2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
《『羽仁五郎の大予言』を読む》(61)

権力が教育を破壊する(44)

教育反動(36):遂にここに極まれり(1)


 自民党にとって、思うままに教育政策を牛耳るためには公選制教育委員会と教育基本法が目の上の大きなたんこぶだった。この二つを掌中に収めるのが一番大きな悲願だった。

 教育委員会を任命制に改悪するための「地方教育行政法」案は1956年6月2日に警官500人動員という醜悪な場を設置して強行採決された(詳しくは「教育反動(13)」をご覧下さい)。この任命制教育委員会が示す自民党べったりの情けない現状はまるで狂育委員会のようである。特に東京都・大阪府の狂育ぶりは目に余るものになっている。

 そして教育委員会改悪の50年後、自民党は教育基本法改悪案を2006年12月15日に、これもまた、強行採決によって成立させている。その経過を追ってみよう。

 臨教審(1984年)を皮切りに首相直属の会議体の設置が積極的に進められてきた。
2000年「教育改革国民会議」
2006年「教育再生会議」
2008年「教育再生懇談会」

 これらの会議体に共通の問題点がある。文科相の諮問機関である中教審と、首相直属の教育審議機関との関係や機能分担が必ずしも明確でないということは前にも指摘したが、もう一つ見逃せない問題がある。その委員構成である。教育界や教育学界の代表者の占める割合が相対的に低下しているのだ。これでは国の教育政策の立案・策定に教育に関する専門的知見や科学的・実証的知見が反映されなくなる恐れが生ずる。つまり、近年においては、時の政権の強い意向により内閣府・首相官邸に組織された会議体の場で、教育や教育学研究の専門家を含めないまま、重要な教育政策の骨格が策定される、という傾向が顕著なものになってきたのである。これは「制度としての教育」のもつ政治主導の論理が、よりあからさまに前面に押し出されてきたことを示している。

 特に、「教育再生会議」は、17名の委員中に教育学者が一人も含まれず、しかもこの会議が緊急に取りまとめた報告は、第一次報告(2007年1月)から最終報告(2008年1月)まで四次に及んだが、その主要な提言はすでに第一次報告に出揃っていたのである。教科書Eは「この会議はその後の教育政策に重要な影響を与えた点において、様々な論議を投じた会議体であった」と指摘している。

 ここで思い出したことがある。私は、その当時、教育再生会議について『「教育再生会議」って、何だ?』(2006年11月12日)という記事を書いている。取り上げている会議の内容は教育再生会議の前の教育改革国民会議のものだが、これが実におもしろい。教育再生会議の報告を検討する前に、それを改めて見ておこう。一往全文を再掲載します。

「教育再生会議」って、何だ?

 北朝鮮の核実験ではしゃぎすぎのマスゴミが「不安だ!脅威だ!制裁だ!」と相変わらず愚民を煽っている。私にはアメリカ(10300)やロシア(16000)をはじめ中国(410)・フランス(350)・イギリス(200)・イスラエル(100~170)・インド(75~110)・パキスタン(50~110)の核保有国の方がはるかに脅威です(括弧内の数字は保有核弾頭数)。これらの国が率先して核放棄をすることがまず肝要だろう。こんな分かりきったことを言うマスゴミはない。これら既成の膨大な核弾頭に比べたら北朝鮮の核実験など線香花火のたぐいだろう。マスゴミはやはりゴミです。
 もちろん、北朝鮮だけでなく、これ以上核保有国など増えてほしくない。

 この北朝鮮の愚行報道に隠れてしまった小さな報道のほうに、むしろ私の関心は向いている。それは、オコチャマランチ狆ゾウ内閣が最重要課題としている「教育」政策の露払いの役割を演じる「教育再生会議」の有識者委員の正式発表です。

 小谷実可子とか義家弘介とか陰山英男とか大衆受けを狙った人選もあり、雑炊委員会です。私は見たことがないが、「女王の教室」というテレビドラマで鬼教師役を演じた女優の天海祐希も候補に挙がっていたらしい。現実とフィクションの区別ができないのですね。天海さんは辞退したそうです。賢明な人です。

 委員会は雑炊で一向にかまわない。なぜなら、何回か会議を開いたうえで、政府の顔色をキチンと読みとった提言をまとめて、マスゴミのフラッシュを受けながら、仰々しく委員長から首相にその報告書を手渡す儀式をして幕となる、のだから。報告内容ははなから決まっている。今までの全ての政府が設置した有識者会議のステレオタイプパターンです。

 でも曲がりなりにも会議は開く。その会議で賢い有識者と呼ばれる賢男賢女諸君はどんな議論をするのだろうか。「教育再生会議」の議論を予想することはできないが、すでに幕を閉じた「教育改革国民会議」における賢男賢女諸君の発言が公表されている。そこからおよその推測はできる。それを見てみよう。

 ほんの少しだけいい発言もあるが、「呆れ蛙」のオンパレードです。思い付きばかりで、教育の理念も理論もない。知性と見識のほどがにじみ出ていて、とても笑える。ご本人たちは大真面目なのでしょうね。

 赤字は私が笑ったところ。青字はなんて単細胞なんだろうなどと批判的になったところ。何故笑ったり批判的になったかはご推察にまかせます。

* 一人一人が取り組む人間性教育の具体策(委員発言の概要)

1.子どもへの方策

対象者 主体
家庭が行うこと
[教育の原点で何をなすべきか]
学校が行うこと
[IT時代の学校と教員の在り方 -たかがIT、されどIT-]
地域が行うこと
[子どものしつけは親がする、大人のしつけは誰がする]
幼児 ~高校生 共通
  • 挨拶をしっかりする
  • 各家庭に「心の庭」(会話と笑いの場)をつくる
  • 「しつけ3原則」の提唱・実施
     甘えるな
      他人に迷惑をかけるな 生かされて生きることを自覚せよ
  • 団地、マンション等に「床の間」を作る
  • 挨拶をしっかりする
  • 教師一人一人が信念を示す
  • 教壇を復活させることなどにより、教師の人格的権威を確立させること
  • 倫理、情操教育を行う
  • 歴史教育を重視する
  • 国語における古典の重視
  • 敬語を使う時間を作る
  • 体育活動、文化活動を教育の柱にすえる
  • スポーツを通じて人間性を育む
  • 夏休みなど長期休暇のあり方の見直し
  • 自然体験、社会体験等の体験学習の義務化
  • 青少年施設、自治公民館等での合宿
  • 遠足でバスを使わせない、お寺で3~5時間座らせる等の「我慢の教育」をする
  • 地域の偉人の副読本を作成・配布する
  • 学校に畳の部屋を作る
  • 学校に教育機関としてのシンボルを設ける
  • 挨拶をしっかりする
  • 「しつけ3原則」の提唱・実施
  • 他人の子どもも誉めよう、叱ろう運動を国民的な運動として行う
  • 通学合宿の実施
  • 有害情報、玩具等へのNPOなどによるチェック、法令による規制
  • 小学生 <小学校高学年>
  • 教育の責任は当人50%、親25%、教師12.5%、一般社会12.5% であることを自覚させる
  • <小学生>
  • 小学校の学習内容を、知識半分、人格形成半分にし、特に人格教育を重視する
  • 基本的な言葉(読む、書く、語る)、社会人が持つべき最低限の算数や理科の知識を教える
  • 簡素な宿舎で約2週間共同生活を行い肉体労働をする
  •  
    中学生   <中学生>
  • 簡素な宿舎で約2週間共同生活を行い肉体労働をする
  •  
    高校生   <高校生>
  • 満18歳で全ての国民に1年ないし2年間の奉仕活動を義務づける
  •  

    2.大人や行政が主体となって家庭、学校、地域で取り組むべきこと

    場所 主体
    家庭(保護者) 学校 地域
    大人、企業
  • 大人自身が反省する
  • 親の責任の自覚
  • 親子関係は鑑 と鏡の関係
  • 家庭教育にもっと父親が参加する
  • 親が人生の目的を持つ
  • 「しつけ3原則」の提唱・実施
  • 地域の大人が道徳の授業をする
  • 有識者ボランティアによる講演活動
  • 企業は1年間に5日程度父親が教育に関われるよう休暇を作る
  • 企業は従業員に対して子育てやボランティアのための休暇を認める
  • 企業は教育に関する書籍や地域の歴史文化に関する書籍を備えた父親文庫を設置する
  • 各分野のプロが当該分野のノウハウを地域へ提供する
  • 名刺に信念を書くなど、大人一人一人が座右の銘、信念を明示する 
  • 行政
  • 子どもを厳しく「飼い馴らす」必要があることを国民にアピールして覚悟してもらう
  • 「ここで時代が変わった」「変わらないと日本が滅びる」というようなことをアナウンスし、ショック療法を行う
  • 国民会議の提言を広く国民に知らせるための積極的な活動
  • 家庭教育について対話できる土壌をつくるため、企業やテレビと協力して古来の諺などを呼びかける
  • 子育てにおいて必要な事項を決めた育児憲章を作る
  • 家庭教育手帳の年度毎の更新、配布
  • 義務教育年限の子どもの扶養控除額を100万円に引き上げる
  • 出産後の親業教育の義務化
  • バーチャル・リアリティは悪であるということをハッキ リと言う
  • 芸術、宗教、文化の領域にかかわる教育を(科学技術と社会科学に次ぐ)第3の教育軸として位置づけ、教育システムの抜本的な再編成を早急に行う
  • 義務教育を大幅に見直し、多様化を図る
  • 一定レベルの家庭教育がなされていない子どもの就学を保留扱いする
  • 他の子どもの学習する権利を妨げる子どもを排除する権限と義務を学校に付与する
  • 問題を抱える学校に指導主事のチームを常駐させる
  • トラブルの処理は学校だけでは無理であり、教育委員会が第3者機関を作り、そこで引き受ける
  • 警察OBを学校に常駐させる
  • 子どもが生き生きと過ごしている学校の分析・検討と情報の提供
  • 部活などが体験学習の妨げにならないよう、曜日時間を限定する
  • 文部省、マスコミが1、2週間程度学校で過ごす
  • 「ここで時代が変わった」「変わらないと日本が滅びる」というようなことをアナウンスし、ショック療法を行う
  • 教育基本法を改正を提起し、従来の惰性的気風を打ち破るための社会的ショック療法とする
  • スローガン、目標を作り大人一人一人の生涯徳育を助長する
  • マスコミと協力したキャンペーンを行う
  • 改革を受け入れる基本的土壌をつくる
  • 中央からの文書は、簡潔・明瞭で官庁用語を使わず解りやすい言葉で住民一人一人に伝わるよう工夫をする
  • 社会教育委員会の開催頻度を増やすとともに、青壮年の男女をバランスよく任命し、地域の教育力を回復する
  • 自治公民館の機能の活性化


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