2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
《沖縄に学ぶ》(48)

機密文書「日米地位協定の考え方」(5):内容の検証(2)

《「在日米軍」の規定がない》

 安保条約第6条第2文の中に「…日本国における合衆国軍隊の地位…」という文言がある。この文言は「地位協定」の表題の中でも使われている。「日米地位協定」は略称であり、正式表題は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」である。では、この「合衆国軍隊」とは何を指しているのだろうか。

 前回検証したように、「外国軍駐留理由」についての明確な説明がないまま、「…考え方」は次の「日米地位協定の一般問題」という表題の記述に進んでいく。その前文と第1項目は次のように書かれている。

 安保条約第6条第2文は、「……施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、……行政協定に代わる別個の協定……により規律される」旨定めており、地位協定は、右の「別個の協定」として締結されたものであるが、安保条約第6条及び地位協定に共通する問題として次の諸点がある。(なお、安保条約第6条の一般的考え方については昭和48年2月5日付け条・条ペーパー参照) 1 安保条約第6条第2文及び地位協定の標題にある「日本国にある合衆国軍隊」との関連で、「在日米軍」とは何かということが問題とされる。「在日米軍」については、安保条約及び地位協定上何ら定義がなく、「日本国にある合衆国軍隊」と同義に使用される場合には、
(イ)(事前協議に関する交換公文にいう)日本国に配置された軍隊、
(ロ)寄港、一時的飛来等によりわが国の施設・区域を一時定に使用している軍隊、
及び
(ハ)領空・領海を通過する等わが国の領域内にある軍隊が含まれることとなる
(注1)。
(注1)「装備における重要な変更」に関する事前協議が前記(ロ)及び(ハ)の軍隊にも適用があることにつき政府の考え方は一貫している。(ロ)の軍隊につき地位協定の適用は明らかであるが、(ハ)の軍隊についても、例えば、領空通過中の米軍機がわが国において墜落して民家に損害を与えた場合等の補償問題が地位協定第18条により解決されることからも明らかである。

 以上から明らかなとおり、第三国を本拠として駐留する軍隊であっても、前記(ロ)又は(ハ)に該当することとなる限り「日本国における合衆国軍隊」として安保条約及び地位協定の適用を受ける。これらの軍隊が日本の領域内において在日米軍司令官の「指揮下」に入るか否かは本質的には米軍内部の問題であって安保条約及び地位協定の問うところではないと考えるべきである(注2)。
(注2)この点については、日本に配備された軍隊と一時的に日本にある軍隊とに分け、前者については在日米軍の指揮下に入るであろう、後者についてはその区署を受けることとなろうとの説明が行なわれることがある(例:衆・安保特5月4日及び18日議事録、山内一夫「施設及び区域」時の法令昭和35年第361号)が、本質的にはこれらの点に拘わる必要はないと考える。

 また、在韓国連軍たる米軍がわが国にある際は「在日米軍」であるか「国連軍」であるかという議論は、これら米軍の日本国における地位が安保条約・地位協定により規律されることとなっている(吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文第3項)ので実益がない。(注3)
(注3)この点については、「このような軍隊はある場合において国連軍たる性格と在日米軍たる性格と二重に持っている」との趣旨の岸総理答弁がある(衆・安保特4月13日議事録)

 前泊さんは「冒頭から(?)の連続です」とあきれ返っている。特に緑字の部分については誰もが大きな(?)に囚われることだろう。前泊さんは次のように論評している。

 すごいことがさりげなく書かれています。「在日米軍」については、「安保条約」にも「地位協定」にも「なんら定義がない」というのです。そしてもしこの「在日米軍」が、安保条約や地位協定に書かれている「日本国にある 〔おける〕合衆国軍隊」と同じ意味でつかわれるとすれば、そこには(イ)(ロ)(ハ)の軍隊がふくまれるというのです。

 (イ)については本来の駐留軍ということで理解できますが、(ロ)と(ハ)あきらかにおかしい。これでは在韓米軍やイラク、アフガニスタンに向かう途中の米軍まで「在日米軍」にふくまれてしまうことになります。そうした日本に関係のない軍隊にまで、安保条約や日米地位協定を適用しようとする理由はなんなのでしょうか。この外務省の裏マニュアルは、最初の定義づけのところですでに、非常におかしなことを言っているのです。

 外務省の定義によれば、これまで調べてきた在日米軍の特権は、(ロ)(ハ)にも適用されることになる。その主なものを改めてまとめておこう。

① 財産権(日本国は、合衆国軍隊の財産についての捜索、差し押さえなどを行なう権利をもたない)     ② 国内法の適用除外(航空法の適用除外や自動車税の減免など) ③ 出入国自由の特権(出入国管理法の適用除外) ④ 米軍基地の出入りを制限する基地の排他的管理権(日本側の出入りを制限。事件・事故時にも、自治体による基地内の調査を拒否) ⑤ 裁判における優先権(犯罪米兵の身柄引渡し拒否など) ⑥ 基地返還時の原状回復義務免除(有害物質の垂れ流し責任の回避、汚染物質の除去義務の免除など)

 こうした米軍の特権の弊害についても、私たちは多くのことを知ってきたが、前泊さんの解説を読んでおこう。

 こうした米軍にあたえられた特権は、日本国民全体に多くの被害をもたらしています。米軍機の低空飛行訓練による爆音被害、犯罪米兵の国外逃亡、返還された軍用地の汚染物質除去費の日本側負担、基地内からの有害物質の流出などです。また、実弾演習による民間地への被害など、米軍の事故・事件による「基地被害」は沖縄県だけでも復帰後、6000件を数えています。しかも、そうした米軍関連の事故・事件には歯止めがかからないばかりか、沖縄では最近、増加傾向をみせているのです。

 このため、これまで沖縄県や沖縄弁護士会、連合(労働組合)、そして野党時代の民主党などが何度も地位協定の改定案をつくり、「米軍優位」といわれる「不平等協定の改定」を求めてきました。

 地位協定上に明記された規定でも、日米両政府いずれかの申し出があれば、改定に向けての協議が始まることになっていますが、所管する外務省はすでに見たように改定には消極的で、歴代外相も「運用の改善で対処する」という姿勢に終始しています。

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