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399 天皇制の基盤を撃つ ― 真説・古代史(51)
激動の朝鮮半島(3)―「七支刀」(1)
2005年11月1日(火)


 さて古田さんはまず、316年以後の朝鮮半島の情勢のうち倭と百済との関係 を石上神宮に保存されている「七支刀」に刻印された文章から読み解こうと する。

(表)
泰和四年五月十六日丙午正陽、百錬?の七支刀を造る。?百兵を辟く。 宜しく侯王に供供すべし。????の作。
(裏)
先世以来、未だ此の刃有らず。百済王・世子、聖晋に寄生す。故に倭王旨の 為に造る。?世に伝示せんことを。

 古田さんの口語訳。
(表)
泰和四年五月十六日の丙午正陽に、くりかえし鍛え抜いた七支刀を造った。お びただしい軍兵をしりぞける(に足りる霊力をもつ)。これは(中国の天子の 外臣たる)侯王に供するにふさわしいものである。某々作。
(裏)
先の世以来、かつてこのような(じん)(ほこ) はなかった。百済王とその世子は、聖晋のもとにその生を寄りどころにしてい る。故に(同じ東晋の天子の配下の侯王たる)倭王の為に造った。伝えて (後)世に示さんことを。
 ちなみに、岩波文庫版「三国史記倭人伝」所収の口語訳や次のようになってい る。
(表)
泰和四年〔三六九〕五月十六日の丙午正陽に、百たび鍛えた鉄の七支刀を造っ た。すすんでは百たびの戦いを避け、(うやうや) しい侯王(が帯びるの)にふさわしい。
(裏)
先の世からこのかた、まだこのような刀はない。百済王の世子貴須は、特別に 倭王旨のために造って、後の世に伝え示すものである。

 古田訳の( )内の補足文は古田読解の焦点を表しているようだ。とくに 岩波版口語訳との対比で著しい違いを指摘してみる。おのずと訳者の知見あるいは その拠って立つ学説の違いが明らかだ。

第一点
 古田さんが「(中国の天子の外臣たる)侯王」と言っているところを岩波訳では 「供供」を「恭恭」と同義として「恭しい侯王」とし、をことさらに七支刀の 送り主を卑下させている。
第二点
 古田訳では「七支刀」はいわゆる「刀」ではなく(ほこ)と言い添えている。 (表)文でも(霊力を持つ)と註して、単なる「武器」ではないことを示そうと している。岩波訳は単に「刀」で済ましているが、原文の注記では「神功紀」の 記録する七支刀であると断定している。
第三点
 古田さんが「百済王とその世子は、聖晋のもとにその生を寄りどころにして いる。」と訳している部分が岩波訳とは最も著しく異なる。
 原文の「百済王世子。寄生聖>。」を岩波版は「「百済 王世子。寄生聖。」と記録している。そして「寄生聖音」を 「百済王世子」の名前と解しているようだ。どうしてそれが「貴須」なのかは 詳らかではない。

 ここで「七支刀」の映像を美術全集(「原色日本の美術」)からコピーしよ うと思ったが、原像が大きすぎてだめ。インターネットで探すことにした。最初の ヒットサイトを訪問したところ、なんと!、「朝鮮日報」のサイトだった。 「七支刀」の写真とともに、ユ・ソンクジェという記者の署名記事(2004年1月2日) が添えられていた。ついでなので写真とともにその記事も掲載しよう。

七支刀
実物「七支刀」、10年ぶり日本公開へ

 韓日古代史の謎を解く鍵として知られている「七支刀」の実物が日本で公開 される。

 日本の奈良国立博物館は七支刀など、石上神宮に伝わる遺物を展示する 「七支刀と石上神宮の神宝」特別展を4日から来月8日まで開催する。今回の 七支刀の展示は1993年以来、約10年ぶりとなる。

 長さ74.9センチの鉄製の七支刀は、369年に造られたものと推定されている。 刀身の左右に三本ずつの枝刀が出ており、計7本の刃を成していることからこう した名前が付けられた。

 韓国では「侯王が所持するのに相応ししものである」という銘文などを根拠 に、百済の近肖古王が倭王に“下賜”したと認識されている一方、日本では 『日本書紀』を根拠に百済が倭王に“献上”したと認識されており、両国間 で争点となっている。

 ユ記者は客観的で冷静にナショナリズムに絡めとられた学説の対立を報じてい る。古田さんの解読は果たしてどのようだろうか。

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この記事へのコメント
古田説に対しての、非常に意識的した軽視戦法?は古田説とまともに向き合うと論理的に自説のボロがでてくるのことから軽視しているのではと思われる。もう少し皆大人になりたいものだ。よく知らないが考古学の世界の人達は小さな固執する老人の世界かもしれない。
2010/05/12(水) 13:11 | URL | 吉村敏彦 #Tf9aLMeg[ 編集]
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