FC2ブログ
2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
歴史隠蔽偽造主義者たち(5)

「南京大虐殺」捏造論(1)

 歴史隠蔽偽造主義者たちが躍起になって否定しているのが「南京大虐殺」と「慰安婦」である。現在その先頭に立っていきりたっているのが日本会議にべったりの自民党極右政治家である。

 ところで、『週間金曜日1069号』(2105年12月11日刊)の特集記事が『「南京」と「慰安婦」』だった。ということで、今回からこの特集記事を教科書とする。

 この特集の第一記事は「週間金曜日」の取材班がまとめたもので、その表題と枕は次のようである。
ユネスコ騒動に見る安倍自民党の極右体質 歴史修正主義は日本の外交政策か
中国の「南京大虐殺」関連資料のユネスコ世界記憶遺産登録にケチを付け、一方で「特攻隊の遺書」を登録させようと動いた安倍首相と自民党。今や世界に向かって、「『南京』も『慰安婦』も握造だ」と言いたげだ。このような歴史修正主義者たちが外交を乗っ取ったら、日本は世界の孤児になる。

 では自民党極右派はどのようなケチを付けたのか。

 この10月(2015年)から11月にかけて、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)による南京大虐殺関連資料の世界記憶遺産登録に対し、政府・外務省や自民党、右派メディアから猛烈な抗議が起きた。  菅義偉官房長官は10月12日のBSフジ番組で、登録に対し、拠出金停止もほのめかして「事実をめぐり意見が分かれているのに、一方的に中国側の意向に基づいてユネスコが指定するのはおかしい」と批判。翌13日の記者会見では、「(南京で)非戦闘員の殺害や略奪行為があったことは否定できない」としながら、中国側が主張する30万人の犠牲者数について「政府として具体的な数の断定は困難だ」
と発言した。

 こうした言い分の何が問題なのか。取材班は次のように論じている。

 だが、日中両国政府の協定に基づいた公的研究事業である「日中歴史共同研究」の報告書では、「日本軍による虐殺行為の犠牲者数は、極東国際軍事裁判における判決では20万人以上……、1947年の南京戦犯裁判軍事法廷では30万人以上とされ、中国の見解は後者の判決に依拠している。一方、日本側の研究では20万人を上限として、4万人、2万人など様々な推計がなされている」とある。  すると「虐殺行為」があったのは日中の共通理解である以上、「意見が分かれている」点は中国側の30万人と、日本側の「20万人を上限」とする数字上の違いだろう。差し引き10万人の差が、「拠出金停止」といきり立つまでの日中間の対立問題になるのか。しかもこの南京戦犯裁判軍事法廷は、ポツダム宣言に沿って、連合国の米英やオランダ、オーストラリア等7ヵ国に設置された「通例の戦争犯罪」と「人道に対する罪」を裁くBC級戦犯裁判の一つだ。今になって「30万人」という数を問題にしても、国際的な支持は得られまい。

 続いて取材班は『自民党の本音は「捏造」論』だと指摘している。この「捏造論」加担者には政治家だけなく、高級官僚や学者の風上にも置けない御用学者が次々と登場する。1%(支配階級)の知的レベルの低さには全くただただ呆れるほかない。

 一方、菅官房長官に呼応するように自民党からも抗議が上がったが、同党の外交・経済連携本部国際情報検討委員会や外交部会等が連名で10月14日に決議した文章は、中国が「一方的な主張に基づいて登録申請」したのは「容認できない」というもの。だが本当に問題視しているのは、犠牲者数ではないらしい。同委員会の原田義昭委員長は11月19日に開かれた自民党の会合で、南京大虐殺について「もう一回歴史的な事実を総合的に検討すべきだ」と発言。また、「出席議員からは『南京事件がなかったという意見もある』……などの意見が出た」(「毎日新聞」11月20日朝刊)からだ。

 つまり政府・自民党の抗議の背景には、疑いなく南京大虐殺が「なかった」という本音がある。事実、原田委員長は10月22日に放送されたTBSラジオのインタビュー番組で、南京大虐殺が「間違いなく捏造だと思っています」という趣旨の発言を何度も繰り返している。だが、インタビュアーから外務省も「殺害行為があったことは事実だと認めている」と質問されると、「そりゃなかったとはいいませんよ」としどろもどろになった挙げ句、「捏造」だとする根拠を一切示すことができなかった。

 安倍晋三首相も、2012年2月に名古屋市の河村たかし市長が「南京虐殺はなかった」と発言して大きな問題になった際、「南京の真実国民運動」なる団体が同年の『産経新聞』8月3日付に掲載した市長の「『南京』発言を支持します!」という意見広告で、「呼びかけ人」の筆頭に名を連ねている。

 しかも原田委員長は、自民党の「勉強会」に「『南京大虐殺』の歴史捏造を正す国民会議」(議長、渡部昇一上智大学名誉教授)の「呼びかけ人」の一人・高橋史朗明星大学教授を招いた事実を認めている。この「捏造」論者の高橋教授は、何と外務省のオブザーバーとして、10月初めにアラブ首長国連邦で開催されたユネスコ記憶遺産国際諮問委員会に同行している。

世界に何を「発信」?

 高橋教授自身は日本史の研究者ではないが、『毎日新聞』11月6日付朝刊によると、同諮問委員会に日本政府が提出した中国の登録申請資料に対する「意見書」を作成。内容は、「南京市にいた中国人女性の日記についても『伝聞情報に依拠した記述ばかり』と記述。さらに、事件自体を否定する主張で知られる亜細亜大の東中野修道教授の著書を引用して、中国が提出した写真の撮影時期に疑問を呈し」たという。

 東中野教授といえば、自著で南京大虐殺の生き残り女性の証言を「ニセモノ」と決めけてこの女性から名誉毀損で訴られ、最高裁で敗訴が確定。一審の東京地裁判決では、自著につて「学問研究の成果というに値ない」と断じられ、現在では事実上言論活動の引退に追い込まれた人物だ。その「著書を引用して」中国側に対抗を試みるような人物を登用し、外務省は何を主張したいのだろう。中国が提出した資料には、南京戦犯裁判軍事法廷に関連するものが3点含まれているが、これも否定されるのか。

 前述の自民党外交・経済連携本部国際情報検討委員会は昨年6月、「中国、韓国などの反日宣伝とも思える情報が溢れている(例、慰安婦像、日本海呼称、靖国問題、安重根記念館など)」とし、「国として主権や国益を守り抜く」ため、「積極的に『攻める情報発信』」が必要との「中間とりまとめ」を菅官房長官らに提出している。

 外務省も昨年8月公表の2015年度予算概算要求の重点項目で、筆頭に「日本の『正しい姿』の発信(領土保全、歴史認識を含む)」という「戦略的対外発信」を掲げた。だがこうした「発信」とは、「捏造」論者や名誉毀損敗訴教授を登場させることなのか。

 南京大虐殺が「捏造」なら安倍首相の持論である極東国際軍事裁判の「見直し」につながり、日本軍「慰安婦」が単なる「反日宣伝」なら、この問題で国家責任を認めた1993年の河野談話の撤回に発展する。いくら自民党や外務省でも、世界にそんな「発信」ができるはずもない。だからこそ今回、「一方的」などと中国側に難癖を付け、それを『産経新聞』あたりが「中国や韓国が仕掛ける『歴史戦』をにらみ」(11月20日付)などと煽っているだけなのだ。

 自国の歴史を直視できずにこうした動きを「国益」と自称するのは、米国だけには卑屈を極めてへつらう自民党の体質の産物だ。

スポンサーサイト



 コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
 トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://adat.blog3.fc2.com/tb.php/2310-210561d7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック