んだ、そ のためではないであろうか。
 この点からも、「渡海……為臣民」の主語は、「倭」ではなく、好太王である。

第三
 もう一つの問題は「破百残」である。
 先ほどからのべてきたように、四世紀後半、百済は倭国との蜜月のさ中にあった。
 時の、百済の辰斯王は、あの近仇首王の子供(仲子)である。「七支刀」を倭王に送り、 後世に伝示したのが、父の代であった。辰斯王の時代は、その「百済―倭」の同盟関係の中 にあった。さらに次の阿?(「草かんむり」+「辛」という字)王の 六年(397)、太子の腆支を倭国へ「人質」に送り、友好を深めようとしたのは、この 「辛卯年(391)」のわずか六年前である。『三国史記』のいずこを見ても、そこに見られる ものは「百済―倭」間の友好の片鱗である。その逆ではない。
 このような当時の国家関係から見ても、「破百残」の主語を「倭」と見なすことは無理な のである。

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