2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
今日の話題

2007年4月23日(日)
万国の労働者よ、団結せよ

 東京新聞(4月22日)のコラム「時代を読む」にロナルド・ドーア(英ロンドン大学政治経済学院名誉客員)さんが「米国の経済・思想的覇権」という記事を書いている。

 資本対労働の階級闘争が政治の枢軸となっている国はもうないかもしれないが、経済概念として、分配国民所得を労働配分・資本配分に分ける計算は依然として普通に行われている。前者は賃金・給料・ボーナス・自営業者の稼ぎの総計。後者は、配当、利子、有形・無形財産の貸借料。

 先日、国際通貨基金(IMF)の年次報告書「世界経済見通し」によると、グローバル化が加速されてきた1980年以降の期間に、先進国の労働分配率が平均69%から62%へと、7ポイント下がってきた。特に低いのは最近の日本の59%。

 「資本対労働の階級闘争が政治の枢軸」にならなくなったのは、もちろん、「階級闘争」の要因がなくなったからではなく、支配階級の狡猾な権謀術数により労働者側がずたずたに分断され闘争力を失ったからである。

 「万国の労働者よ、団結せよ」と言えば、「階級闘争の時代は終わった」としたり顔にほざく御用学者は冷笑するだろうが、どっこい、どのように隠蔽しようとも現実は相変わらず階級社会だし、人間の真の解放のためには労働者の団結こそがその要諦である。

 国際通貨基金(IMF)の年次報告書は、その原因を次のように分析している。

 IMF・世界銀行が創立された戦争直後には、30年代の世界不況の記憶が新しかった。二度と起こらないよう、国内では、政府の経済への介入、国家間では、世界経済を秩序立てるための、合議制による権威ある国際機関の必要性を認める思想が支配的であった。

 上述のIMF報告書の分析の基点は80年である。重要な転換点の年だった。レーガン・サッチャー、米英の新指導者たちの新自由主義・自由市場万能主義が世界的に支配的な地位を占めるようになり始めた年であった。世銀、IMFの役割は、最低限のルールの下で、市場の自由化、特に資本投資の自由化を助長することとなった。外資系企業による三角合併の解禁は、日本におけるその思想の体現の一例である。

 その市場原理主義思想を「ワシントン・コンセンサス」というようになった。ワシントンにおけるIMF・世銀および米国財務省という三機関の指導層の政策的合意 ―特に、発展途上国に対する援助の条件として強いる政策に関する合意― をいう。

 なぜ、そのコンセンサスの形成に米国財務省が入るかといえば、理由は明らかである。自由市場とは強いもの勝ちの市場である。世界市場のルールを設定するのは世界経済の覇権国である。建前として各国の合議制の下で運営されるはずのIMF・世銀は米財務省・ウォール街の強い影響下で運営されている。

 今週末ガールフレンドへの不当の厚遇という咎で総裁のいすから追い出されそうなウルフォウィッツ氏が広く反感を買っているのも、ガールフレンドよりも、あからさまな米国外交への密接な協力を第一としてきたことである。

 IMFの上述の報告書の分析の出発点は、「グローバル労働力の拡大・80年から4倍」である。「グローバル労働力」とは、「先進国資本の手が届く労働力」を言う。先進国での労働分配率の低下は、どれだけその労働力に中国・インドの安い労働力が使えるようになったことによるか、どれだけ技術の進歩なのかを分析する。

 ロナルド・ドーアさんはこれを「一理のある分析」としながらも、故意にか否かIMFが見逃しているもう一つの重要な変化の要因を指摘している。

 「企業は株主のもの・経営者の使命は株主の利益を最大化すること」という、日本で特に最近早く浸透してきた思想の世界的普及である。

 ドイツは、それと異なった思想、「企業は人なり」の思想、の世界における最後の要塞である。今まで、「共同決定制度」の形で従業員の利益をも守る会社法を維持してきた。日本のように、製造業を強みとする「モノづくり」の国で、最近日本よりも景気がいい。

 なのに、そのドイツでも、金融業者が先頭に立って、会社法の「株主主権的」改正を呼びかける運動が最近活発になってきた。

 米国の経済的覇権に伴う思想的覇権は恐ろしいものである。

 ここでもまた、『人間を手段としてのみならず同時に目的として扱え』という倫理の問題が問われている。

(カテゴリ『今日の話題』に入っていなかった「今日の話題」の記事を『今日の話題2』として掲載し直す作業が、奇しくも12月31日で終わりました。新年から心を新たに新しい記事をアップしていく予定です。)
スポンサーサイト
 コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
 トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://adat.blog3.fc2.com/tb.php/2215-8b0c45f3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック