2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
《沖縄に学ぶ》(15)

沖縄の歴史(12):アメリカ世の沖縄(5)

沖縄財政への誤解

 「島ぐるみ闘争」に続いて「祖国復帰運動」を取り上げる予定だったが、その前に前回の最後に問題にした「基地経済への誤解」を補充しておくことにした。

 前回、翁長知事の陳述書から『「沖縄は基地で食べている」 基地経済への誤解』を引用したが、沖縄経済についてのもう一つの誤解が語られているので、それを引用しよう。

 (4)「沖縄は莫大な予算をもらっている」 沖縄振興予算への誤解  沖縄は他県に比べて莫大な予算を政府からもらっている、だから基地は我慢しろという話もよく言われます。年末にマスコミ報道で沖縄の振興予算3千億円とか言われるため、多くの国民は47都道府県が一様に国から予算をもらったところに沖縄だけ3千億円上乗せをしてもらっていると勘違いをしてしまっているのです。

 都道府県や市町村が補助事業などを国に要求する場合、沖縄以外では、自治体が各省庁ごとに予算要求を行い、また、与党国会議員等を通して、所要額の確保に尽力するというのが、通常の流れです。しかし、復帰までの27年間、沖縄県は各省庁との予算折衝を行えず、国庫補助事業を確保するための経験は一切ありませんでした。一方で沖縄の道路や港湾などのインフラは大きく立ち後れ、児童・福祉政策なども日本とは大きく異なるものであり、迅速な対応が要求されていました。

 復帰に際して、これらの課題を解決するために、沖縄開発庁が創設され、その後内閣府に引き継がれ、県や市町村と各省庁の間に立って予算の調整、確保に当たるという、沖縄振興予算の一括計上方式が導入されました。また、脆弱(ぜいじゃく)な財政基盤を補うため、高率補助制度も導入され、沖縄振興に大きな成果を上げつつ、現在に至っています。

 しかしながら沖縄県が受け取っている国庫補助金等の配分額は、全国に比べ突出しているわけではありません。

 例えば、県民一人あたりの額で見ますと、地方交付税や国庫支出金等を合わせた額は全国6位で、地方交付税だけでみると17位です。沖縄は内閣府が各省庁の予算を一括して計上するのに対し、他の都道府県では、省庁ごとの計上となるため、比較することが難しいのです。ですから「沖縄は3千億円も余分にもらっておきながら」というのは完全な誤りです。

 一方で、次のような事実についても、知っておいていただきたいと思います。沖縄が米軍施政権下にあった27年間、そして復帰後も、全国では、国鉄により津々浦々まで鉄道網の整備が行われました。沖縄県には、国鉄の恩恵は一切ありませんでしたが、旧国鉄の債務は沖縄県民も負担しているのです。また、全ての自治体で標準的な行政サービスを保障するため、地方交付税という全国的な財政調整機能があります。沖縄には復帰まで一切交付されませんでした。

 いま新垣毅編著『沖縄の自己決定権』(琉球新報社刊)を併読している。その本の「データで見る沖縄経済」という節で経済学者の仲地健(沖縄国際大学教授)さんがインタビューに応えて語っている内容が翁長知事の主張を裏付けている。転載しておこう。

―沖縄の財政の現状は。

 日本復帰の年(1972年)の県民総所得は5千億円近くだが、2010年は約4兆円で、約8.2倍になった。軍関係受取は777億円から2080億円の2.7倍。総所得に占める軍関係受取の割合を基地依存度として見ると、1890年代中盤から5%程度でしかない。県経済は基地収入以外で所得が増えている。例えば観光収入は320億円から4千億円超へ12倍以上、総所得よりも大きい伸びだ。
 ただ、財政依存度(公的支出額/県民総所得)は強まった。復帰当初の25%から最近は38%だ。総所得4兆円のうち約1.5兆円は国から入ってくるお金だ。復帰を境に沖縄経済は基地依存から財政依存に体質が変わった。本土との格差を是正するために公共投資を活発にやってきたからだ。といっても、全国的に見ると財政依存度は全国5位だ。
沖縄の財政1
―財政への誤解もある。

 国からのお金を「多くもらっている」という人がいるが、類似10県と比べるとそうでもない。沖縄は1人当たりの公的支出額は105万円で17位だ。沖縄だけ「国におんぶに抱っこ」ではない。国庫支出金や地方交付税と別枠で、3千億円の一括交付金をもらっていると思い込んでいる人もいるが、それも間違いだ。
 地方交付税制度は税収が少ない自治体にお金を配分する仕組みだ。標準的な行政サービスを提供するのに必要な額(基準財政需要額)を地方税で賄えない分は、国が地方交付税を出すことで自治体の財源を保障している。
 注目すべきは、沖縄県の基準財政需要額が財政指標類似10県の8割弱ということだ。本島中南部に約100万人いて人口密度が高いので効率的な行政ができるから他県より金がかからない。つまり支出が8割で済むため、収入も8割あればいい。沖縄の税収が低いことが強調されるが、歳出を考慮し収支バランスで見ると、沖縄県の財政力はむしろ類似県平均以上だ。
沖縄の財政2
―沖縄は米軍基地がなくてもやっていけるか。

 自治体財政に関して言えば、極端な話、来年基地が全部なくなってもまったく困らない。財源不足分は地方交付税で自動的に穴埋めされるからだ。基地がないと北海道夕張市のように財政破綻する自治体が出てくるかといえば、それはあり得ない。

―財政から見た場合、沖縄の自立をどう考えるか。

 国からの補助金は県民1人当たり約49円。逆に国に納める税金は約19万円で、約30万円の受け取り超過(類似県平均は41万円)であるが、この額は全国46位だ。自立をどう捉えるかだが、補助金よりも納税額が多ければ、自立していると言えるかも知れないが、それは国と地方の財政関係を抜本的に改革しない限り、どの地方も難しい。

―沖縄の課題は

 教育に力を入れることが重要だ。子どもの学力は親の所得に比例することが分かっている。所得は生産への貢献度に応じて市場で決まるため、一気には上げられない。個人が伸びれば、いろんな意味で経済的自立につながる。

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