2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
《『羽仁五郎の大予言』を読む》(8)

世界同時ファシズムの脅威(4)

ファシズム化の契機(3)


 もちろんのこと、羽仁さんは
「ファシズムの下で生きる」
道ではなく
「独占資本を倒す」
方向を考えている。まず、スタフグレーションを打開しようとするときに、独占資本(財閥)の傀儡政権が陥るジレンマを分析している。

 現実には、田中首相も「所得政策はやらない」といっているが、やるといったら、それだけで大騒ぎになっちゃうから、不意打ちでやるより他に方法はない。イギリスの保守党が、所得政策をやろうといったとたんに、選挙で敗けてしまった。イギリスの『エコノミスト』が、物価の騰貴が20パーセントといった状態がある程度まで長引けば、そこからは必然的にファシスト政権ができてしまうだろうと、これこそ本当の警告をしている。しかし、国民も、労働党にインフレを解決する力がないことぐらい知っているから、圧倒的支持にはならなかった。

 労働党の組閣をみると、非常な左翼を入れている。フッ卜という労働組合の最左翼を入閣させた。蔓延しているゼネストを解決しようというハラだが、これによって労働組合の要求はいれる。しかし、イギリスにも独占資本はあるんだから、そっちの要求もいれなくてはならない。労働党が、このジレンマに立ってる限りインフレは解決できない。

 日本に引きうつしていえば、総評が、春闘によって賃上げをやれば、インフレ促進という批難を受けかねない。そこで、インフレと闘う国民春闘というところへもってきたわけだが、イギリスの労働党のジレンマに、どうしても似てくる。

 スタフグレーションに対する有効な経済政策は行われぬままオイルショックによりスタフグレーションは激化していった。そしてバブル景気・バブル崩壊を経て平成デフレ不況へと突入し、現在に至っている。

 いまアベコベ政権がやっていることは<国家を開く>方向とは全く正反対の方向を目指している。ファシズム的愚政策のオンパレードである。国民をないがしろにして国家をますますがっちりと閉ざし、国際国家としても他国と敵対する方向に向かって孤立を深めようとしている。羽仁さん・大内さんや吉本さんが指摘した危惧が今になってとうとう信憑性を帯びてきた。

 さて、スタフグレーションの打開策として、羽仁さんはまず独占資本の不当な内部保留をはき出させる必要を説いている。

 国民春闘が具体的な意味を持つとすれば、賃上げはやらなければならん。物価が騰貴しているのだから当然だ。だが賃上げをまかなう資金というものを考えねばならない。

 大企業の去年の下半期における決算は、前年度に較べてかなりのボロ儲けになっている。それを吐き出させる以外に、賃上げを解決する意味はないんだ。これをやらなくては、いくら国民春闘といっても、左手で賃上げ、右手でインフレ抑止という、両頭の蛇を抑えようとするナンセンスな結果になりかねない。インフレに対して賃上げをやっていくと同時に財政的な基礎というのを大企業、具体的にいえば法人税なり、不当利益の没収などによって蓄積しなければならない。政治献金する金があったら、物価の高騰で困っている国民の生活を救うために吐き出させなくては国民春闘の意味はなくなってしまう。

 しかし、当時の総評にはそのような力はなかった。ましてや、独占資本と癒着した労働貴族が牛耳る現在の連合には全く期待はできない。

 政府もダメ、組合もダメ。ではどうしたら<国家を開く>ことができるのか。もちろん、暴力革命は論外である。確かな正しい理念なき革命は別種の<閉じた国家>を生み出すだけに終わるだろう。すでに歴史がそれを証明している。それではどのような道が残されているだろうか。羽仁さんは「自治闘争」に期待を寄せている。

 それと物価対策は地方自治体が積極的に取り組むべき問題なんだよ。市民運動というのも、東京で大がかりにやるんじゃなくて、市町村単位でコツコツやるのが最も効果的なんだ。わずか人口1万人の能勢町が、防衛庁を向こうに回して闘って、ついにナイキ基地をあきらめさせた。在日朝鮮人の問題にしても国家では国籍の自由選択を認めないが、方々の町や村の自治体では保証している。長沼判決の自衛隊違憲にしても、中央では無視されても、多くの自治体がちゃんと生かしている。つまり、市町村で自衛隊の委託業務を断るという、現実の闘争をやっているんだ。

 自治闘争がかなり大事になってくる。したがってまったく自治のない筑波大学なんて粉砕しなけりゃならん。それが長期の展望なんだ。国家の一員には違いないが、それ以前に市民なり、町民なり、村民なりの立場に立って、身近なところから生活を守っていく。一番具体的な問題は身近なところにあると思うんだよ。自治体で物価を変える、大企業の不当利益を没収する、法人税を条例で取り立てることができるんだ。

 公安条例という悪い条例があるが、あれは国の政府では憲法違反になるから、都市自治体でやらせている。だから、それを逆手にとって、地方自治体がどんどん良い条例を作るんだ。物価やインフレを阻止するような条例を作り、大企業から税金を市町村単位で取り立てていく。独占資本の支配下にあって、この方法は革命的意味すら持っている。

 しかも、これは資本主義国だけでなく、社会主義国においても同じ意味を持つんだ。ソルジェニツィンの場合でいったように、官僚化、中央集権化はソビエトにもある。中国がいっているように、ソビエトが帝国主義、または新しいファシズムになりつつあるかどうかはともかくとして、官僚主義的な独裁が発生しつつあることは事実だ。中国にしても、その危険性は充分ある。

 だから、独裁、ことにファシズム独裁を阻止する手段としての自治が大切なんだ。大内力君のように、世界同時ファシズム、ああそうなりますか、というわけにはいかん。

 <国家を開く>という観点からは、スタフグレーションに対してもデフレ不況に対しても、その方策に違いはない。40年ほど前の羽仁さんの提言は現在でも通用する。ただ、市民運動については国会を包囲するような大がかりな運動も必要だ。それと地方の運動が連動すれば傀儡政権を揺さぶる強力な力となるだろう。現在の反原発運動がとても頼もしい。

 さらに今、アベコベ政権の集団的自衛権容認という姑息な解釈改憲に対して、多くの地方議会が反対の決議を挙げている。また、さまざまな団体が反対の声明や決議を挙げている。さらにまた頼もしいことに、大学生たちも集団的自衛権反対のシンポジウムやデモをを行っている。その背景には圧倒的な反対世論の高まりがある。新聞の論調も、産経・読売・日経などの御用新聞以外は、「解釈改憲」反対の論陣を張っている。東京・日刊ゲンダイを始め、地方紙は軒並みに自民・公明の見え透いたインチキ議論を鋭く批判している(ちなみに地方紙の社説はサイト「NPJ」で読むことができます)。

 現在の日本、いや全てのいわゆる先進国は真の民主主義国家ではない。今ではほとんど使われなくなってしまったが、紛れもなく1%が支配するブルジョア民主主義国である。
(「統治形態論・「民主主義」とは何か」
「日本の支配者は誰か」
を参照して下さい)。

 私はこのことをしっかりと認識することが重要だと考えている。<国家を開く>とは、言い換えれば<真の民主主義を確立する>ことである。その道は、労働運動も市民運動も、そして地方議会も、さらにそして私たちの日常生活においても、この観点から独占資本の傀儡政府を監視し、異議を唱え続けるほかにはないと思う。

 日本には、天皇条項という重大な瑕疵があるが、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義を謳う世界に冠たる憲法がある。この憲法を無視して、アベコベ傀儡政権は暴走をしている。全くの視野狭窄に陥っているアベコベ傀儡政権は7月1日にも集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行しようとしている。私たちの闘いは厳しく長くなりそうだ。
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