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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
昭和の15年戦争史(52)

戦後処理(2)

 五大改革指令に沿って出された最初の具体的指令は「経済の民主化と安定」に拘わるもので、「農地改革」と「労働組合法」だった。

 「農地改革」に関する指令は1945年12月9日に日本政府宛の指令だった。(見慣れない熟語にはふりがなを付し、適時小文字で注を付した)

農地改革に関する総司令部の指令

一、
 民主化促進上経済的障害を排除し、人権の尊重を全からしめ且数世紀に亘る封建的圧制の下日本農民を奴隷化して来た経済的桎梏(寄生地主制を指す)を打破するため、日本帝国政府はその耕作農民に対しその労働の成果を享受させる為、現状より以上の均等の機会を保証すべきことを指令せらる
二、
 本指令の目的は全人口の過半が耕作に従事(1946年現在、農家人口は全人口の45%(3424万人)芟除(さんじょ)している国土の農業構造を永きに亘って病的ならしめて来た諸多の根源を芟除(さんじょ狩り除くこと)するに在る。その病根の主たるものを掲げれば次の如し
 A、極端なる零細農形態 ……
 B、極めて不利なる小作条件下における小作農の夥多(かた) ……

 次に、1945年12月22日に公布、翌年3月1日に施行された労働組合法は全4章27条より成り、労働者の団結権・団体交渉権・争議権の保障とその手続、使用者の不当労働行為、労働委員会の規定など含まれている。最初の2条は次の通りであつぎの通りある。

労働組合法

第一条 本法ハ団結権ノ保障及団体交渉権ノ保護助成ニ依り、労働者ノ地位向上ヲ図り、経済ノ興隆ニ寄与スルコトヲ以テ目的トス。……
第二条 本法ニ於テ労働組合トハ、労働者が主体ト為リテ自主的ニ労働条件ノ維持改善、其ノ他経済的地位ノ向上ヲ図ルコトヲ主タル目的トシテ組織スル団体、又ハ其ノ連合団体ヲ謂(い)フ。……

 現行の労組法は1949年改定されている。上の引用史料は旧労働組合法とよばれている。

(次に続く項目は天皇の人間宣言と新憲法だが、その本文は省略して、その解説を転載しておく。)

 日本の敗戦による天皇制の可否、存続の場合の形態は、連合国にとっても日本にとっても大きな問題であった。そうした中で、1946年1月1日に発表されたいわゆる人間宣言は天皇の戦争責任追求の国際的世論と民衆運動に配慮したもので、従来の「現人神」との規定を「架空ナル観念」と否定し、天皇と国民との関係は「終始相互ノ信頼ト敬愛トニ依リテむ結バレ」とした。この方向が日本国憲法の象徴天皇制にて結実してゆく。

 その新憲法の制定はすでにGHQに示唆されていたが、46年2月にGHQに提出された弊原内閣の草案(松本蒸治国務相担当)は帝国憲法の基本原則を維持したもので、第一章の天皇に関する条も若干の字句を変えたにすぎなかった。GHQはあまりにも保守的な政府案を拒否し、マッカーサー三原則(2月2日に作成、天皇を主権のない元首とすること、戦争放棄と軍備廃止、封建的諸制度廃止)を基本に、日本の民間私案を参考にしたGHQ草案を、2月13日日本政府に手渡した。これに基づいて作成された政府草案が、4月枢密院にかけられ、6月第1次吉田内閣によって帝国議会に提出され、新憲法は10月議会を通過した。ここに国民主権・平和主義・基本的人権尊重の三原則を盛り込んだ日本国憲法が生まれたのである。

 第九条の戦争放棄はマッカーサーと幣原の合作ともいわれるが、当時の世論の約70%が賛成・支持していたことも見逃してはならないだろう。
新憲法制定時より、この現憲法はGHQの押しつけ憲法であり廃棄(あるいは改定)すべきだという愚論が未だに跡を絶たないが、「日本の民間私案を参考にしたGHQ草案」という愚論を退けている言説に、私は初めて出会った。拍手喝采しよう。このことを私は愚論批判の論説『右翼イデオローグの理論レヴェル』
の中で取り上げている。
 ついでに、現在ますます声高になっている9条改悪を主なテーマにした論説も紹介しておこう。
『憲法について』

 さて、この新憲法下で五大改革指令に沿った多くの法律が改廃あるいは制定されていったが、新憲法制定の翌年(1947年)の2法律を取り上げておこう。

 まず、教育基本法。3月31日に公布・施行。前文と11条からなるが、前文と1・3・8・10条を掲載しておこう。

教育基本法

 われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
 ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。

(教育の目的)
第1条
 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

(教育の機会均等)
第3条
 すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。

(政治教育)
第8条
 良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。  法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

第10条
 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。

 前文が新憲法の精神にのっとっている。これに基づいて学校教育法・教育委員会法も制定されて教育の民主化が具体化された。

 次に、前回取り上げたように、労働改革では労働基本権を認めた労働組合法が1945年12月に制定されていたが、さらに労働関係調整法(46年9月公布)の後に「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきもの」とした労働基準法(47年4月7日公布、9月1日施行)が制定された。12章116条からなるが1・2・4条を掲載しよう。

労働基準法

第一条
 労働条件は、労働者が人たるに値(あたい)する生活を営むための必要を充たすたすべきものでなければならない。
 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
第二条
 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。……
第四条
 使用者は、労働者が女子であることを理由として、賃金について、男子と差別的取扱をしてはならない。

 労働者の人権を基本的に尊重擁護する立場がはっきりと打ち出されている。

 新憲法に則って定められた教育基本法と労働基準法。現状はこの両法とはなんともかけ離れたものになってしまった。
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