2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
企業経営の社会主義化・日本編(8)



株式会社沖縄教育出版(2)


 目次に「まるで大学? 委員会&サークル活動」とあるように、この活動もじつにユニークだ。「会社をよくしていこう。活発で元気な、小学校みたいな会社をつくろう」という趣旨のもとに行われている。坂本氏は「それが社内の活発な提案や改善活動の場として、また社員同士のコミュニケーションの場として、大切な役割を果たしているのです」と絶賛している。次のような委員会・サークルがある。

●イベント委員会
 バザーや誕生日会、ビーチパーティーなどの社内イベントを考えています。

●ECO委員会
 毎月一回、企画を交えながら海でのごみ拾いなど、みんなで楽しくエコ活動を行っています。

●教養委員会
 毎月、お客様へのご挨拶文や、沖縄の情報の発信を行っています。

●TPM委員会
 社内の備品関係の定時配置を行います。どの机の中身も同じにするなど、誰でも場所がわかるしくみをつくっています。

●社内報(POCO)委員会
 社員の顔が見える社内報をテーマに、社員の家族が楽しみに待っている社内報をつくっています。

●ありがとう委員会

 社員同士の「ありがとう」を増やすための活動を行っています。ありがとうカードに日頃の「ありがとう」を書いて相手の方に贈ったり、「ありがとうマネー」という社内通貨も発行しています。

●花花委員会
 社内の花や植物の世話を行い、緑の多い職場づくりを進めています。

 以上のほかに次のような活動や制度がある。

●早朝勉強会
 毎朝、八時から九時の一時間、社員主体の勉強会が開催されています。
 地域の清掃を終えた社員が八時少し前、会場に集まってきます。テキストを使ったり、外部講師を招いたりなどで、私も二回目に訪問した折、講師を依頼されましたが、約10名くらいの若手社員が待っていてくれました。

●さん付け制度
 近年、上司を肩書きで呼ばず、「さん」で呼ばうという会社が増えています。沖縄教育出版もそれを実行しているのですが、驚くのは、それが全社員に浸透していることです。
朝礼に参加した折、ファシリデーターの方が「ヤスオさん、ひと言」と言ったのを聞いて一瞬誰かと思ってしまいました。ヤスオさんとは川畑保夫社長のことだったのです。

●一人一日一情報制度
 全社員のコミユニケーションを活発化させるとともに、全社員の心地よい居場所をつくるための制度が「一人一日一情報制度」です。これは全社員がその日一日、仕事の面、仕事外を問わず、感じたこと、思ったことを書き、その内容は全社員にフイードバックされます。
 文章好きの社員が多いこともあり、長くなってしまうため127字に制限しているそうですが、その参加率は90%以上だそうです。

●入社おめでとう制度
 入社して一年たった社員に「おめでとう制度」として、一年後に一万円を支給するそうです。この制度は、二年目、三年目も続くそうです。

●お誕生会
 毎月、その月に誕生日を迎えた社員のため、社長をはじめ幹部社員が主催し、那覇市内の高級レストランに該当社員を招待して、誕生会を開催しています。

●高齢者雇用制度
 当社には、名目の定年制度はありますが、実質定年は80歳です。現在も55歳以上の社員が46人もいます。

●インターンの受け入れ
 沖縄教育出版では、県内外の高等学校、専門学校、大学等から依頼され、インターン生の受け入れを積極的に行っています。その数はなんと50名だそうです。インターンシップに来て入社し、辞めた人はいないといいますから、定着率も実質100%だそうです。

 沖縄教育出版では、毎年4~6名くらい採用するそうですが、応募は全国から毎年600~700名くらい来るといいます。これは、川畑社長率いる沖縄教育出版の人間尊重の経営が、多くの人に知られている証明でもあります。沖縄教育出版の人間尊重経営への挑戦は、これからも続いていくことでしょう。

 さらにさらに、次のよう社会貢献も行われている。

 内戦が続いているアフリカ・ウガンダ北部のグル地区でゲリラに誘拐され、子供兵とされていた子供たちの社会復帰と自立支援にも取り組んでいます。

 特定非営利法人テラ・ルネッサンスの理事長と沖縄教育出版のスタッフが現地に行き、施設内で約一週間、子供兵だった子供たちと一緒に学んだり、遊んだり、給食を食べるなどして、交流を深めているのです。

 現在、世界には1日1ドル以下で生活している人々が10億人もおり、飢餓で毎日3万人の子供たちが亡くなっています。ウガンダの元子供兵の家族は、1日1ドルで5、6人が暮らしているといいます。

 一方、日本には餓死する人はいませんが、年に3万人の自殺者がいます。マザー・テレサが「先進国では物に飢えるより、愛に飢えるほうがもっと深刻である」と警鐘を鳴らしたように、家族や企業など、人間関係の崩壊は先進国病となっているのです。

 そうした日本での社会貢献活動で沖縄教育出版が行っているのが、就業前、全社員が交代でやっている会社周辺と近くの学校の清掃活動です。清掃の時間は朝7時から8時で、8時から9時までは社員が主体の自発的勉強会を行い、9時から朝礼というスケジュール ということになります。川畑社長は毎朝6時30分に出社し、掃除を始めます。

 この清掃活動で地域の人々とのコミュニケーションが深まるだけでなく、掃除をすることでその人自身の心が磨かれ、気づきが深まっていくそうです。

 最初のころは挨拶をしても返事もしてくれなかった学校の子供たちも、最近では挨拶をしてくれるようになったといいます。

 全社員が家族のような雰囲気の社風が彷彿として浮かんでくる。しかし、このようなさまざまな活動をしていて、一体いつ仕事をするのだろう、会社の業績は大丈夫なのだろうか、と余計な心配をしてしまうが、心配ご無用のようです。業績はすこぶる好調だという。

「ここ5、6年間の推移を見ると、売上高は14億円から18億円、経常利益は3億円から4億円です。売上高経常利益率で見ると20~30%となり、驚異的な好業績企業なのです。」

 さて、坂本氏が朝礼見学で沖縄教育出版を訪問したとき、出迎えた社員の中に障害のある方が二人いたそうだ。坂本氏はそのお二人の印象を
「その言葉、態度は自信に満ち満ちており、まったくといっていいほど障害が感じられません。」
と記録している。最後に沖縄教育出版の障害者雇用の様子を見てみよう。

 沖縄教育出版では、障害者雇用にも積極的に取り組んでいます。現在約50名いる正社員のうち、10名は障害がある社員で(知的障害者9名、聴覚障害者1名)、障害者の正社員に占める比率は16%になります。しかも、その比率も年々高まっています。

 わが国の障害者雇用促進法では、常用雇用56人以上の会社は、法定雇用率が1.8%となっていますが、日本の企業の平均は1.6%、法定雇用率以下の企業が約60%もあります。また、上場企業の障害者の最大雇用比率は8%です。このことからも、沖縄教育出版が、いかに積極的に障害者雇用に取り組んでいるかがわかります。

 沖縄教育出版の障害者雇用のきっかけは、川畑社長の幼少時代、障害のある友だちが身近にいたことも関係があるのでしょう。さらには社員の身内に障害のある人がいたことも、障害者雇用に熱心な理由だと思います。

 また、平成11(1999)年、川畑社長が大分県の福祉工場を視察した折、そこの経営者の
「障害者を受給者から納税者にしよう。自分たちは、ほとんど障害者だけでやっているが、本社が潰れても自分たちは大丈夫だ、と言えるくらいの経営をしていこう」
という言葉に深く共鳴したため、障害者雇用への強い信念をもつようになったのです。

 そういう信念のもと、いよいよ平成12年、養護学校から生徒を一度に3人も社員として採用しました。

 当初は手探りで、何もわからない状態でスタートしたためどうしていいかわからず、出社してから砂場に出かけた新人社員と、一日中一緒にいた日もあったそうです。また、入社したばかりの障害者がほかの人に気に留めてもらいたいため、警報機の非常ベルを押してしまい、ビル全体が大騒ぎになってしまったこともあるそうです。

 しかし、「この子たちを幸せにしなければ」と、ほかの社員と一緒になり、養護学校からの人たちを生かす職場づくりをし続けてきたのです。

 多くの大企業や中小企業が障害者雇用から目をそらしています。障害者の大半は施設や自宅ではなく、どんなに辛い大変な仕事でもいいから、働く場を求めているのです。

 健常者であれ障害者であれ、「人にほめられること、人に愛されること、人の役に立つこと、人に必要とされること」という、人が得たい四つの幸せは、働くことによってしか得られないからです。

 川畑社長は「当社には健常者、障害者という区分はありません。あるのは個性だけです」と当たり前のように言います。

 沖縄教育出版で雇用されている障害のある社員の賃金ですが、最低で12~13万円の給料を保証しており、国からの支援を合わせれば月額20万円以上になっているそうです。

 労働者を搾取の対象としか扱かわず、厖大な資産をため込んでいる不良会社の経営者たちは、優良会社の経営理念とその実際を知っても、たぶん、生まれ変わることはないだろう。そう思うほど、私は彼らには絶望し、軽蔑している。
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