2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
宮古島市長選の争点

 関東大震災(1923年)の時に「朝鮮人が暴動を起こした」という流言が拡がって朝鮮人が多数虐殺されたという事件があった。今日(1月20日)の東京新聞が取り上げていた次のような記事を読んで、すぐこの事件を思い出した。

 私は知らなかったのだが、東日本大震災直後に宮城県内で「被災地で外国人犯罪が頻発している」という流言が流布されたそうだ。そのウワサは次のようである
 当時はSNSで「被災地で外国人窃盗団が横行している」「外国人が遺体から金品を盗んでいる」(遺体損壊)といったデマが飛び交い、被災者の間でささやかれていた。宮城県警はこのウワサが事実ではないこと確認している。

 郭基煥(東北学院大教授・共生社会論と言う方がこのデマを聞いた人たちの反応を調査した。調査方法と結果は次のようだった。

 日本国籍の20~69歳、計2100人を対象に実施。質問を郵送し、770人から回答を得た。回収率は36.7%。
 「被災地で外国人の犯罪があるといううわさを聞いた」と答えた人は回答者全体の51.6%で、情報源(複数回答)は「家族や地元住民」が68.0%と口コミが最も多く、次いで「インターネット」が42.9%。うわさとなった犯罪は「略奪、窃盗」97.0%、「遺体損壊」28.0
 うわさを聞いた人たちの内そのうわさを信じた人は86.2%で、年齢や性別で大きな差はなかったという。少ないながら外国人犯罪を「確かに見た」と答えた人(0.4%)、「そうだと思われる現場を見た」と答えた人(1.9%)もいたという。

 人は非常時には根拠のないウワサを信じてしまいやすくなるものだろうか。では多くの人々が、アベコベ軽薄姑息うそつきカルト政権が「集団的自衛権行使容認・戦争法強行採決・海外派兵・高額兵器購入(例:オスプレイ5機、1機当たり約103億円)・沖縄辺野古新基地と高江ヘリパッド建設工事強行」などの悪政の根拠にしている「中国の脅威」を疑おうとしないらしいのはどうしてなのだろうか。今、宮古島市長選挙(22日投開票)で大きな争点になっている自衛隊基地へのミサイル配備の論拠も「中国の脅威」である。東京新聞のこちら特報部(1月16日)はその経緯と基地規模を次のように報道している。

 陸自のミサイル配備計画が明らかになったのは2015年春ごろだ。国の「中期防衛力整備計画(14~18年度)」は南西諸島の防衛強化をうたっており、宮古島へのミサイル配備によって沖縄本島以南の防衛上の「空白」を埋めるのが狙い。中国を念頭に、本島との間の宮古海峡を突破して太平洋へ進攻する艦船をけん制するという。

 計画地は、宮古島中央部の航空自衛隊宮古島分屯基地にほど近いゴルフ場「千代田カントリークラブ(C)」。「こちら特報部が入手した計画案には「宮古島駐屯地(仮称)への配置予定として「部隊」のほか、「島しょに対する進攻を可能な限り洋上において阻止し得る対艦誘導弾部隊」「重要地域の防空を有効に行い得る地対空誘導弾部隊」と物々しい部隊名が並ぶ。部隊総数は700~800人だ。

 折しも、夕刊ゲンダイ(1月19日)で高野孟さんの『安倍政権 離島防衛のためのミサイル基地建設という欺瞞』という論説に出会った。歯切れがよく論拠にも全く虧損(きそん)がない。転載しよう。

 15日に告示された宮古島市長選の焦点は、陸上自衛隊のミサイル基地の建設を認めるか否かである。賛成・反対両陣営とも候補を一本化できず、4人が立つ乱戦模様だが、翁長雄志知事は反対派の前県議を支持している。

 安倍政権は盛んに「中国脅威」論をあおり、今にも中国軍が尖閣を手始めに南西諸島を“島伝い”に攻め上ってくるかのような時代錯誤も甚だしい(太平洋戦争の米軍ではあるまいし!)危機シナリオを振りまいて、まず与那国島に昨年、陸自の沿岸監視隊駐屯地を進出させたのをはじめ、石垣島、この宮古島、そして奄美大島にも基地を造ろうとしている。

 「離島防衛のための南西諸島戦略」というわけだが、これが当初、90年代にいわれ出した時には、「北朝鮮が国家崩壊し、一部武装した難民が大挙して離島に押し寄せる危機が切迫している」という“お話”だった。私はこれについてテレビやシンポジウムで何度も議論して、第1に、北朝鮮はそういう様態では崩壊しない(理由は今は省略)、第2に、仮に崩壊しても難民は99%、鴨緑江を歩いて渡って中国東北へ向かう――なぜなら中国東北には朝鮮族100万人が住むからで、なぜわざわざ海を渡って「資本主義地獄」と教えられている日本に向かうのか。第3に、そもそもそんな大量の難民が乗り組むだけの船がない、と指摘した。

 当時、ある公開の場で、後に防衛大臣となる森本敏にこの意見をぶつけ、「離島防衛なんてまったく架空の話じゃないか」と問うと、彼は苦笑いしながら「いや、実は旧ソ連が攻めてこなくなったので、北海道の陸自がやることがなくなっちゃったんだよ」と言った。

「なーんだ、用済みの陸自の失業対策だったんですか」と私がちゃかし、会場は笑いに包まれた。そんなことで、一時は下火になっていた離島防衛論だったが、野田政権の尖閣国有化の愚挙をきっかけに、東シナ海の“緊張”が高まると、それを利用して安倍が一気に基地建設の具体化を図った。

 マスコミは「宮古海峡を突破して太平洋に進攻する中国艦船を牽制」(16日付東京新聞)などと書き立てるけれども、ご存じですか、あの海峡は日本の領海でも接続水域でもなく公海なので、どこの国の軍民艦船が通過するのも自由であって、「突破」とかいう問題は、そもそも存在しないのだ。

 高野さんの文中にも(16日付東京新聞)からの引用文があるが、この引用の仕方ではこれが「こちら特報部」の記者の意見のように読めるが、私が引用した通り、これは記者が語った言葉ではなく「中期防衛力整備計画(14~18年度)」で語られた主張である。信頼している「こちら特報部」のために付言しておく。

 しかし、高野さんがこの引用文を批判している意図は、政府が垂れ流すウソを検証なしでそのまま引用するのはそのウソの拡散に手を貸しているという点にあると思う。そういう観点からは私も賛成する。今日(1月21日)の東京新聞の社説「首相施政方針 同盟を不変とする誤り」にもその例があった。その部分を引用する。
『中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発など厳しさを増す地域情勢を考えれば、紛争を抑止する警察力としての米軍展開の必要性は当面、認めざるを得ない。』
 これでは「中国の脅威」と「北朝鮮の脅威」を検証なしで認めていることになる。せめて「…地域情勢観…には検証が必要だが」ぐらいの付記があったらよいと思った。

 「中国脅威論」の検証は難しいが、この問題を取り上げているすばらしい論考に出会ったので、次回からそれを読んでみることにする。

(今回の記事から新たにカテゴリー「中国脅威論の信憑性」を設けることにしました。)
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