2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
《『羽仁五郎の大予言』を読む》(108)

終末論の時代(43)

「独占資本主義の終末」補充編(28)

羽仁提言「三つの原則」の検討(26)


原則3:「発展途上国との共生」(9)

日本の対アフリカ援助の問題点(2)

 TICADは大規模な国際会議であり、国内外から多くの要人が参加している。しかし石田さんによると、第一回~第三回の会議の内実は「要人たちの顔合わせや外交的なコンセンサスを形成することが目的」となっていて、アフリカ問題に対する「具体的な戦略が検討されたことを想像するのは難しい」といった内容だったようだ。TCSFは「TICAD Ⅳ」にむけて、TICADが真にアフリカ問題に向き合うことを願って、次のような二つの提言をしている。

提言4
第4回アフリカ開発会議を貧困削減・飢餓撲滅と格差解消の機会に!


 第4回アフリカ開発会議を政策決定者の儀礼の場で終わらせるのではなく、アフリカ民衆を主役とするアフリカ開発を実現するための画期的機会とするための提言である。

 まず、第4回会議のテーマは、アフリカの参加を得て決めるべきと考える。外務省では、
①成長の加速化、
②平和の定着、MDGs達成を含む「人間の安全保障の確立」、
③環境問題・気候変動問題への取り組み
を第4回会議の3本柱とすると発表している。しかし、これはアフリカ開発のための会議である。アフリカの人々の知らないところで議題を勝手に決めるべきではない。

 アフリカの市民社会組織と協議してきた結果、第4回会議は「貧困削減・飢餓撲滅と格差解消」を使命とすべきと考える。会議では、アフリカと日本の政策決定者、アフリカと日本の市民が、貧困削減・飢餓撲滅と格差解消について、過去5年間のアフリカ各国、世界、そして日本の努力の経験を引き出し、来る5年間に向けて、民衆が主役となる開発について合意を形成し、世界の世論をリードしていくべきと考える。

 次に、第4回会議では、市民社会の正式な参加を実現すべきと考える。アフリカ開発会議の場に市民が正式に参加し、広く情報が公開される初めての会議とすべきである。アフリカ開発会議の場において、市民社会を通してアフリカ民衆の声を伝え、アフリカ開発の政策策定にアフリカ民衆や市民社会が参加する第一歩を踏み出すことが重要である。

 アフリカと日本の市民社会は、同会議発足以来、正式な参加を求め続けてきたが、いまだ実現していない。アフリカ開発会議において開発のために真剣な議論が交わされ、日本とアフリカの市民が広く関心をもち、アフリカの貧困削減と格差解消に役立つには、市民社会の正式参加が不可欠の条件となるであろう。

提言5
第4回アフリカ開発会議で日本の新たなリーダーシップを!


 私たちは、日本政府が第4回アフリカ開発会議において以下の公約をし、続くG8サミットにおいて、アフリカ支援強化実践へ向けて国際社会を牽引することを求める。

 TICAD市民社会フォーラムの提案する「第4回アフリカ開発会議における日本政府の公約」

1. 2013年(第5回アフリカ開発会議開催予定年)までに、ODAの対GNI[国民総所得]比0.7%目標を達成する。

 国連は、2009年までに少なくとも対GNI比0.5%の達成を求めている。私たちは、日本が2015年のMDGs達成に向けて、2013年の第5回会議までにGNI比0.7%を達成すると約束することを求める。第4回アフリカ開発会議と洞爺湖G8サミットでは、日本はG8議長国として率先して自らの約束を果たし、ほかの参加国にも実現を迫るべきである。

2. これまでのODA公約を誠実に履行する。

 小泉首相(当時)は2005年のグレンイーグルズ・サミットに際して、2005年から2009年の間に、無償援助を中心に100億ドルをODAに追加することを宣言する一方、2005年4月のアジア・アフリカ会議(通称バンドン会議)では、2007年までに対アフリカODAを2003年に比べて倍増すると発表した。しかし、この増額分には、債務削減関連の資金も計上されていた。日本政府はこれらの約束を、債務削減の進展とは別に「真水」で実現すべきである。なぜなら、過去の借金の棒引きでは、貧困者に届く資金は増えないからである。

3. ODAの質の改善を図り、次回のアフリカ開発会議までにアフリカ援助を4倍増とする。

 MDGs達成が困難であることが明らかになっている今、日本は第4回アフリカ開発会議およびG8サミットのホスト国として、対アフリカ協力の議論をリードしていくためにも、第4回会議のモニタリング・評価体制を整備して、日本の対アフリカ政策の成果を公表し、さらに、次回の会議までにアフリカ支援を2005年に比べて4倍増にすべきと考える。

4. 対アフリカ援助は、無償援助を4分の3以上とする。

 アフリカ各国への支援に占める無償援助の割合は、4分の3以上とすべきである。アフリカの公的部門の援助吸収能力・大型インフラの経済効率ともに極めて低いこと、そしてアフリカの最貧国向けとしては借款による支援は不適切であることは、すでに明らかである。アフリカに対する借款は、効率的な使用と確実な返済が可能で、貧困者の利益となるような革新的な制度を探るべきである。それが確立されるまでは、試験的な供与以上に踏み込むのは、貧困者にとって望ましいことではない。

5. 債務削減プロセスヘの市民の参加を拡大する。

 1996年以降、HIPCsイニシアティブ[重債務貧困国イニシアティブ]による債務救済が開始され、貧困国の債務削減が進んでいる。しかし、貧困者は債務削減の利益を十分に受け取っていない。債務削減は、政府の貧困との闘いへの財政支出の増加と貧困者支援の効率化、民主主義の前進をもたらすものでなければならない。債務削減が貧困者の利益となるためには、債務削減プロセスにおいて市民社会が必要な役割を果たすことが重要である。さらに、債務削減が日本国民の理解を獲得するには、日本の市民社会の債務問題へのコミットメントを高めなければならない。債務に関する情報の公開を進め、債務削減プロセスヘの市民参加を求め、アフリカと日本の市民社会が、この分野で対話と協力を進める枠組みを保障するべきである。

6. 「アフリカ・日本新パートナーシップ宣言」を採択する。

 第4回アフリカ開発会議が対アフリカ協力の新たな出発点であることを示すために、アフリカと日本で新パートナーシップ宣言を提案することを求める。ただし、私たちは、宣言の内容を一方的に提案することはしない。宣言は、アフリカと日本の市民社会・政府が共に考え、合意するべきもので、私たちだけで決めるものではないからだ。

 以下に、日本の市民社会組織として、TICAD市民社会フォーラムが宣言に含むべきと考える点を提案する。
(1)
 新しい協力の基礎となるODAに対する共同評価を市民と共に実施する。
(2)
 アフリカ向け円借款の本格的再開の前に、市民と共に評価を行う。
(3)
 アフリカ各国に、それぞれの国と日本の市民社会組織による市民委員会を設置し、ODAの政策決定から執行に至るまでの市民の参加を求める。
(4)
 アフリカと日本の市民社会組織間の連帯強化のために、3万人の交流を目標とするエクスチェンジ・プログラムに公的支援を行う。

 以上のような五つの提言を総合して、これまでのTICADの批判とこれからのTICADの在り方について、具体的の次のようにまとめている。

アフリカ開発会議のこれから

 アフリカ開発会議は1993年に初めて開催されたとき、当時最大のドナーであった日本が国際社会に対してアフリカ支援の必要性を訴え、アフリカヘの支援低下に歯止めを掛ける役割を果たしたことで、アフリカの民衆にも間接的な利益をもたらした。しかし、その後方向性を失っていく。日本のODAでは、アフリカのシェアも絶対額も増加せず、アフリカ協力の制度的革新はみられず、民間投資や貿易を拡大することにも成果はみられない。アフリカと中国やインドとの経済的な関係の急速な進展と日本のODA総額の減少によって、アフリカの経済成長促進には日本が当面大きな役割を果たすことができないことも明らかな今、アフリカの指導者、企業家からの期待は低下している。

 こうしたなかで開催される第4回会議では、主催者のみならず、アフリカ諸国、アフリカ市民社会も交えて、アフリカ開発会議再生について検討する必要がある。TICAD市民社会フォーラムでは、今後同会議が、アフリカの民衆とともにアフリカの開発を考える会議に生まれ変わることによってこそ、再生されるものと考える。このためにも、アフリカ開発会議へのアフリカと日本の市民社会の正式参加を実現しなければならない。同会議の再生を探る上では、その実施体制について以下を検討する必要がある。


 アフリカ開発会議を政府首脳のみならず、市民社会の正式参加による国際会議とする。 ②
 アフリカ開発会議を、AU[アフリカ連合]の開発フォーラムヘと転換する。

 AU、アフリカ諸国、市民社会と共に、アフリカ開発会議の目的と機能を再定義する。

 新開発フォーラムには、独立した常設の事務局を設置する。


 さらに、これまでのアフリカ開発会議では、日本の対アフリカ政策や日本のODA政策、具体的な戦略が議論されることはなかった。しかし、実質的な成果やインパクトを生み出し、MDGsの達成を目指す上で大きな貢献を果たすためには、同会議において、以下の議題について議論し、戦略を打ち出すことが重要であると考える。


 市民社会や住民の開発プロセス参加推進のためのエンパワーメント[empowerment 力をつける(与える)こと]と、相手国政府が民主化を進め、市民社会や住民参加への支援体制を強化するための法制度整備。


 アフリカ政府による汚職、差別や暴力などについて、市民社会と協力し、相手国政府の行政に切り込むための対策強化。


 第4回アフリカ開発会議戦略の具体的出発点として、貧困削減・飢餓対策のために、日本、アジア、アフリカの農業・農村開発の知見・経験をレビューし、気候変動や環境問題の視点からの分析を踏まえ、アフリカの農村開発に関する総合的な調査の実施と、アフリカや日本の市民社会を交えた具体的アクションプランの作成と実施。


 貿易・投資や経済成長を促す上で、アフリカ、日本、そしてアジアの民間企業や、市民社会、住民や農民が、日本のODAを活用可能とするための制度整備。

 アフリカと日本の市民の相互理解と連携を強化し、アフリカ民衆による、アフリカ民衆のためのアフリカ開発を実現するために、第4回会議を契機に、アフリカ開発会議の有効性が再建されることが重要であると強く訴える。また、第4回会議が、G8サミットと同じ年に、同じ日本で開催されることを単なる偶然に終わらせず、日本社会がアフリカの貧困削減のために再び国際的統一行動をとれるよう関心を喚起することも同会議の従来からの、そして新たな「使命」であることを忘れてはならない。

 以上のような提言をもとに、どのような活動が行なわれ、どのような成果を上げたかは、前回に紹介した「TNnet活動報告書」に詳しく記録されている。また、外務省HPの「第四回アフリカ開発会議(TICAD IV)(概要と評価)」を読むと、多くの提言が取り上げられていることが分る。

 思い掛けず長くなってしまった(なんと、約2年半かかった)が、ずいぶんと色々な学習ができた。これで《『羽仁五郎の大予言』を読む》を終わることにします。
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