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2006年11月30日(水)
外務省機密漏洩事件

 沖縄返還を目前に控えた72年3月、返還協定を巡り、米国が支払うはずの軍用地の原状回復費400万ドル(当時のレートで約14億円)を、日本が肩代わりすることを示す外務省極秘電信を、横路孝弘・社会党議員(当時)が衆議院予算委員会の場で暴露した。

 この外務省機密電信は、西山太吉・毎日新聞政治部記者(当時)が入手し、横路議員に手渡したもので、そこで明らかになったのは、沖縄返還において、米側が
(1)沖縄を返還しても、米軍基地の機能を低下させない。
(2)在日米軍基地の費用はすべて日本が負担する。

を日本に要求していることだった。現在沖縄が強いられている状況はここから始まっている。

 この密約を政府は強く否定したが、この発覚により佐藤内閣は窮地に追い込まれた。

 しかしやがて、西山さんが機密電信を入手した先が外務省の女性事務官であることが明らかになると、東京地検特捜部は、女性事務官を国家公務員法100条(秘密を守る義務)違反で、西山さんを同111条(秘密漏洩をそそのかす罪)で逮捕・起訴した。政府が「密約はなかった」と言っているのに、「機密漏洩」で裁かれる? 非論理を恥としない破廉恥は権力の得意とするところだ。

 これに対し、毎日新聞をはじめマスコミは、「国民の知る権利」を掲げて、取材活動の正当性を主張し、当局の対応を批判した。

 ところが起訴状に、西山さんが「女性事務官をホテルに誘って秘かに情を通じ、これを利用して」機密を入手したとの一文があり事態は一転した。世間の注目が、密約から西山さんと女性事務官の男女関係へと矮小化され、毎日新聞に抗議が殺到した。世論の反発の大きさから、同社は編集局長を解任、西山さんを休職処分とした。

 テレビ・ドキュメンタリー「メディアの敗北/沖縄返還を巡る密約と12日間の闘い」(琉球朝日放送2002年)で、インタビューに応じた政府や検察関係者が「まんまとメディアがのてっくれた」というような発言をしているという。

 その後、密約を巡る裁判は、最高裁まで争われたが、結局、「正当な取材活動の範囲を逸脱し違法性を帯びる」として、西山さんの上告は棄却され、有罪が確定した。

 一貫して政府は虚偽と隠蔽の姿勢を貫いて、この「密約」を否定し続けてきた。ところが事件から30年後、アメリカで公開された外交文書に「密約」の存在が明記されていた。また元外務省アメリカ局長・吉野文六さんの「密約」があったという証言もでた。それでもなお政府は「密約」を否定している。

 アメリカ政府との「密約」はほかにも多数存在しており、虚偽公文書作成・同行使、偽計業務妨害、背任・詐欺という権力中枢による国家の組織犯罪すべてが明らかになるため、これをかたくなに認めないのだとの説もある。

 いま、西山さんは三十数年間の沈黙を破って、国家賠償請求裁判を起こしている。11月7日に口頭弁論が行われたが、これを報道したのは東京新聞と毎日新聞だけだったという。その口頭弁論で西山さんは「密約を否定し続ける政府を許容しているのはメディアだ」とマスゴミを激しく批判した。

(『討論外伝』所収「在日米軍再編で、日米両政府は国民を二度欺く」と森達也さんの「新聞を読んで/密約事件の手痛い教え」(11月19日付・東京新聞)を利用しました。)
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