2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
《沖縄に学ぶ》(23)

沖縄の歴史(20):再びヤマト世へ(6)

沖縄返還協定(3)

 沖縄返還時の密約についてまとめておこうと思った。まずすぐに思い出したのは西山事件だった。ネットではたくさんの記事がヒットするが、この事件については過去に取り上げていたことを思い出した。その記事を紹介しよう。

『今日の話題「外務省機密漏洩事件」』

 西山さんが起こした国家賠償請求裁判の結果については次の記事で取り上げている。

『今日の話題「黒を白と言いくるめることに腐心する権力の番犬たち」』

 改めて西山事件の要点をまとめておく(上の二つの記事をお読みになった方は飛ばして下さい)

 1972年、毎日新聞の西山太吉記者が入手した外務省極秘電文のコピーには「「アメリカが地権者に支払う土地現状復旧費用400万ドル(時価で約12億円)を日本政府がアメリカに秘密裏に支払う」という密約が書かれていた。そのスクープ記事が日本社会党の横路孝弘と楢崎弥之助によって国会で取り上げられて大きな問題となった。しかし、政府は一貫して密約を否定して、問題は西山さんに極秘電文のコピーを提供した外務省の女性事務官と西山さんの男女関係と機密文書の入手方法に矮小化されていった。裁判の結果、2人は有罪となる。その30年後(2002年)に沖縄返還関係の公文書の機密が解除されて、西山さんのスクープ記事が真実であったことが証明された。2005年、西山さんは「密約の存在を知りながら違法に起訴された」として国家賠償請求訴訟を提起したが、第一審から最高裁まで、密約の存在には全く触れることなく、「損害賠償請求の20年の除斥期間を過ぎ、請求の権利がない」という棄却判決を押し通した。そして、日本政府は依然として密約の存在を認めていない。

 日本では三権分立とは絵に描いた餅であり、三権癒着国家である。下級審で見事な判決が出ても最高裁まで行くと決まって逆転する。

 「核抜き、本土並み」の「核抜き」  もう一つ、1997年に、返還後のアメリカ軍基地の使用をめぐる密約があったことを琉球新報がスクープしている。その密約が交わされた1972年5月15日の日付をとって「5・15メモ」と呼ばれている。これについてもネットで、琉球新報のスクープ記事(『「5・15メモ」本紙が入手 48施設の使用条件覚書』)をはじめ、いろいろな記事を読むことができるが、ここでは奥田さんの解説を引用しておく。

 1997年3月7日付け『琉球新報』朝刊でスクープされた「5・15メモ」は、72年5月15日に東京の外務省で吉野文六北米局長(当時)を代表とする日本政府代表団とリチャード・リー陸軍少将(当時)を代表とする米国政府代表団とのあいだで収り交わされた英文A4判250頁を超える一連のメモである。狭義には、沖縄の施政権返還にあたって米軍に提供する「施設及び区域」の使用目的、使用期間、使用条件などを定めた日米合同委員会施設分科委員会の合意事項であり、日米合同委員会第251回会合で「署名され、承認され、記録された」メモである。

 この合同委員会は、1951年講和・安保東京会談の冒頭に吉田首相が「日米の相互安全のための協力」、つまり日本「再軍備計画」が内外に与える政治的な影響を懸念して機密にするのが「政治的に賢明である」として設置されたものである。つまり、「5・15メモ」は日米安保条約をめぐる外交交渉における日本政府の「密約」の延長線上に位置づけられる。

 実際、公表された「5・15メモ」の冒頭には、「この会議録は両政府の正式文書と考慮され、相互の合意なくしては公開されないものとする」と書かれている。また、「5・15メモ」のなかで米軍が沖縄で使用する「施設及び区域」とは、治外法権的な区域を連想させるという理由による「基地」の言い換えにすぎない。「基地」を「施設及び区域」と言い換えることはできても、その排他的な性格を持つ広汎な軍事拠点という"実体"を変えることはできない。さらに、最終的に合同委員会が締結した取り決めによれば、沖縄返還後も米軍が継続して使用する軍用地などの「施設及び区域」は88に上っていた。

 しかも、日本の施政領域内にあって米国の管理権、つまり排他的使用権が及ぶ「基地」の使用期間は実質的に「無期限」とされている。そのうえ、米軍の軍事訓練上の「汚い仕事」は〈アジア太平洋地域→日本(本土)→沖縄(本島)→伊江島・鳥島〉という、より人目につかない、抗議の声が上がりにくい場所へと押しつけられているのである。

 自由と平等への解放を志向した戦前の「ヤマト(大日本帝国)世」、民主主義に夢を託した「アメリカ世」、そして日本国憲法下の〈非軍事・脱植民地化=民主化〉を希んだ再度のヤマト(日本国)世」は、いずれも希望と失望の繰り返しであった。小さいながらも独立国家であった歴史と文化が基底にあるだけに、それぞれの「世」には侵略者の一時天下という沖縄の実感が込められてもいる。

 アクトン卿(イギリスの歴史家・思想家・政治家)の有名な格言
「権力は腐敗する、絶対的権力は徹底的に腐敗する」
に倣うと、特定秘密保護法などという悪法を必要とするこの国については次のようになる。
「権力はウソをつく、傀儡権力はクソ…、いや訂正、ウソまみれるになる」
 何の傀儡? 勿論財閥(独占資本)様とアメリカ様の傀儡である。
 これまで見てきたように、密約だらけの沖縄返還協定で行なわれた沖縄返還の結果、再度のヤマト世はアメリカ世より一層過酷な状況を沖縄に強いることになった。奥田さんは次のようにまとめている。

 日米の「密約」外交を読み解いてゆくと、沖縄県の民意が反映されない政治の閉塞感、日本政府の対米協調/従属主義、そして米国政府の恫喝外交と米軍の軍事優先政策が浮き彫りになる。このように沖縄問題を突き詰めてゆくと、その不合理性や不正義を消極的ないし積極的に許容してきた日本社会の構造 ―在沖米軍基地をめぐる補助金や交付金をめぐる行政官僚機構、基地の雇用創出効果といった市場メカニズム、あるいは政治判談やメデイア報道といったシステムの自明性への依存― にこそ、真の原因があることが見えてくる。

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