2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
《沖縄に学ぶ》(30)

沖縄問題の本質(7):米軍ヘリ墜落事故

 前回に出てきた沖縄国際大学で起こった米軍ヘリ墜落事故を改めて取り上げることにする。

(今回は『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』が参考書です。)

 沖縄の土地の18%がアメリカ軍基地として使われている。それだけでも驚くべきことだが、なんと、上空は100%アメリカ軍に支配されているという。つまり、アメリカ軍の航空機はアメリカ人居住地以外はどこでも自由に飛べるし、どれだけ低空を飛んでもかまわない。爆音問題だけでなく、いつどこで墜落事故が起こるか分らない。爆音訴訟では厚木基地・横田基地の周辺の人たちも訴訟を起こしていたように、これは沖縄だけの問題ではない。

 私は羽田での飛行機の発着陸がなぜ千葉の方に向かうのか疑問に思っていたが、遅まきながら、その疑問が解けた。
横浜ラプコン
 上の図は横田ラプコン(RAPCON略語: Radar Approach Control レーダーによる航空交通管制)と呼ばれているアメリカ軍の管理空域を示している。日本の飛行機はそこを飛べないことになっているからなのだった。

 だから羽田空港から西へ向かう飛行機は、まず東の千葉県のほうへ飛んで、そこから急上昇・急旋回してこの空域を越えなければならない。そのため非常に危険な飛行を強いられています。

 まったく沖縄と同じなのです。法律というのは日本全国同じですから、米軍が沖縄でできることは本土でもできる。ただ沖縄のように露骨にやっていないだけ。

 では、2004年8月13日午後2時17分に起こった沖縄国際大学墜落事故の様子を見てみよう。

 訓練をしていた米軍機が沖縄国際大学に墜落し、ヘリの破片が大学と周辺のビルや民家に猛スピードで飛散しました。破片のひとつはマンションのガラスを破り、直前まで赤ん坊がスヤスヤと眠っていた寝室のふすまに突き刺さったのです。ケガ人が出なかったのは「奇跡中の奇跡」だったと、だれもが口をそろえるほどの大事故でした。

 さらに人びとに大きなショックをあたえたのは、事故直後、隣接する普天間基地から数十人の米兵たちが基地のフェンスを乗り越え、事故現場の沖縄国際大学になだれこんで、事故現場を封鎖したことでした。

 そのとき沖縄のテレビ局(琉球朝日放送)が撮影した映像を、一度、世界中の人に見てもらいたいと思います。自分たちが事故を起こしておきながら、「アウト! アウト!」と市民をどなりつけて大学前の道路から排除し、取材中の記者からも力ずくでビデオカメラをとりあげようとする米兵たち。一方、そのかたわらで米兵の許可を得て大学構内に入っていく日本の警察。まさに植民地そのものといった風景がそこに展開されているのです。

 つまり、米軍機が事故を起こしたら、どんな場所でもすぐに米軍が封鎖し、日本側の立ち入りを拒否することができる。それが法的に決まっているのです。警察も消防も知事も市長も国会議員も、米軍の許可がないとなかに入れません。いきなり治外法権エリアになるわけです。

 ひと言で言うと、憲法がまったく機能しない状態になる。沖縄の人たちも、普段はみんな普通に暮らしているのですが、緊急時にはその現実が露呈する。米軍は日本国憲法を超えた、それより上位の存在だということが、この事故の映像を見るとよくわかります。

 このような治外法権エリアがまかり通る法的根拠は行政協定の次の条項である。

第17条3項(g) 日本国の当局は、合衆国軍隊が使用する施設及び区域内にある者若しくは財産について、又は所在地のいかんを問わず合衆国軍隊の財産について捜索又は差押を行う権利を有しない。(後略)

 基地の外側、つまり日本国内のどんな場所にあっても、米軍の「財産」については捜索も差し押さえもできない。ですからヘリの破片を米軍が「財産」だと強弁すれば、たとえ皇居だろうが国会議事堂だろうが、米軍はヘリの墜落現場を封鎖して日本側の立ち入りを拒否する権利を、日本の独立後も変わらずもっていたのです。

 しかし、さすがにあまりにひどい主権侵害だったからでしょう。1953年にNATO地位協定にならって日米行政協定(第17条)が改定されたときに、この条文は姿を消します。だから日米地位協定には、もちろんこの条文はありません。

 ところが、ここが最大の問題なのですが、協定から消えても実態として米軍側の権利はつづいているのです。それはごく一部の人間にしか知らされていなかったのですが、1953年の行政協定の改定時に、日米で合意した「事実上の密約」があったからです。
「日本国の当局は、通常、合衆国軍隊〔米軍〕が使用し、かつ、その権限にもとづいて警備している基地内にあるすべての者もしくは財産について、または所在地のいかんを問わず合衆国の財産について、捜索、差し押さえ、または検証を行なう権利を行使しない。(後略)(「日米行政協定第一七条を改正する議定書に関する合意された公式議事録」1953年9月29日、東京)

 この密約はアメリカと沖縄との密約ではなく、アメリカと日本との密約なのだから、もしも東京でアメリカ軍機の墜落事故があれば、沖縄国際大学墜落事故で起こったことが再現されることになる。
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