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領土領海ナショナリズム(6)

 前回に出てきた「地域的な超国家組織」を「両岸論76号」では「共同の庭」という「地域住民たちの自己管理」という理念にピッタリの言葉で表現している。この言葉は岡田さんが来日中の中国南海研究院の呉士存院長に「中国が目指す南シナ海政策」を尋ねた時の呉氏の答えの中で使われていた。岡田さんはその時の答えを次のようにまとめているる。

『呉氏は、米中衝突を回避するため米国に頻繁な自由航行作戦を控えるよう求める一方、中国側も過剰な軍事拠点化を抑制すべきと主張。南シナ海での防空識別圏(ADIZ)設定を支持しないとも語った。将来展望については、資源・環境保護を沿岸国と協力して進め、「共同の庭」にしたいと提唱した。中国にも自制を求める踏み込んだ発言は、北京指導部と同氏のパイプから見て、中国が政策を見直したのではないかとの観測も出ている。』

「共同の庭」への道

 「共同の庭」を志向する動きは中国の尖閣諸島をめぐる動きの中で芽生えていた。

 2013年7月、習近平(共産党総書記)は、領有権紛争を処理する基本方針として次の3点を主張した

 主権は我々にある

紛争の棚上げ

 共同開発
 岡田さんは呉氏に「この方針に変化はないか」と質問。これに対して呉氏次のように表明した。

『これは1980年代に鄧小平が釣魚島(日本名 尖閣諸島)問題について提起したもので、新しい提案ではないものの、中国はこの方針に基づき紛争を処理している。紛争の「落としどころ」は共同開発にある。』

 次いで呉氏は、「共同の庭」構想について、2014年11月に李克強首相がミャンマーのネピドーでの中国・ASEAN首脳会議で行なった演説からヒントを得たと述べた。その演説は

 領有権紛争は二国間協議で解決

 安全保障と平和の枠組みは、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)全体で構築
という基本方針に基づき
「南シナ海の平和と安定は、中国とASEANの間で決める。これが最大の沿岸国の中国の責任だ」
とした。さらに、
 「共同の庭」における具体的な協力について、国連海洋法第123条(閉鎖海又は半閉鎖海に面した国の間の協力規定)に基づき、海洋環境の保護と生物資源の持続可能な利用のため「南シナ海沿岸国協力メカニズム」を策定。サンゴ礁の修復、漁業資源の保護と生物多様性などの分野で協力を進めるとしている。

 この演説を受けて呉氏は
「相互信頼関係を増強するだけでなく衝突の危険性を薄め、南シナ海を関係国の『共同の庭』という運命共同体の形成に役立つ」と強調した。

 こうした「共同の庭」構想に対する周辺国の反応はどうだったのだろうか。
 シンガポールの英字メディアが「(共同の庭構想を)報道すると、ベトナム、インドネシア、ブルネイなど各国学者から歓迎された」と述べている。

 呉氏は昨年8月、フィリピンのラモス元大統領が香港を訪問し中国全人代外事委員会の傅瑩主任委員と行なった会談にも参加している。呉氏は
『会談では、フィリピンが提訴した仲裁裁判所の決定を受けた二国間関係のほか、ラモスが北京に行った場合の議題について意見交換した。共同の庭の話はしなかった。』
と述べている。しかし、ラモス会談を受け、フィリピンのドゥテルテ大統領が10月末訪中し、中国の経済支援を引き出すとともに、事実上紛争を棚上げする方針を表明している。

 呉氏が「共同の庭」構想を打ち出してからまだ2年ほどしか経っていない。その後の中国と南シナ海周辺諸国との外交交渉がどうなっているのか、私には分からないが、「共同の庭」創りに向かって手を携えていくことを願ってやまない。

(これで「中国脅威論の信憑性」を終わります。)
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