2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
今日の話題



日本の不良会社


 坂本光司氏は次のような順で関係する人々を大事にするのが優良会社の経営理念であると指摘していた。

1 社員とその家族
2 社外社員(下請け・協力会社の社員)とその家族
3 現在顧客と未来顧客
4 地城住民、とりわけ障害者や高齢者
5 株主・出資者・関係機関

 マスコミを通して知る労働者の酷使(残業・リストラ・非正規社員の冷遇)や下請けいじめなどの不祥事(搾取状況)から、私はほとんどの大会社は不良会社だと判断している。先日図書館で坂本氏の著書を探していたとき、『佐高信の《辛口》100社事典』という本が目にとまり、これも借りてきて読んでいる。佐高氏は冒頭で「男女総合人気企業ランキング(08年度)」を取り上げて論評しているが、そこで氏は
「このランキングに挙っている企業は、ほとんど過労死の例がある企業ばかりである。強いて言うならば、比較的マシな会社はソニー(5位)とホンダ(22位)くらいだろうか。」
と述べている。

 不良会社の内実を数字から見てみよう。

 私は毎日必ずチェックするブログが十数もある。「五十嵐仁の転成仁語」はその一つである。昨年4月6日(金)は『「会社が儲かれば給与は上がる」というのは「都市伝説」か「神話」にすぎない』という表題で大企業の不良振りが摘発されていた。その記事で使われていた数字と五十嵐氏の解説を紹介しよう。

資本金10億円以上の企業が対象(単位は億円)。

         2010年    1998年     差
経常利益   4852      2344      508
配当      1380.1     565.9     814.2

 資本金10億円以上の企業では、1998年から2010年までの間に、経常利益は508億円増えている。配当に至っては814.2億円増大し、2倍以上になっている。しかし、給与だけは減っていた。その減収額は221億円にもなる。

 本来、労働者の給与として支払われるべき部分が、経常利益として会社の収入となり、配当金として株主の手に渡ったというべきかもしれません。もし、この給与の減少分をきちんと支払ったとしても、経常利益にしろ、配当にしろ、増え方が少なくなるだけで、マイナスになるわけではありません。

 この間には、2002~07年の戦後最長の景気回復期が含まれています。大企業は軒並み史上最高益を更新し続けました。  その反映が、経常利益の増大や配当の多さに反映されています。しかし、それは、給与には全く反映されませんでした。

 「会社が儲かれば給与は上がる」というのは、「都市伝説」か「神話」の類にすぎなかったのです。富者が豊かになれば、そのおこぼれが貧者の懐にも回ってくるというトリクルダウン理論も、真っ赤な嘘でした。

 これに大企業の役員が億単位の報酬を貪っていることを付け加えておこう。下の数字は上位10位の年収額(2006年度)である。

順位 	会社名 	平均年収(万円)
1 	日産自動車 	29,623
2 	ソニー 		23,757
3 	住友商事 	13,807
4 	コマツ 		12,914
5 	マツダ 		12,666
6 	トヨタ自動車 	12,088
7 	三菱商事 	12,064
8 	ファナック 	11,880
9 	新日本製鉄 	11,168
10 	川崎汽船 	10,930

 ここには銀行が出てこないが、銀行については佐高氏が次のように酷評している。

 銀行が汚いというのは、高杉良の経済小説シリーズ『金融腐蝕列島』(角川文庫)でも、第一勧業銀行(現みずほ銀行)の総会屋事件について触れているが、銀行は総会屋やヤクザといった闇社会とつながっているというダーティーな側面がある。基本的に、総会屋は銀行が雇っている。株主総会でデタラメな融資などを株主に追及されないよう、事前に総会屋を介して株主を籠絡するなどして、揉み消している。その一方で、三菱自動車がリコール隠しでメディアに叩かれてもつぶれなかったのは、同じ三菱グループの三菱東京UFJ銀行が財政支援したからである。昔から銀行はこうした私利私欲に走ったデタラメな業務をしてきたにもかかわらず、銀行というだけでつぶされずに生き残ってこれた。

 この銀行という不良企業の会長・頭取の退職金が『100社事典』に掲載されていた。

『週刊東洋経済1996年1月27日号』
      (役職は当時 単位は億円)
日本興業銀行頭取 黒澤 洋  5.0
第一勧業銀行会長 宮崎邦次  4.2
      頭取 奥田正司  2.3
さくら銀行会長  末松謙一  5.3
     頭取  橋本俊作  3.2
三菱銀行会長   伊夫伎一雄 5.9
    頭取   若井恒雄  4.7
富士銀行頭取   橋本 徹  2.5
三和銀行会長   渡辺 滉  3.8
    頭取   佐伯尚孝  2.0
 これら大企業には優良会社の経営理念のひとかけらも見られない。

 さて、五十嵐氏は、もう一つ、外国人株主の保有比率を取り上げている。

10年度の比率
機械		27.9%
電気機械	32.5%
輸送用機械	30.9%
精密機械	29.3%
鉱業		36.3%
保険業		34.5%

 つまり、日本の企業であっても、その株の3割ほどは外国人に握られているというわけです。もちろん、企業によってはばらつきがあり、この割合がもっと高いところもあるでしょう。

 これらの数字は、日本の大企業が従業員のことを顧慮していないということ、日本の企業であっても必ずしも日本の「国益」を守るようなスタンスを取らないということを示唆しているように思われます。

 ここで環太平洋経済連携協定(TPP)などについての企業の主張や行動を見るときには、これらの数字を思い出してみることも、大いに役立つのではないでしょうか。

 外国の投資家の利益を優先している大企業の指向が自ずと浮かび上がってくる。そう、TTPはこの指向をますますグロテスクにしていくだろう。

 さて最後に、不良企業の大連合・経団連のブラックジョークのような憲章「社会の信頼と共感を得るために」を掲げよう。

 企業は、公正な競争を通じて付加価値を創出し、雇用を生み出すなど経済社会の発展を担うとともに、広く社会にとって有用な存在でなければならない。そのため企業は、次の10原則に基づき、国の内外において、人権を尊重し、関係法令、国際ルールおよびその精神を遵守しつつ、持続可能な社会の創造に向けて、高い倫理観をもって社会的責任を果たしていく。

 社会的に有用で安全な商品・サービスを開発、提供し、消費者・顧客の満足と信頼を獲得する。

 公正、透明、自由な競争ならびに適正な取引を行う。また、政治、行政との健全かつ正常な関係を保つ。

 株主はもとより、広く社会とのコミュニケーションを行い、企業情報を積極的かつ公正に開示する。また、個人情報・顧客情報をはじめとする各種情報の保護・管理を徹底する。

 従業員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、安全で働きやすい環境を確保し、ゆとりと豊かさを実現する。

 環境問題への取り組みは人類共通の課題であり、企業の存在と活動に必須の要件として、主体的に行動する。

 「良き企業市民」として、積極的に社会貢献活動を行う。

 市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体とは断固として対決し、関係遮断を徹底する。

 事業活動のグローバル化に対応し、各国・地域の法律の遵守、人権を含む各種の国際規範の尊重はもとより、文化や慣習、ステークホルダーの関心に配慮した経営を行い、当該国・地域の経済社会の発展に貢献する。

 経営トップは、本憲章の精神の実現が自らの役割であることを認識し、率先垂範の上、社内ならびにグループ企業にその徹底を図るとともに、取引先にも促す。また、社内外の声を常時把握し、実効ある社内体制を確立する。

 本憲章に反するような事態が発生したときには、経営トップ自らが問題解決にあたる姿勢を内外に明らかにし、原因究明、再発防止に努める。また、社会への迅速かつ的確な情報の公開と説明責任を遂行し、権限と責任を明確にした上、自らを含めて厳正な処分を行う。

 佐高氏の辛口論評。
「読んだだけで経団連傘下の多くの企業が恥ずかしくならなけれならないと思うが、……羊頭を掲げて狗肉を売るために経団連は憲章をさだめたのだろうか。」
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