2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
《沖縄に学ぶ》(5)

沖縄の歴史(3):「万国津梁の精神」

 第六代の琉球国王は尚泰久(しょうたいきゅう)は先代の尚金福(しょうきんぷく)の仏教奨励の業績を継承して仏教を手厚く保護した。歴代国王の中でもっとも多くの寺院を建立しているという。それらの遺産の中に「万国津梁の鐘」(沖縄県立博物館所蔵)と呼ばれている梵鐘がある。翁長知事が「万国津梁の精神」と呼んでいる精神はその梵鐘に由来している。

 現在、首里城にレプリカが架けられている「万国津梁の鐘」も尚泰久がつくらせたもので、それには次のような文章が刻まれている。

 「琉球国は南海の勝地にして、三韓の秀をあつめ、大明をもって輔車となし、日域をもって唇歯となす。この二中間にありて湧出せる蓬莱の島なり。舟楫をもって万国の津梁となし、異産至宝は十方刹に充満せり」

 琉球は中国と日本と親密な関係を結び、交易船でもって万国の架け橋となり、宝物で満ちあふれているという意味になろうか。有名な文章なので、聞き覚えのある人も多いだろう。

 積んどく本のなかに『100人の沖縄コラム』という本はあった。その本の巻頭に「万国津梁の鐘」に刻まれた文の写真とその読み下し文、さらに上の引用文で仲村さんが取り上げている冒頭部分の現代語訳が掲載されていた。それを転載しよう。
「万国津梁の鐘」1 「万国津梁の鐘」2 「万国津梁の鐘」読み下し文1 「万国津梁の鐘」読み下し文2
 冒頭の現代語訳は次のようになっていてる。これが「万国津梁の精神」である。

わが琉球国は南海の恵まれた位置にあり
朝鮮のすぐれた文化を吸収し 中国とは親密な関係を結んでいる
また日本とも心のゆきかう身近な間柄である
これらの国々の間に浮かぶ楽園の島である
船で海を渡り万国の掛け橋となり
至るところ宝の山にうずもれてる

 仲村さんは「津梁の鐘」の解説を次のように続けている。

 しかし、歴史研究家の上里隆史氏によれば、この文章は全体の四分の一程度で、残りの文に尚泰久が伝えたかった真意が記されているという。

 その大意を現代風に要約すると、以下のようになる。
「尚泰久王は仏法を盛んにし、仏の教えに報いるためにこの鐘を首里城の正殿前にかけた。法を定め、世の人々、王家の永い治世を祝う。衆生を救い相国寺の渓隠和尚に命じて鐘を刻む文をつくらせた~」

 渓隠は日本の禅宗に帰依していた僧侶で、要するに、この鐘は琉球が仏教王国であることを誇示したものだというのである。

 沖縄は仏教が定着しなかった島とよくいわれるが、それは誤りである。いまでも首里城下には多くの仏教寺院があるし、当時においては支配階級を中心に、仏教が広く信仰されていたことがこの一事をとってもよく理解できる。ちなみに首里周辺は臨済系の禅寺が多く、日本から多くの僧が住持として招来されていた。この時代、日本をふくめて寺はいわば学問を学ぶ大学として機能している。渡来僧は宗教の教学はもちろん、建築、美術などの教授として学術を振興させるとともに、日本との外交・交易関係を仲介する使者としての役割もはたした。

 ともあれ、尚金福から尚泰久の治世下で王国が海外交易で未曾有の繁栄をとげていたことは鐘の碑文にある通りで、こうした仏教の興隆も貿易振興がもたらした文化の副産物といっていいだろう。

 さらに、仲村さんはそのころの琉球王国の交易相手国について次のようにまとめている。

 中継貿易が最も盛んなこの時代、琉球はいまの福建省、アユタヤ(シャム)、マラッカ(マレーシア)、パレンバン(スマトラ)などの東南アジア諸国、朝鮮、日本の坊津・博多・対馬・堺など、文字通りアジアの架け橋として、多くの交易ルートをつぎつぎと完成させていた。その国際交易都市として那覇は大いに栄えることになる。

 古来、語り継がれてきた民間の古謡集、『おもろそうし』には当時の那覇のようすが高らかに謡われている(『琉球王国』赤嶺守/講談社選書メチエより)。

一 首里 おわる、てだこが
  浮島は げらへて
  唐 南蛮、寄り合う、那覇泊
又 またぐすく おわるてだこが

「首里におわす国王が浮島であった那覇に港をつくり、唐、南蛮の船が那覇の港に寄り集まっている。城におわす国王が」
 大意を記すと以上のようになる。アジア各国の商船が港内にいくつも浮かんでいる様子が目に見えるようである。

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