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386 天皇制の基盤を撃つ ― 真説・古代史(38)
始原の国家
2005年9月21日(水)


 傍流ながらイワレヒコが「天照→ニニギ→ヒコホホデミ→ウガヤフキアエ ズ」の系図に連なることを「記紀」は主張している。古代において王権の権 威づけに欠かせない要素だったのだ。
 ではその権威の淵源である「アマテラス」はだれで「アマクニ」(高天原) はどこにあったのだろうか。

 『「高天原」は「天上の国」であり、地上の国ではない。』もちろん、 これが定説だ。しかし高天原地上説も後を絶たないという。そうした説の 中に「アマテラス=卑弥呼」としているものがある。これは真面目に相手に する価値もない説だと、私には思える。しかし古田さんはこれを丁寧に論駁 して、アマテラスから卑弥呼にいたる歴史的経緯を次のように概観している。

(A)「天国→筑前」段階
 天照大神は、九州王朝の始源の重要な神の一つだった。二二ギを「天国」 から筑前に天孫降臨せしめたのだから。

(B)「筑前→筑後」段階
 「橿日宮の女王」が〝筑前から筑後へ″進出した。

(C)「筑紫→九州」段階
 さらに「前つ君」が天孫降臨の地、前原の宮から九州一円の平定に 向かった。このときはじめて、九州王朝というにふさわしい実質がそ なわったことになる。

(D)「九州→淡路島以西」段階
 一方、東に向かって瀬戸内海領域の討伐時代がくる。(ただ、これは (C)に先立つ可能性もある)。倭王武の上表にいう「毛人55国」平定の 時代である。ここに「倭人百余国」が成立する。
 これが前漢の武帝の朝鮮を滅した時代(前107年)、つまり前二世紀以 前の状況なのである。

 ここではじめて、わたしたちは「絶対年代」に出会うのである。
 こうしてみると、三世紀卑弥呼の時代は、右の「百余国」を「三十国」 に統合し、各国の長官、副官もととのえられた〝はるか後代″なのである。 すなわち、天照大神と卑弥呼との間は、あまりにも遠いのだ。

 この時間の闇を「日本書紀」は「ヒコホホデミの在位が580年、ニニギか らイワレヒコまでが1792、470年」と糊塗するほかなかった。

 ではこの芒洋とした闇の中の「高天原」を地上に求めるのは、 愚にもつかない空論だろうか。

 ここで、「国家の本質」からいえば「始原の国家」をどこまでさかのぼって 想定できるのか、吉本さんの論説を聞いてみよう。

 ここ数年のあいだに古代史家たちのわが<国家>の起源についての論議が わたしたちの耳にもとどくようになってきた。わたしたちはその論議からあ たらしい知識をえられるようになった。しかしそれと同時になにを<国家>と よぶのか、そして<国家> の起源というのはなにを意味するのかについて 深刻な疑惑をもふりまかれたのである。えられた知識についてはよろこんで うけとることができるが、深刻な疑惑についてはいちおう返済しておかなく てはならない。これらの史家たちの論議はわたしたちが<国家>とはなにか の把握について、まったく未開の段階にしかないことをおしえている。

 はじめに共同体はどういう段階にたっしたとき、<国家>とよばれるかを 起源にそくしてはっきりさせておかなければならない。はじめに<国家>と よびうるプリミティウな形態は、村落社会の<共同幻想>がどんな意味でも血 縁的な共同性から独立にあらわれたものをさしている。この条件がみたされる とき村落社会の<共同幻想>ははじめて家族あるいは親族体系の共同性から分 離してあらわれる。そのとき<共同幻想>は家族形態と親族体系の地平を離脱 してそれ自体で独自な水準を確定するようになる。

 この最初の<国家>が出現するのはどのような種族や民族をとってきても、 かんがえうるかぎりの遠い史前にさかのぼっている。しかしこの時期を確定 できる資料はいずれのばあいものこされていない。考古資料や古墳や金石文 が保存されているのは、たかだか二、三千年をでることはないし、しかも時 代がさかのぼるほどおもに生活資料を中心にしかのこされておらず、<国 家>のプリミティヴな形態については直接証拠はのこされない。

 しかし生活資料たとえば土器や装飾品や武器や狩猟、漁撈具などしかのこ されていないとしても、その時代に<国家>が存在しなかったという根拠に はならない。なぜならば<国家>の本質は<共同幻想>であり、どんな物的 な構成体でもないからである。
(吉本隆明『共同幻想論』所収「起源論」より)

 次回から、古田さんの「アマクニ」解明の議論を追ってみる。

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