2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
《沖縄に学ぶ》(50)

機密文書「日米地位協定の考え方」(7):内容の検証(4)


《思いやり予算》

 『沖縄問題の本質(4):日米合同委員会(2)』で、アメリカ大統領選の共和党候補トランプの「日本が在日米軍の駐留経費を大幅に増やさなければ、在日米軍を撤退させる」という発言を取上げて、「在日米軍の撤退」賛成という意見を述べたが、今回はトランプが少なすぎるとほざいている日本負担の駐留経費がメインテーマである。

 「思いやり予算」については『60年「改定安保」の問題点(3)』で、安保条約の第6条の検討として取上げている。また、『沖縄返還交渉(3)』では、安保条約・第6条に基づいて設定された地位協定の第24条(経費の負担)の「"ゆるやか/リベラル"な解釈」による「思いやり予算」の拡大化を取上げた。

 今回改めて地位協定の第24条を読んでみたが、この条のマニュアルの中に「"ゆるやか/リベラル"な解釈」の根拠になっている記述に出会った。「既存の施設・区域内において日本側が、自らの経費負担において新たな建物等を建設して米軍に追加提供する」ケースについて、次のように記述している。
『米側から右の如き措置を日本側の負担で行なうべき旨要請された際、いかなる基準で日本側が諾否を決めるかといえば、これは安保条約の目的達成との関係、わが方の財政負担との関係、社会経済的影響等を総合的に勘案の上個々の事案に即して判断するといわざるを得ない。』

 追加施設の問題に限らず、どのような事案についても一定の規定はなく、個々についてはその都度、日米合同委員会での合意 ―勿論米軍優遇の「妥協の産物」としての合意― で決められているのだろう。実際に行なわれている「思いやり予算」の中身を具体的に見てみよう。

<米軍基地の土地代>
 本土にある米軍基地はほとんどが国有地の提供である。しかし沖縄の場合は、6割が県や市町村の土地であるが、あとは「銃剣とブルドーザー」で取上げられた民間人の所有地である。そして、そうした土地の借地料は、日本政府が負担している。そのうえで、日本政府は米国基地用の土地の賃貸借契約の手続きを代行し、嫌がる地主に金を積み、それでも拒否する地主には憲法が保障する財産権すら侵害する「軍用地特措法」という特別な法律をつくってまでも土地をとりあげ、米軍に提供しつづけている。このような措置は全て地位協定が根拠になっている。

<基地内の施設>
 米軍基地の地代だけでなく、駐留米軍の兵舎や米軍機の格納庫。滑走路のかさ上げ費用、兵士の食堂、トレーニングジム、体育館、軍人・軍属の家族向けの小中高校、政教分離にひっかかりそうな教会までもが、日本国民の税金を投じて建設し、提供されている。前泊さんは言う。
『狭い木造住宅を「ウサギ小屋」「鶏小屋」と笑うその国の軍隊に、国民の倍の広さの住宅を建設・提供し、自衛隊員は半分の狭い隊舎で我慢させられています。まったくおかしな状況です。』

<基地内で使う電気・ガス・水道代>
 さらに、米軍が基地内で使う電気料金、ガス料金、水道料金なども日本国民の税金で支払ってあげている。水道料金は沖縄の基地分だけで年間25億~30億円。別に下水道維持管理費が3億~4億円補填されている。しかも
『自分が払う必要のない軍人たちは、「暑い部屋にもどりたくない」と、クーラーをつけたまま外出するといいます。なかには換気のため、旅行中もつけっぱなしというケースもあるようです。』
といった勝手な使い方もされていて、軍隊が使用する電気代は、沖縄だけでも毎年100億円を超えているという。

<自動車関係の優遇措置>
 米軍関係者の車には「Yナンバー」というナンバープレートがついている。このナンバープレートをつけた自動車に対しては自動車税を国民の5分の1に減免している(「Y」はこの制度が横浜で始まったことでつけられた記号)。一般国民は排気量2000ccで、年間3万5000円程度の自動車税を払っているが、駐留軍兵士やその家族はなぜか一律7500円に減額されている。Yナンバーは、沖縄だけでも2万5000台を超え、米軍関係車両の税免除分は年間10億5000万円を超えているという。米軍用車両は、高速道路料金も日本側負担であり、これも沖縄分だけでも年間2億4000万円の負担となっている。

 もともと米軍の車両にはナンバー・プレートはなかった。米軍の車両がナンバー・プレートをつけるようになったのは、1995年に起きた少女暴行殺人事件のあと、沖縄県民の怒りを沈めるための日米両政府によるあの「SACO」合意の時からである。「SACO」合意の中に自動車関連の合意が次のように2件ある。
米軍の公用車両の表示
 米軍の公用車両の表示に関する措置についての合意を実施する。全ての非戦闘用米軍車両には平成9年1月までに、その他の全ての米軍車両には平成9年10月までに、ナンバー・プレートが取り付けられる。

任意自動車保険
 任意自動車保険に関する教育計画が拡充された。さらに、米側は、自己の発意により、平成9年1月から、地位協定の下にある全ての人員を任意自動車保険に加入させることを決定した。

 この二つの「SACO」合意がなぜ必要だったのか。そして、この合意後の実施状況はどうなっているのか。前泊さんの解説をそのまま転載する。

 (「SACO」合意によって、)1997年からナンバー・プレートの設置を米軍車両に義務づけるようになったのです。それでも沖縄ではナンバー・プレートなしで国道や県道などの公道を走る米軍車両がたびたび目撃されています。ナンバー・プレートなしの米軍車両が、国道や県道など公道で接触・衝突事故、人身事故を起こしても、軍用車両の場合は、カーキー色などの同じ色に同じ型の車両が多いため、特定するのがむずかしい。ですから米軍車両へのナンバー・プレートの設置はどうしても必要なのですが、まだ不十分というのが実態です。

 米軍の車両に交通事故を起こされた場合、保険がかかっていないため、十分な補償がなされず、泣き寝入りを余儀なくされるケースもよくあります。これも1997年にようやく軍が保険の加入義務化を表明しましたが、実施状況はいまだにはっきりしません。「改善」が決まっても、日本政府がそれを確認しないため、実際に実施されているかどうか、よくわからないのです。

 税収難を理由に消費税増税に乗りだした野田政権ですが、在日米軍には「思いやり予算」と呼ばれる特別経費などもふくめ、毎年約2500億円が国費から支出しつづけられています。そのうち1800億円が、「思いやり予算」といわれる、地位協定上もまったく支払う義務のない費用なのです。

 消費税増税が出てきたので、ちょっと横道へ。

 アベコベ軽薄姑息うそつきオカルト政権は消費税を5%から8%に引き上げたが、その増税分の3%は社会福祉の充実に当てるのじゃなかったけ?

 実際は次のようなのだ。(「しんぶん赤旗」の記事『「指標でみるアベノミクスの姿 安倍首相は自賛するが…(2016年6月18日(土)付)』からの引用です。)

 安倍政権が13~16年度の4年間に削減した社会保障の「自然増」(国費)は、1兆3200億円にのぼります。介護報酬の大幅削減や生活保護費の切り下げなどによるものです。「介護難民」「医療崩壊」をもたらした小泉「構造改革」を上回る削減額です。

 さらに、これとは別枠で、年金・医療・介護の給付を1兆9200億円も減らしました。年金支給額を3.4%切り下げて1兆7000億円削減。70~74歳の患者負担2倍化や、介護保険への2割負担導入などで2200億円削りました。

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