2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
《『羽仁五郎の大予言』を読む》(78)

終末論の時代(14)

独占資本主義の終末(1)


 羽仁さんは20世紀末の時代状況を「終末論の時代」と捉えていたが、その状況認識の内実を矢崎さんは次のように簡潔にまとめている。

 人類は間違いなく、歩一歩と悪い方向に歩いている。やがて滅亡する。それも、そんなに遠い将来ではないだろう。

羽仁五郎は、現代をひと言でいえば「終末論の時代」だと断言する。独占資本のエゴイズム、大国のエゴイズム、といったものが、人類を地球上から抹殺するという。しかもそれは、ごくささいなきっかけがあれば、容易に行なわれ得る。現代は、これまでの人類の歴史とはテンポも違うし、破壊力も大きい。資本主義が来るところまで来て、それでも資本主義を守ろうとするならば、それは、たちまち人類の滅亡へとつながると予言する。

 ここで「独占資本のエゴイズム、大国のエゴイズム」と言われている典型的な事態を20世紀末から選べば、このシリーズで最初に取り上げた「チリのクーデター」だろう。これはチリで暴利をむさぼっていたアメリカの独占資本救済のために大国アメリカの主導によって仕組まれたクーデターだった。

 こうした大国と独占資本による謀略によって引き起こされた暴虐な事件は21世紀に入るとますますあからさまで苛烈になってきた。その事例は枚挙にいとまないが、まずすぐに頭に浮かぶのはイラク戦争とリビア戦争だ(機会があったら取り上げることにする)。

[付記]
 「私の闇の奥」というブログを愛読しています。「大国と独占資本による謀略」事件を数多く取り上げていますが、それらの核心をまとめた記事「もっとも残酷残忍な国は?」を紹介しておきます。


 アメリカが間断なく暴虐な戦争を巻き起こしている最大の理由は「独占資本主義体制の維持」にある。そのために生まれたのがいわゆる「軍産複合体」である。「独占資本主義体制の維持」になぜ戦争が必要なのか、誰でもおよその見当は付くと思うが、羽仁さんと矢崎さんの対話を聞いてみよう。

羽仁
 ・・・・・・新しい制度、新しい革命がある場合に、今までひどい暮らしをしていた人たちが、ある程度まで解放されるんだな。明治維新にせよフランス革命にせよ、資本主義による革命だけど同時に封建的な地主に年貢を収めてた農民は、今度は契約労働ってことになるわけだからね。一つの制度、一つの革命が一つの階級の利益であると同時に、他の階級の解放にもつながるんだな。もちろん完全な解放ではなかったが、農民も労働者もブルジョア革命を支持したんだよ。支持する理由があったわけだな。

 ところが最近の資本主義の利益というものは、そういう意味をまったく失ってきて、いかなる意味においても資本主義以外の利益とは、まったく相反するようになってきた。それの端的な表われがロッキード事件なんだよ。ロッキード事件をひと口でいえば、今の独占資本主義は売るものがなにもなくなって、武器しか売らない。だからロッキードも、P3Cという軍用機が本命だったんだからね。卜ライスターもあるけれど、P3Cを売りたかったんだ。ロッキード事件であれだけ騒いだ後で、公然と日本の防衛庁はP3Cを、少し遠慮したにしろ百五十機買う計画を立てた。

 ということは今の世界の独占資本主義は、他に売るものはないんだよ。あってもたいした魅力がないんだね。例えば電子計算機にしても一つ売ってもいくらでもないから、沢山売らなきゃならない。それじゃ間に合わないんだよ。だけど、P3Cは一機六十億円だから、それを売った方がいいわけですよ。今の資本主義は兵器を売るより他に仕事がないんだな。そして、その兵器によってあらゆる害悪が起こってくるわけだ。戦争の危険が増大するし、それより以前にも兵器生産というのは非生産的な生産だからインフレーションの直接の原因になるんだ。

矢崎
 戦争というもので消費しない限りは、需要がなくなってしまうことは目に見えているわけでしょう。

羽仁
 そうだよ。それに戦争は何も生産しないんだからね。ただ消費して代価を払い、その値段を支払うことによって利潤がある。つまり、米を売って儲けるのは食べる人がいるわけだから、買占めはけしからんといってもいくらか生産と消費に関係はあるわけだ。だけど戦争で生きる奴はいない、死ぬだけなんだよ。「死の商人」つて言葉があるが、その言葉が作られた頃よりむしろ現在の状態に非常にぴったりしてる。その頃の死の商人というのは、死を商品としても扱うが、まだ他の商品も扱ってたんだ。

 ロッキード以前の総合商社の悪徳商法は、まだ米だとかトイレット・ペーパーを扱ってた。だからいくらか社会の利益というものに関係があったが、ロッキードに至っては誰もそれによって生活したり生きるってことはないんだ。それによって死ぬだけなんだな。ということは、資本主義制度というものが、まったく歴史的意味がなくなって、反歴史的、反社会的な存在になってきたということなんだ。

 「資本主義制度が反歴史的、反社会的な存在」となったことを象徴的に示す言葉は2011年にアメリカで起こったウォール街占拠デモのときに使われた「99%対1%」であろう。

 現在アベコベ政権が進めているアベコベ政策は全て終末論的である。昨日(6月19日)衆議院を通過した「労働者派遣法改悪案」はいわば「99%対1%」促進法である。アメリカに追従して打ち出した「武器輸出三原則の見直し」や「戦争法案」はまさしく戦争によって生き延びようとする独占資本を救済するための政策である。

 アメリカがCIAの謀略によって次々と戦争を仕掛ける状況を作っていることはもう周知の事実であるが、アメリカがその意に沿わない人物をCIAを使って抹消するのもあまねく知れ渡ってきた。いま世界の注視の的になっているウクライナ問題にもCIAの関与が取りざたされている。日本の例で言えば、小沢一郎や鳩山由紀夫の失脚にもCIAの影が浮かんでいる。こうした事例は秘密のベールに覆われていてほとんどは情況証拠しかないのでいわゆる「陰謀論」として一蹴する人もいるが、私は「陰謀論」には与しない。羽仁さんもCIAの謀略に触れていることろがあるので、それを読んでみよう。

 最近CIAの謀略が大部暴露されているよね。石橋湛山なんかも毒薬飲まされたんじゃないかと思うんだ。

それはともかく、ぼくの友人の一人にノーマンという男がいた。カナダの宣教師の息子で、日本の中学を出ているんだが、エジプト大使をやっていた時にスエズ戦争が起こりかけていて、それを彼の努力で阻止したんだよ。イギリスがスエズ戦争を始めても、アメリカはそれを支持しない、イギリスが失敗することを願っていて、その後を狙っている、という情報をキャッチしたんだ。その電話を聞いた時に、アメリカがついて来ないことを知って泣いたと自分の回顧録にイーデン(当時のイギリス首相)は書いてるよ。

その情報をキャッチしたことでノーマンはスエズ戦争を食い止めたんだ。そしてその直後に自殺したんだよ。カイロのデパートの屋上から飛び降りてね。ぼくは愛していた友人を失ったんだ。彼は外交官だったが歴史学者でもあった。エジャトン・ハーバート・ノーマンといって、エジャトンというのはカナダの革命家の名前なんだね。父親もそういう名をつける人だったんだ。

ところがこの間CIAの謀略がいろいろ暴露された時、羽仁説子がノーマンもCIAに殺されたんじゃないかっていうんだね。というのはいかにも自殺らしく見せかけてるんだ。デパートの屋上に彼は眼鏡と腕時計を置いて身を投げてるんだね。ということは自殺に見せかけてることは明瞭だね。ノーマンは貧しく育ったからオメガの時計や金縁の眼鏡はおしいと思っただろう。しかし自殺するような興奮状態で、それをはずして自殺するとは思えないよ。ぼくはこれを本格的に調べてみようと思っているんだ。

そう考えてみると、石橋湛山も日本で初めて合理的な政府を作ろうとしていた時に病気にかかってる。そういうCIAの陰謀はいたるところにあるんじゃないのかな。

 この間のイギリスの総選挙の時に、保守党は労働党に投票するなというポスターに、労働党に投票しようとする人は自分のべッドの下を覗いて見た方がいい、そこに赤がいる、"Red under your Bed″というスローガンで闘ったんだ。それに対して、実際は、あなたのべッドの下にCIAがいないかどうか見た方がいいというのが現状だね。この陰謀というのも終末的な現象だよ。

 石橋湛山の死がCIAの謀略ではないかという推測は、石橋湛山の後継がCIAのエージェントだった岸信介だったことを考えると、おおいにある得ることだと思う。
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