2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
企業経営の社会主義化・日本編(7)



株式会社沖縄教育出版(1)


 沖縄教育出版はもとは『沖縄海中動物生態図鑑』『沖縄園芸植物図鑑』『沖縄の方言入門』『沖縄の歴史』など、地元・沖縄に根差した書籍を出していた会社だった。いまは、社名はそのままで、健康食品と化粧品(同社では粧品と呼んでいるそうだ。いいですね)の製造販売をしている。その事業転換の経緯は次のようである。

 (創業者の川畑保夫社長は)8年ほど勤めた出版社を29歳のときに辞めて独立、沖縄県の泊に「沖縄教育出版」という個人企業をスタートさせたのです。モーレツ社員だった川畑社長ですから、当時は「規模を大きくしたい、業績を高めたい」という思いがとりわけ強く、社員に檄を飛ばしつつ、自身も身を粉にして経営に邁進していました。

 しかし業績は思うように伸びず、社員も次々に辞めていったのです。
「これではいけない、なんとか社員の支持を得て、一丸となって仕事をしなければ」と思い、ある年、市内の飲食店を借り切り、社長のおごりで忘年会を開催しました。ところが、参加したのは30名いた社員のうち、わずか半分の15名。今さらながらの「気づき」でした。

 そんな川畑社長が、真の気づきを得たのは、病を得てからのことでした。過労とストレスで腎臓ガンになってしまった川畑社長は、昭和61(1986)年、国立がんセンターに入院し、左腎を摘出。その3ヵ月の入院の間に、川畑社長は生まれ変わったのです。

 自分のこれまでの生き方や考え方を見直し、真に世の中に役立つ事業、一人ひとりの命が輝く経営を行うことを決意し、健康食品や化粧品を扱うことにしました。

 沖縄教育出版の健康食品や化粧品などの自家商品は、信頼のおける業者に製造を委託し、県内外の顧客をターゲッ卜に通信販売で展開しています。通信販売といっても一般的な方法ではなく、通信販売とコールセンターが一体となった、インタラクティブ(双方向)コンタクトセンター事業方式です。

 3ヶ月の入院生活で生まれ変わった川畑社長の経営理念は次のようである。

「私たちは、地球上に住むすべての人々が、健康で平和に暮らせる社会をつくるため、みんなで力を合わせて、働きがいのある楽しい職場環境を創り、お役立ちの喜びを実践しています」

 そして、
「人間尊重の経営への挑戦、感謝、恩返し、そしてお役立ち」
を社是(この会社では社憲と呼んでいる)としている。

さて、この会社の紹介文の目次は次の通りである。

株式会社沖縄教育出版(沖縄県)
 本当に世の中に役立つ事業をしたい。
 一人ひとりの命が輝く会社になりたい。

①日本でいちばん長くて楽しい朝礼
②社員同士が心を共有できる朝礼
③「出版」だけれど健康食品も扱う会社
④ガンによって〝気づき″を得た社長
⑤「I am OK! You areOK! We areOK!」
⑥思わず納得の行動規範
⑦まるで大学? 委員会&サークル活動
⑧障害者を受給者から納税者に
⑨さまざまな形で社会に貢献する
⑩営業をしないコンタクトセンター
⑪ひと月に約150通届く、顧客からの感謝の手紙
⑫これからもめざす「人間尊重の経営」

 坂本氏は紹介文の序文を次のように記している。

 沖縄教育出版は、高業績企業としても有名ですが、私が当社を本書で取り上げたのは、この会社の「日本でいちばん長い、かつ楽しい朝礼」をじっくり見学させていただいたことにあります。

 この会社の社員たちは、健常者、障害者が一体となり、まるで家族のように愛し愛され、生かされていると実感したからです。

 それでは川畑社長の企業理念が生かされている社風と社員の様子を、②⑥⑦⑧⑨を中心に、詳しく見てみよう。

 大抵の会社の朝礼は、前日の業務報告・今日の予定の確認・各種事務連絡などで、多くは上意下達的なものであり、その時間もせいぜい10~15分前後のようだ。ところが沖縄教育出版の朝礼は、なんと平均1時間、最長記録は3時間だという。そのような長時間、一体何が行われているのだろうか。坂本氏は見学した時の朝礼のプログラムは次のようだった。

一、お喜びの声の紹介
二、感謝したい社員の紹介
三、わっしょい体操、ハッピー体操
四、私の小学校時代のいちばんの思い出
五、最近うれしかったこと
六、私のお得意様自慢
七、新人社員コーナー

 坂本氏はその朝礼の様子を次のように書き留めている。

 ワンフロアの事務所で、80名ほどの社員の方が立って迎えてくれましたが、周囲の壁を見て驚きました。いたるところに文字を書いたポスターやメモが貼り付けられ、小学校の教室みたいだったからです。

 そのポスターやメモには、「仕事は芸術だ」「仕事は祭りだ」「やる気が能力だ」「どんな人でも可能指数は200はある」「人間は歴史をつくるために生まれてきた」「人間は愛する人のことを学ぶために生まれてきた」などと書いてあります。

 朝礼は、「ファシリテーター」と呼ばれる二人の司会者が進行します。

 「お喜びの声の紹介」は、沖縄教育出版の社員が顧客からいただいた数々の礼状の一部を全社員の前で司会者が読み上げるもので、情報や感動の共有化をはかるために行われています。

 「感謝したい社員の紹介」は、自分が困っているとき、悩んでいるときにアドバイスをしてくれたり、聞いてくれたり、助けてくれた仲間の社員に、みんなの前でお礼をするというコーナーです。

 「わっしょい体操、ハッピー体操」はラジオ体操とは異なり、ストレッチをしたり、肩をもみ合ったりする体操です。

 「私の小学校時代のいちばんの思い出」は、自分の小学校のころのいちばん楽しかったこと、辛かったことなどを、当時を思い出しながら全員の前で紹介するコーナーです。

 「最近うれしかったこと」は、何人かが前に出て、自身が最近体験したうれしかったこと、よかったことを話します。

 「私のお得意様自慢」は、担当者が素敵だと思うお得意様のエピソードを紹介するコーナーです。

 この日の朝礼で私かとりわけ感動したのは、いつもていねいで心のこもった仕事をする若手男性社員に対し、顧客からいただいた手紙とプレゼントが渡されたときです。

 顧客の手紙を代読した先輩女性は、涙を流していました。プレゼントをいただいた若手男性社員も、「今まで人生辛かったです。でもこの会社に入れてうれしいです。みなさんやさしくしてくださってありがとうございます」と涙声で話をしていました。

 あとからこの若手社員について川畑社長に聞いたのですが、彼は施設で育ち、幼少時代に深い心の傷を受け、今もトラウマを抱えているそうです。

 また、「新人社員コーナー」では、一ヵ月前に入社したパートの女性が話をしてくれました。その内容を紹介します。

「私はこれまで五回ほど、パートとして職場を経験しました。どこの職場でもうまく溶け込めず、いつも仲間や家族、とりわけ主人や姑に当たり散らすような生き方をしていました。自分は性格が悪いと自分で思いながら、職場が辛く、自分の生活を変えることができませんでした。でも、私はこの会社に入って、家族、とりわけ主人からほめられることが多くなりました。自分でも自分が毎日変わっていくことがよくわかります。毎日この会社で働けて、楽しく生き、感謝しています」
 と、述べていました。

 この朝礼は、社員のモチベーションを高めるだけではなく、社員の居場所をつくっているのです。「あの人はこんな性格だったのか」「私と同じような子供のころの思い出があるんだ」「こういうことに感動できる人なんだ」という情報・感情・目的を共有する場でもあるのです。

 こうした一風変わった朝礼のうわさを聞きつけ、私のように朝礼を見学に来る人々が、役所や銀行、一般企業や学校の教師など、月に300人以上訪れるそうです。

 ちなみに、当時の社員構成は次のようである。

 従業員数…は158人(正社員47人、パートさん101人)
社員の出身地…が沖縄県70%、沖縄県外30%
性別…女性90%、男性10%
 なんと、圧倒的に女性中心型の企業だ。
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