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2007年3月14日(水)
右翼イデオローグの理論レヴェル(4)

(6)本来、国家とは観念的なものです。多民族、多宗教、多言語の人たちは、国家という観念を常に意識して忠誠を誓う。それは国家を壊さないための努力です。北海道には北海道の、沖縄には沖縄の自分たちの具体的な経験から生じる愛郷心がある。それとは違い、日本人意識や愛国心は観念です。

 混迷ぶりはますます深い。「本来、国家とは観念的なものです。」だって?! 行政府も官僚機構も議会も観念的なの?!  おいおい、この人正気かい?! もちろん、「日本人意識や愛国心は観念です。」 でもさあ、「愛郷心」だって「観念」だぜ。

 まあいいや、ここもヤギ先生の言わんとするところを斟酌して、できるだけ土俵を近づけてみよう。

 ヤギ先生があげている「自然、歴史、伝統、文化、宗教」に産業・流通など経済的な社会基盤も付け加えて、「国柄」などという抽象的な概念ではなく、『国家の起源とその本質(3)』で取り上げた<協同社会性の最大かつ最高の範囲>という意味で、<共同体>と呼ぼう。もちろん、この共同体は国家ではない。ヤギ先生に限らず右翼イデオローグ(その典型は小林よしのり)は「国」と「国家」をゴッチャに恣意的に使っているが、「国家」とは峻別して、この共同体を「国」と呼ぶなら同意しよう。私が「国」というときはこの意味で用いている。

 ところで(6)ではヤギ先生はこの共同体の<協同社会性>=<国家>と考えているらしい。そう解釈すれば、確かに「国家とは観念的なもの」ということになる。最も耳目に入りやすい通俗的な国家「観」である。とても国家「論」とはいえない。

 次の「多民族、多宗教、多言語の人たちは、国家という観念を常に意識して忠誠を誓う。それは国家を壊さないための努力です。」は何を言いたいのだろうか。「多民族、多宗教、多言語の人たち」で構成されている「国」(その典型としてアメリカ)では、<国家>=<協同社会性>を常に意識的に保持しようとしなければ、<国家>=<協同社会性>は崩壊すると言っている。

 大方の右翼イデオローグは日本を「単一民族」国家だと言い、それが「自慢史観」の一つの重要な要素になっている。保守反動政治もよく単一民族を自慢する。しかし歴史をまともに見ることができる人には、この日本単一民族説を信じるものはいない。

 この点ではヤギ先生は他の右翼イデオローグとは違うようだ。北海道と沖縄を持ちだしているのはただ単に「北は北海道から南は沖縄まで」という意味合いだけではなく、アイヌ民族と琉球民族を暗に指し示していると読むのはうがちすぎだろうか。アメリカほどではないとしても、日本も「多民族、多宗教、多言語」の国と認識しているから、愛郷心と愛国心が違うことをことさら強調し、<国家>=<協同社会性>を常に意識的に保持していくためには共通の国家意識や愛国心を必要とする、と言っている。ただしここの文脈でもそうだが、右翼イデオロギーでの愛国心は正確には愛「国家」心というべきだ。

 愛郷心が愛「国家」心に発展するとか、愛郷心の総和が愛「国家」心であるとかいう論よりヤギ先生の方がいくらかましだ。ここで共同体の<協同社会性>は所与のままでは保持できないという点をもう少し掘り下げると、ヤギ先生の国家「観」は国家「論」に昇格するのになあ。そのためには、観念論的思考をやめて科学的思考を採用すればいいのですよ。つまり、「多民族、多宗教、多言語」共同体であろうとなかろうと、共同体の<協同社会性>はそのままで「なかよしこよし」というわけにはいかない。それはなぜかと問い、事実に即して考えを発展させればよい。(以下は滝村国家論の復習です。)

 その事実とは、完成的な近代国家を成り立たしめている共同体(近代的市民社会)は支配階級と被支配階級という二つの階級権力を軸として諸階級・階層間の対立・抗争・闘争をしているという一事である。この敵対的な協同社会性を非敵対的な協同社会的秩序のもとに束ねなければならない。それは<幻想上の協同社会性>というイデオロギーのもとに統御するほかない。それを可能にするのが、二大階級権力の上に立つ<第三権力>としての国家である。これが『国家の起源とその本質(2)』の主題である<共同体-内-国家>である。

 しかし国家という社会構成は内部だけで閉じることはできない。他の社会構成と直接切り結びせめぎ合う対外的諸関係を避けるわけにはいかない。内的な<政治的社会構成>は、擬制的な<幻想的共同体>として組織された<外的国家>として構成されざるをえない。これが『国家の起源とその本質(3)』の主題である<共同体-即-国家>である。
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