2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
企業経営の社会主義化・日本編(1)



未来工業株式会社


〈初めに〉
 社会主義というと「国家社会主義」を念頭に浮かべて拒絶反応を示す人が少なくない。念のために、「国家社会主義」が「社会主義を騙る社会主義にあらざる社会主義」であることを「アナーキズムについて」で論じているので参照してください。


 坂本光司氏の著作を読んでいて、沢山の感銘を受けた。その中から、「社会主義化」という観点から、いくつかを記録しておこうと思った。

 6年ほど前に「理想の会社」という表題で、「未来工業」という会社の紹介をした。その会社が『日本でいちばん大切にしたい会社2』で取り上げられていた。

 未来工業は「劇団未来座」という劇団を立ち上げて芝居の稽古に明け暮れていた二人の若者が創業した会社で、住設部材の製造・販売を行っている。劇団名をそのまま会社名にしているわけだが、創業者は当初から自由な発想の持ち主だったようだ。この会社の紹介記事の目次は次のようになっている。(ページ数省略、番号は私の付記)

未来工業株式会社(岐阜県)
「日本でいちばん休みの多い会社」だから、不況知らずの会社になれる

①日本でいちばん休みの多い会社
②人から言われてするのがイヤで自社製品を開発
③経営理念は「常に考える 何故・ナゼ・なぜ」
④提案すると500円
⑤残業をすると罰金を取られる会社
⑥社員の要望で勤務時間が短縮された
⑦タイムレコーダーもユニフォームもなし!
⑧列ができてもコピー機を一台しか置かない理由
⑨本社機能が大きい会社は儲からない
⑩70歳までしつかリ働ける会社
⑪被災した取引先の1億6000万円の債権を放棄
⑫未来へ受け継がれるユニークな精神

 「理想の会社」で紹介した内容と重複していない項目で目に付くのは⑪だが、これは阪神淡路大震災のときのこと。凄いと思う。坂本氏は次のように賞賛している。

 社員や取引先などへの未来工業のはからいは、半端ではありません。

 平成7(1995)年に起こった阪神淡路大震災の際には、未来工業と取引のある会社も被災してしまいました。なんとそのとき、未来工業は債権を放棄してしまったのです。その額は1億6000万円にものぼります。

 返済を猶予した、半額にしたという話はたくさんありました。しかし「そんな気の毒な人たちから1億6000万円も取れません」という会社はありません。「債権を放棄した会社」としても、未来工業は有名なのです。

 「社会主義化」という私の観点から、「理想の会社」では取り上げられていなかった事柄として、⑧⑩がとてもユニークだと思う。⑧は誰でも「なぜだろう?」という疑問を持つのではないだろうか。これは全文転載しておこう。

 個性の尊重ということでは、もう一つおもしろい、制度というより慣習があります。

 社員同士、上司も部下も「さん」づけで呼び合う、いわば〝さんづけ運動″です。平社員も課長も部長も役員も、みんな「さん」づけです。さすがに現社長の瀧川克弘さんや山田相談役を「さん」づけで呼ぶ人は少ないですが、それでも社長を「さん」づけで呼ぶ社員がいるそうです。

 これは、「部長の仕事をしている社員」、「課長の仕事をしている社員」、「一般社員の仕事をしている社員」という意識で、会社として役はあるものの、個人としては平等だということなのでしょう。

 女性にお茶くみをさせないのも、「お茶は女性が出すのが当然」という性差別をさせないからです。私が訪問したときなどは、女性のスタッフがお茶を出してくれましたが、男性も含めて、だれでもすぐにお茶出しできるように、何カ所も給湯コーナーが設けられています。

 このほかにも、机も椅子も全員同じ、勤務時間中に私用電話もOK、お菓子を食べるのもOKです。コソコソされるよりはそのほうがいい、「それが仕事に影響があるのですか?」という考えなのです。

 一見、非効率に見えて、実は深い考えのもとになされていることもあります。未来工業では、780人という大所帯にもかかわらず、コピー機が一台しかないため、かつては順番を待つ列ができるような日もあったそうです。

 未来工業を見学に来た、あるコンサルタントがそれを見て、「もう二、三台入れたら、待ち時間もなくなり、本来の仕事に時間を割けるので生産性が上がりますよ。売上高も数%は上がります」とアドバイスしてくれたそうです。ところが、山田相談役はこう答えたそうです。

「コピー機がもう二、三台あれば、並ばずにすむということは重々承知しています。しかしもっと列ができたとしても、わが社はこれ以上コピー機を増やしません。ふだん部署が違うため会えない社員が、コピーするために並ぶことで、待っている間に前後の人とおしゃべりができますからね。それでいいんです」

 あえてコピー機を一台にし、全社員のコミュニケーションの場づくりをして、風通しをよくしようということだったのです。つまり、重箱の隅をつつくようにして効率を上げようとするのではなく、社員同士のコミュニケーションを高め、風通しをよくすれば生産性は黙っていても高まる。生産性を高めるのは管理ではなく、社員のモチベーションを高める環境にあるということを教えてくれる例です。

 「ホウレンソウ(報告、連絡、相談)禁止」というのも、管理をしない経営の特徴でしょう。「常に考える」ですから、「相談するな、自分で解決しろ」というわけです。

 全社員が自分の個性・才能を伸びやかに発揮して、生き生きと、和気あいあいと働いている楽しい職場風景が彷彿と目に浮かんでくる。
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 コメント
この記事へのコメント
上長・経営幹部に対して「さん」づけするのがユニークだなんてw
強烈に違和感を覚えます。こんなのは、そこかしこで普通に行われてますよ?

少なくとも、某NTTグループの巨大システム屋さんとか、国際通信屋さんなんかは
普通に部長やら副社長のことを「さん」づけで呼んでましたし
部長や課長なんかも、基本的に「さん」づけでした。

外人社員もメールは英語で表記しますが
部長や課長のことは「○○-san」っていう表記をしてますしね。

ベンチャー企業なんて、ほとんどは「さん」づけの方が当たり前で
肩書きつけて呼ぶ方がぎこちなく不自然ですよ。

お茶汲みというのも、普通は自販機で買いますし
来客応対でお茶出すときだって、担当する本人が直接汲みますわな、普通。

複数人で応対するなら、一番格の低い者がお持ちするわけで。
そこに男も女もありません。まあ、出しゃばる女はいますけどw

で、お待たせしました~♪って感じでお持ちするわけです。
コミュニケーションの一環として。一種のアイスブレークですよね。

お茶汲みなんて、男・女関係なく必要な人が自分でやるものです。
来客対応は、応対全般(お茶汲み、言葉遣い、身だしなみ、商談の中身諸々すべて含んで)で与える印象が重要なのだから
対応全般をマクロの視点で考えるべきです。

>机も椅子も全員同じ、勤務時間中に私用電話もOK、お菓子を食べるのもOKです

システム開発の現場なら、大抵これは当たり前に許されてますよ。
あと、ヘッドフォンやイヤホンで音楽聴きながら仕事をしてても
とやかく言われることは、まずありませんね。

特段ユニークでも何でもない、当たり前に普通のことだと思います。
2013/07/13(土) 15:08 | URL | ばしくし #-[ 編集]
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