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391 天皇制の基盤を撃つ ― 真説・古代史(43)
最古の政治地図「オオクニ」(2)
2005年10月12日(火)


 続いて古田さんは、古事記が書きとめている「五神」に関わる三つの系譜図 を克明に分析して、その史料性格の検証を行っている。(その詳細は省く。)
 その結果、「古事記」はヤマト王権が「アマテル」の子孫であることを主張 するために「出雲神統譜」に系譜の挿入を行っているとの結論にいたる。そし てその結論をさらに補強する論述が続いている。

 右の「大挿入」を端的に証明するのは、『日本書紀』である。その中の神代 紀には、大量の「日本旧記」の文が「一書」としてひかれている。その第八段 には本文と六つの「一書」に、スサノオの出雲国での説話が引文されている。 しかし、その中のどれ一つとっても、右のようなスサノオ以後の長大に発展し た系譜(挿入された系譜…仁平註)を記しているものはない。系譜だけではな い。『古事記』にのせられた大国主神にまつわる数々の説話(①稲葉の素兎、 ②八十神の迫害、③根国訪問、④沼河比売(ぬなかわひめ)求婚、⑤須勢理毘売(すせりひめ) の嫉妬、⑥大国主の神裔、⑦少名毘古那(すくなひこな)神と国作り、⑧大 年神の神裔)は、一切、『書紀』に存在しないのである。

 これは一体なにを意味するだろう? その答えは動かしようはない。九州王朝 の「日本旧記」にも、近畿天皇家の「帝王本紀」にも、そのようなものはなかっ たのだ。それなのに「帝王本紀」と同じ、近畿天皇家の中の国内伝承たる『古事 記』にだけ伝えられている、というはずはない。なぜなら、そういうものがあり ながら、そのすべてを『書紀』がカットする。――そんな理由はない。最初にあ げた二つの公理を思いおこそう。「大義名分のフィルター」「利害のフィルタ ー」だ。もし、『古事記』の記載が正しいなら、出雲の神々はすべて〝スサノ オの子孫″となってしまう。これはなにを意味するか?
 〝天照の子孫″たる近畿天皇家に対して、一段下の傍流におさまってしまう―― それを意味するのである。こんなに近畿天皇家にとって好都合な系譜を、後代の 近畿天皇家の史官(『日本書紀』〈帝王本紀〉側)がカットする。そんなことが ありえようか?先の二つの公理から見てありうることではない。

 すなわち、ここでは「景行の熊襲大遠征」「神功の筑後遠征」の場合と反対の ケースが起こっている。『古事記』の方が〝系譜偽造者″なのだ。
 わたしは先に〝『古事記』とて、同一権力の中の同類の史官の手になったもの だから、『書紀』と全く異質の態度であるはずはない″といった。今、それが露 呈したのだ。

 では、九州王朝の史書「日本旧記」のように、この出雲の史書の名前はわかる であろうか。残念ながら、それはもはや〝見出す″ことはできない。なぜなら、 『古事記』の場合は『書紀』の編者と「手口」がちがう。〝その依拠した本の書 名をチラリとだけ、しかし律気に出しておく″そういう習癖がないからで ある。
 だが、反面、その出雲の史書の全体像を知ることは、困難ではない。

(一) 「大国」の神々の神統譜。
(ニ) 「大国」に伝承された、八つの説話。
(三) 「大国」を中心とした「政治地図」。

 右の三つをそなえていたことは確実である。この三つは、すなわち『記・紀』 の神代巻の構造に酷似している。そこでも、神統譜と神々の説話と「大八洲国」 の政治地図の三者がそなえられていた。
 だから、わたしはこの出雲の史書の〝失われた書名″の代りに、かりに「出雲 古事記」(あるいは「大国古事記」)という名前を付しておこうと思う。この書 は、漢文調の「日本旧記」とは異なり、素朴な和文調の史書であったこと、八つ の説話によって明らかであるから。

(中略)

 天照よりも、さらに古い神統譜をもって出雲の神々が先在していた。 ―これは、なにもわたしの〝奇矯な分析″によって、はじめてあらわれた命題 ではない。それどころか、それは、『記・紀』神話全体が力をこめて語ってい る根本命題だ、といわねばならぬ。
 なぜなら、「国譲り→天孫降臨」とつづく日本神話草創のテーマは、 〝日本列島(の一角)には、すでに出雲の大国主神が支配権をもっていた。 そこに天照は孫の二二ギを派遣せんとし、それに成功した″というにあるか らだ。大国主がすでにそこに支配権をもっていた、という以上、それが〝彼 一代で築かれた″というのは不自然にすぎよう。当然、すでに大国主に至る、 長く古い神続が存在していたこと、それはむしろ自明のことではあるまいか。

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